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甲状腺:専門の検査/治療/知見②      [甲状腺 専門医 橋本病 バセドウ病 甲状腺超音波(エコー)検査 内分泌 長崎甲状腺クリニック(大阪)]

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甲状腺:専門の検査/治療/知見② 橋本病 バセドウ病 専門医 長崎甲状腺クリニック(大阪)

甲状腺専門長崎甲状腺クリニック(大阪府大阪市東住吉区)院長が海外(Pub Med)・国内論文に眼を通して得た知見、院長自身が大阪市立大学 代謝内分泌内科で得た知識・経験・行った研究、日本甲状腺学会で入手した知見です。

甲状腺・動脈硬化・内分泌代謝・糖尿病に御用の方は 甲状腺編    動脈硬化編  内分泌代謝(副甲状腺/副腎/下垂体/妊娠・不妊等  糖尿病編 をクリックください

甲状腺専門医 長崎甲状腺クリニック(大阪)

甲状腺編 では収録しきれない専門の検査/治療です。

長崎甲状腺クリニック(大阪)の理念

---全ては専門医療のために---
All for one, all for thyroid.

(目次) 

放射線と甲状腺

  1. 福島原発事故と甲状腺    ヨード131内部被曝、放射線誘発性甲状腺がん・放射線甲状腺炎

甲状腺の病気で注意する事

  1. ヨウ素(ヨード)と甲状腺    ヨウ素(ヨード)葉酸(ようさん)は全くの別物
  2. 禁煙指導;タバコは甲状腺の病気に悪影響・受動喫煙の恐怖;甲状腺に忍び寄る副流煙
  3. 甲状腺と風邪薬/痛み止め  急性扁桃炎(溶連菌感染)でバセドウ病再発!
  4. チラーヂンS錠で副作用 チラーヂンS錠が下痢/食事/薬で吸収されない? チラーヂンSの飲み間違い
  5. 甲状腺と, コーヒー,活性酸素    甲状腺とアンチエイジング・ビタミン
  6. セレン欠乏症亜鉛欠乏症は甲状腺機能低下症 甲状腺と
  7. ゴイトロゲン(甲状腺を腫れさせる食物) 大豆で甲状腺機能低下症になるのか?(大豆と甲状腺)
  8. 甲状腺機能亢進症/バセドウ病と熱中症

甲状腺と遺伝

  1. 甲状腺と遺伝    先天性・遺伝性甲状腺機能低下症 ダウン症候群・ターナー症候群
  2. 甲状腺癌/甲状腺腫瘍と遺伝 多発性内分泌腺腫症1型(MEN1)、2型(MEN2)

甲状腺と似ている病気①

  1. 似ている、合併している副腎皮質機能低下症   甲状腺腫瘍と副腎腫瘍
  2. 髄膜炎菌/肺炎球菌で副腎クリーゼ(急性副腎不全)、副腎出血
  3. 成人成長ホルモン分泌不全症
  4. 甲状腺と似ている合併している亜鉛欠乏症、甲状腺でむずむず脚症候群
  5. 甲状腺と似ている女性更年期障害 男性更年期障害
  6. 現代日本にも脚気(かっけ)・ビタミンB1欠乏
  7. 食べ物がのどに引っかかる感じ。甲状腺それとも? 
  8. サルコペニア/サルコペニア肥満症・フレイル
  9. 甲状腺と高マグネシウム血症 甲状腺機能亢進症/バセドウ病と似ているセロトニン症候群カルチノイド症候群

甲状腺と関節痛、関節リウマチ、筋肉痛・筋けいれん

  1. 関節痛、関節リウマチと甲状腺  関節痛・EMO症候群とバセドウ病・橋本病
  2. バセドウ病筋肉痛・筋けいれん 甲状腺機能低下症・橋本病筋肉痛・筋けいれん
  3. 橋本病 バセドウ病と似た・合併する筋の病気 甲状腺と整形外科の病気 スポーツ・アスリート・ドーピングと甲状腺

甲状腺と認知症、てんかん、神経内科、橋本脳症、精神神経病、頭痛

  1. 甲状腺で認知症? 甲状腺と老年症候群 ロコモティブシンドローム 加齢黄斑変性と甲状腺
  2. 甲状腺とてんかん
  3. 甲状腺と神経内科(パーキンソン病,多系統萎縮症,本態性振戦,手根管症候群)
  4. 橋本脳症  脳梗塞と甲状腺 脳腫瘍と甲状腺 可逆性の脳梁膨大部病変を伴う軽症脳炎/脳症 (MERS) 
  5. 甲状腺機能亢進症とストレス・精神神経病 甲状腺機能低下症精神神経病  甲状腺と異食症 人格変化 神経性やせ症、神経性過食症
  6. 甲状腺機能低下症と頭痛 甲状腺機能亢進症/バセドウ病と頭痛
  7. ダウン症候群・ターナー症候群と甲状腺
  8. めまい・ふらつき/メニエールと甲状腺/動脈硬化

甲状腺と免疫(IgG4、胸腺、APS)

  1. IgG4関連甲状腺炎(IgG4甲状腺炎と異なる)  甲状腺以外のIgG4関連疾患 IL-6IL-2
  2. 甲状腺と密接な重症筋無力症 胸腺腫・CASTLE甲状腺癌 APS(多腺性自己免疫症候群)

薬剤性甲状腺機能障害

  1. 薬剤性甲状腺機能障害       MPO-ANCAと甲状腺  アミオダロン誘発性甲状腺中毒症

甲状腺と血液の病気

  1. 甲状腺と再生不良性貧血
  2. 多発性骨髄腫と甲状腺・高カルシウム血症
  3. 甲状腺と出血①後天性血友病A/後天性von willebrand病 特発性血小板減少性紫斑症(ITP)
  4. 血栓性微小血管症(TMA)と甲状腺 甲状腺と血球貪食症候群 赤血球増加症 ・血小板増加症

甲状腺と泌尿器(前立腺・膀胱)

  1. 甲状腺と前立腺 甲状腺と膀胱

甲状腺と似ている病気②

  1. 化学物質過敏症
  2. 甲状腺の病気に似ているミトコンドリア病・ライソゾーム病(ポンペ病など)

甲状腺と救急・外科手術

  1. 橋本病急性増悪
  2. 甲状腺と救急:甲状腺損傷・気道閉塞・そのくすりダメ   甲状腺と救急(アウトドア編)   甲状腺の手術合併症
  3. 本病の手術橋本病の巨大甲状腺腫に131-Iアイソトープ治療
  4. 甲状腺内視鏡手術甲状腺ロボット手術
  5. 穿刺細胞診(医療従事者用) 
  6. 甲状腺手術(気道狭窄時の気道確保・ECMO・麻酔・内臓逆位・胸骨切開/胸骨切除・手術痕を目立たなくする皮膚縫合・経皮経食道胃管挿入術(PTEG/ピーテグ))
  7. 脳死と甲状腺 甲状腺と歯科治療・抜歯・顎関節症

甲状腺未知の領域

  1. サイログロブリンの役割、高値が意味するもの     甲状腺アミロイドーシス
  2. ウイルスと甲状腺;伝染性紅斑(リンゴ病)、突発性発疹、ヘルペスと無痛性甲状腺炎・橋本病・バセドウ病
  3. 手術不能・適応外甲状腺腫瘍にラジオ波焼灼療法(RFA)、iPS細胞から甲状腺細胞が作れる?腫瘍抗原ペプチドワクチン療法甲状腺がん探知犬
  4. 乳癌と甲状腺

甲状腺の社会問題

  1. 橋本病に対する偏見
  2. ヒヤリハット、気付かず処方ミス、チウラジールとチラージン
  3. 甲状腺と体臭症、発汗
  4. 海外から日本へ来る甲状腺患者、海外で長期滞在する日本人 環境ホルモン
  5. 乱用される『メルカゾール』と『チラーヂン』の併用  他臓器癌合併した甲状腺機能亢進症/バセドウ病で抗甲状腺薬使えなくなる
  6. 患者自身が作り出す「やせ薬」による甲状腺中毒症
  7. 甲状腺と震災、水害、台風、避難生活、クラッシュ症候群 地球温暖化と甲状腺 PM2.5と甲状腺
  8. 法医学と甲状腺
  9. 甲状腺癌の終末期医療(ターミナルケア)/緩和ケア/ベストサポーティブケア(BSC)

ヨウ素(ヨード)と葉酸(ようさん)は全くの別物

ヨウ素(ヨード)は制限、葉酸(ようさん)はドンドン摂取

長崎甲状腺クリニック(大阪)では混同を避けるため、患者さんには「ヨード」と言う表現に統一しています。しかし、世間では、ヨウ素(ヨード)と葉酸(ようさん)を混同している方が多くいます。甲状腺の悪い方にヨウ素(ヨード)の過剰摂取制限は必須(ヨードと甲状腺)ですが、葉酸(ようさん)は摂った方が良いのです。特に甲状腺機能低下症/橋本病妊婦さんは、

  1. ヨウ素(ヨード)制限を厳格にして(ヨードと甲状腺)
  2. 葉酸(ようさん)を可能な限り摂取

しなければなりません。

葉酸(ようさん)とは

葉酸(ようさん)は水溶性ビタミンB群の一種で、妊娠期に欠かせない栄養素として注目されています。その名(葉っぱの酸)の通り、

  1. ほうれん草やブロッコリー、アスパラガスなど陸生植物の緑葉に多く、
  2. イチゴや夏みかんなどの果物類
  3. 大豆や納豆など

にも含まれています。葉酸(ようさん)はタンパク質や核酸合成の補酵素として、細胞合成に必要です。また、ビタミンB12と共に、赤血球合成に必要です。

甲状腺と葉酸欠乏

甲状腺と葉酸

  1. 甲状腺機能低下症では、葉酸の吸収障害・利用障害により
  2. 甲状腺機能亢進症では、葉酸の需要増大により

葉酸欠乏が起こります。

妊娠葉酸

故に、妊娠期において葉酸は胎児の体を形成するのに必要不可欠です。胎児の細胞分裂が最も活発な妊娠初期(4週~12週)の葉酸欠乏は、二分脊椎症など神経管閉鎖障害の発症リスクが高くなります。

葉酸を強化した、おそらくパンや小麦を原料としたおやつ類(現在、81か国が推奨)を食べ続けた妊婦は、そうでない妊婦と比べると、子供の前頭・側頭部の皮質厚が増加するとされます。(JAMA Psychiatry. 2018 Jul 3.)

また、授乳期葉酸欠乏は、乳児の発育障害の原因になります。

葉酸動脈硬化を予防

葉酸は、動脈硬化の危険因子のホモシステインの産生を抑制します。ホモシステインは、必須アミノ酸のメチオニンが代謝されて生成されるアミノ酸です。血中ホモシステインは、脳梗塞、閉塞性動脈硬化症、深部静脈血栓症の危険因子です。甲状腺機能低下症2型糖尿病、葉酸・ビタミンB6・ビタミンB12欠乏で高値になります。

葉酸欠乏による巨赤芽球性貧血

葉酸はビタミンB12とともに、造血に不可欠です。葉酸欠乏は、巨赤芽球性貧血という大球性貧血(大きな赤血球だが数は少ない)をおこします。

詳しくは、 巨赤球性貧血と甲状腺・副腎・糖尿病 を御覧ください。

葉酸欠乏による口内炎・皮膚炎・肌荒れ

葉酸が欠乏すると新陳代謝が活発な口腔内や皮膚、粘膜などに炎症や肌荒れが現れます。

葉酸(ようさん)をどの様に補給するか?

葉酸サプリメント

妊娠希望女性は葉酸1日400μg、妊婦推奨量は440μgです。葉酸400μgは、ほうれん草約200g(1把分)に相当しますが、そんな量のほうれん草を食べ続ければシュウ酸カルシウムの過剰摂取になり、腎臓結石・尿路結石になります。甲状腺機能低下症/橋本病で甲状腺ホルモン剤(チラーヂンS錠)を服用中の方なら、ほうれん草のシュウ酸カルシウムと食物繊維がチラーヂンS錠の腸吸収を妨げます。

その他、ブロッコリー、アスパラガスなど陸生植物、イチゴや夏みかんなどの果物類も同じく食物繊維がチラーヂンS錠の吸収障害を起こし、納豆など大豆製品はチラーヂンS錠を吸着し、腸から吸収させないようにします(チラーヂンS錠で副作用・ チラーヂンS錠が下痢/食事/薬で吸収されない?)。

甲状腺機能正常橋本病で甲状腺ホルモン剤(チラーヂンS錠)を服用する必要のない方は、気にせずこれらの食品を摂取して問題ありません。これらの食品は甲状腺を腫れさせるゴイトロゲンと呼ばれるものが多いですが、動物実験のみの話で、甲状腺に問題が出た報告は1例もありません。(ゴイトロゲン(甲状腺を腫れさせる食物)

葉酸は、加熱に弱いため、調理中に失活しますが、だからといって特に夏場、生のままで食べれば食中毒の可能性がないわけではありません。

結論として、最も簡単で確実なのは、葉酸サプリメントを飲むのが良いでしょう。ただし、ヨウ素(ヨード)が入っているのは止めてください。

筆者がお勧めなのは、大塚製薬の「ネイチャーメイド」で、余計なものが一切入っていないのが良いです。(筆者も服用しています)

ゴイトロゲン(甲状腺を腫れさせる食物)

甲状腺を腫れさせる物質、ゴイトロゲンを含む食物、キャベツ、ハクサイ等あるが、常識量を普通の人間が食べても甲状腺が腫れたり、甲状腺機能低下症おこしたりしない。高容量を使った動物実験のみの話。唯一の報告は異常な量のゴイトロゲンを長期間摂取した超非常識な88歳の中国人女性、生のチンゲン菜を1日推定1.0~1.5kg、数ヶ月間食べ続けた。甲状腺腫瘍・甲状腺癌の大きさを増大させる可能性も、理論上は有るが一例の報告もない。ゴイトロゲンは食物繊維を多く含みチラーヂンSの吸収障害おこすので、ゴイトロゲンが直接、甲状腺を腫れさせたり、甲状腺機能低下症を引き起こす様に錯覚する。

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ゴイトロゲンの真実

ゴイトロゲンの真実

甲状腺を腫れさせる物質をゴイトロゲンと言いますが、食物にも該当するものがあります。しかし、常識量摂取されたゴイトロゲンが、普通の人間の甲状腺を腫れさせたり、甲状腺機能低下症をおこしたりと言う臨床報告は存在しません(高容量を使った動物実験のみの話です、唯一報告されているのは異常な量のゴイトロゲンを長期間摂取した超非常識な高齢の外国人女性)。長年、日本甲状腺学会に出席していますが、そのような報告は1例もありません。

甲状腺腫瘍甲状腺癌の大きさを増大させる可能性も、理論上は有り得ます。ただし、だれも証明した人はなく、そのような報告もありません。ゴイトロゲンには、以下のようなものがあります。

  1. 大豆
  2. アマの種子[亜麻仁油(アマニ油)]
  3. サツマイモ・タケノコ
  4. イチゴ・ナシ・モモ
  5. キャベツ、メキャベツ、ハクサイ、カリフラワー、ブロッコリー、カブ、チンゲン菜、ルッコラ、ダイコン、ワサビ、クレソン
  6. ホウレンソウ、ミズナ、ノザワナ、コマツナ、チンゲンサイ
  7. ピーナッツ

以上、ゴイトロゲンと言われる食品は、甲状腺機能低下症でチラーヂンSを服薬されている方には問題起こす可能性があります。それは、いずれも食物繊維を多く含むため、チラーヂンSの吸収を邪魔するのです。あたかも、ゴイトロゲンが直接、甲状腺を腫れさせたり、甲状腺機能低下症を引き起こすような錯覚を起こすのです。

詳しくは、 チラーヂンS錠で副作用・ チラーヂンS錠が下痢/食事/薬で吸収されない? を御覧下さい。

唯一報告されているのは異常な量のゴイトロゲンを長期間摂取した超非常識な高齢の外国人女性

糖尿病があり、ダイエット目的で生のチンゲン菜を1日推定1.0~1.5kg数ヶ月間食べ続け、粘液水腫性昏睡になった88歳の中国人女性の報告があります。生のチンゲン菜は、グルコシノレートを加水分解するミロシネーゼを含み、グルコシノレートの分解産物のチオシアネート、ニトリル、オキサゾリジンは、動物実験で使用する程の高濃度では甲状腺ホルモン合成阻害作用があります(甲状腺へのヨウ素の取り込みを阻害)。加熱調理でミロシネーゼは不活性化されます。(N Engl J Med. 2010 May 20;362(20):1945-6.)

アブラナ科

これはアブラナ科の野菜キャベツ、メキャベツ、ハクサイ、カリフラワー、ブロッコリー、カブ、全般に言える事で、

  1. 生で食わなきゃ何も問題ない
  2. 1日1.0~1.5kg、数ヶ月間食べ続けなきゃ何も問題ない
    (Hum Toxicol. 1986 Jan;5(1):15-9.)

ので安心して食べてください。アブラナ科野菜は「台所のドクター」と言われ、イソチオシアネートは抗がん、抗炎症、抗酸化(活性酸素を抑える、動脈硬化を抑える)作用があります。 亜麻仁油(アマニ油)は、動脈硬化を予防する特保として厚生労働省が認めています。(アブラナ科の植物 ケノコトより)

大豆で甲状腺機能低下症になるのか?(大豆と甲状腺)

大豆と甲状腺は、深い関係があります。しかし、大豆製品を食べて甲状腺機能が低下するのを証明できた正式な甲状腺学会・論文報告は、まだありません。確かに、イソフラボン類(大豆の有効成分でゲニステインやダイゼインなどがある)が甲状腺ホルモンの合成を抑えるという動物実験は複数存在します(逆に甲状腺ホルモン合成を促進するのもあります)。あくまで、動物実験です。英国、米国、中国などヨード欠乏国では色々な報告(甲状腺ホルモン合成を抑制・促進両方)がありますが、実際、日本人で起きたのを証明できた正式な甲状腺学会・論文報告は、まだありません。

動物実験の話で、日常生活上、人間、特に日本人で起こらない

イソフラボン類(大豆の有効成分でゲニステインやダイゼインなどがある)が甲状腺ホルモンの合成を抑えるという動物実験は複数存在します。あくまで、動物実験です。実際、人間、特に日本人で起こるのを証明できた正式な甲状腺学会・論文報告は、まだありません。動物実験は、通常ではありえない大量のイソフラボン類を強制的に投与し(そもそも動物実験とは、そう言うものです)、血中濃度を異常な高値(薬理学的濃度と言います)にします。それに対して、生物(動物も人間も)の通常血中濃度を生理的濃度と呼び、この濃度では何も起こらないのです(一般的に薬理学的濃度は生理的濃度の数百-数万倍です、正に「薬も毒になる」)。

以上より、日常生活で食べる量のイソフラボン類で甲状腺機能低下症が起こるとは、到底、考えられません。(正式な甲状腺学会・論文報告はまだありませんが、)動物実験で使用するのと同じ大量のイソフラボン類を人間が摂取を続ければ(例えば乾燥大豆の大量摂取を続ける、イソフラボン類の健康食品・サプリの大量摂取を続けるなど)、日本人でも起こる可能性はあります(しかし、極めて稀なケースでしょう)。

以下は、長崎甲状腺クリニック(大阪)新着情報の続き

信じるに足るだけの直接証拠がなく残念なのですが、1例だけ、「普通に市販されているイソフラボン類の健康食品(大麦若葉)を6カ月摂取して潜在性甲状腺機能低下症が重症の甲状腺機能低下症になった」と言う関東の症例報告があります(J Med Case Rep. 2017 Sep 5;11(1):253.)。ただ、元々、橋本病の抗体が強陽性の高齢者で、イソフラボン類が原因と断定できる直接の証拠は提示されておらず(偶然かもしれないし、ヨード・海藻系など他の原因かもしれない、普通に考えれば重度の無痛性甲状腺炎IgG4甲状腺炎(橋本病型IgG4甲状腺炎))、他の橋本病患者で同様の報告は1例もありません。さらに、画像はCTのみで、甲状腺超音波(エコー)検査の画像が無く、所見は腫れている以外記載されておらず、甲状腺に何が起きたのか(破壊は進んだのか、その後回復したのか、内部血流はどうなのか等)判断できません。

筆者が診ている橋本病患者で、大麦若葉を服用し、甲状腺機能低下症が悪化した人が数人いましたが、全てチラーヂンSの吸収障害でした。特に、IgG4甲状腺炎(橋本病型IgG4甲状腺炎)は、橋本病抗体強陽性者の30%に見られる橋本病(慢性甲状腺炎)の急速進行型で、甲状腺機能低下が速いのが特徴。おそらく、関東の症例はこれだろうと筆者は考えます。

ヨード欠乏国では色々な報告があるが・・

日本は国際的にも稀なヨード過剰摂取国(ヨードと甲状腺)。日本以外はヨード欠乏で、島国なのにヨード欠乏国の英国では、日本の平均摂取量よりやや少ないイソフラボン類(大豆の有効成分)の摂取で、潜在性甲状腺機能低下症から顕在性甲状腺機能低下症へ進行するが、日本で同じことは起こらない(Nutrients. 2016;8. pii: E754)。筆者の推測ですが、イソフラボン類摂取で、益々ヨード欠乏が進んだからではないでしょうか?どの道、日本では関係無い事です。

その一方で、ヨード欠乏国の中国の報告では、橋本病患者にイソフラボン類の一つゲニステインを与えると甲状腺刺激ホルモン(TSH)、抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(TPO-Ab)抗サイログロブリン抗体 (Tg-Ab)が有意に減少、甲状腺ホルモンFT4が有意に増加(要するに、甲状腺を破壊する抗体が減り、甲状腺機能が改善)したそうです。(Immunobiology. 2017 Feb;222(2):183-187)

そもそもイソフラボンは、フィトエストロゲン(女性ホルモン、エストロゲン活性を有する植物由来の化合物)なので、橋本病の自己免疫を抑える作用があっても不思議ではありません。あくまで、ヨード欠乏国の中国の報告であり、日本で同じ事が言えるか不明です。

群馬大学の研究データでは、イソフラボン類のゲニステインとダイドゼインが甲状腺ホルモン受容体を介して、甲状腺ホルモン刺激伝達経路を活性化するとの事です。人間で同じことが起こるか不明ですが、前述のデータの根拠の1つになります。(Toxicol Sci. 2018 Aug 1;164(2):417-427.)

食べ物がのどに引っかかる感じ。甲状腺それとも?

食べ物がのどに引っかかる感じがして、長崎甲状腺クリニック(大阪)を受診される方が多くいます。甲状腺の病気の事もあれば、他の原因の事もあります。

  1. 甲状腺:橋本病バセドウ病などの甲状腺の腫れ(びまん性甲状腺腫)、甲状腺腫瘍甲状腺癌による食道圧排
  2. 口内乾燥・口内炎症
    シェーグレン病
    脱水;糖尿病尿崩症
    亜鉛欠乏・鉄欠乏性貧血・ビタミンB12欠乏性貧血・葉酸欠乏性貧血
    SLE(全身性エリテマトーデス)、ベーチェット病
  3. 反回神経麻痺:甲状腺癌、肺癌、食道癌、胸部大動脈流
  4. 全身性硬化症(強皮症)
  5. 脳血管障害(脳梗塞・脳出血など)による麻痺(嚥下障害の約40%)・加齢
  6. 変形性頚椎症
  7. 認知症、うつ病などで食欲制御が傷害:精神疾患患者の32%が嚥下障害を持っている(Dysphagia 21 (2): 95-101.)

5~7なら他の医療機関でも診断できますが、1~4は他の医療機関で診断が難しい様です。長崎甲状腺クリニック(大阪)では、1、2(シェーグレン病・SLE・ベーチェット病の確定診断は他院膠原病内科)、3(甲状腺癌のみ)、4(確定診断は他院膠原病内科)に特化して検査します。

甲状腺と人格変化、異食症、神経性やせ症〈神経性食思不振症〉・神経性過食症

甲状腺と人格変化

甲状腺機能亢進症/バセドウ病の精神障害、橋本脳症で人格変化。異食症は土・紙・毛・氷などを食べる。甲状腺機能低下症/橋本病、甲状腺機能亢進症/バセドウ病で起こる鉄欠乏性貧血・亜鉛欠乏症、精神的ストレス(妊娠など)、精神疾患、精神発達遅延、認知症が原因で、抜毛症→食毛症→毛髪胃石。神経性やせ症〈神経性食思不振症〉は、やせ願望や肥満恐怖から極端な食事制限を行う。やせ、低栄養による代謝機能低下、低T3症候群(ノンサイロイダルイルネス)により甲状腺機能低下症と同じ症状、検査所見。神経性過食症は、むちゃ喰いと自己誘発性の嘔吐・下剤乱用を繰り返す。

突然、人格が一変し、穏やかな性格が、怒りっぽく、攻撃的、凶暴な人格になる事があります。常識的に考えれば、何かの病気である可能性が高いですが、甲状腺が原因の事もあります。

  1. 甲状腺機能亢進症/バセドウ病の精神障害(甲状腺機能亢進症/バセドウ病の精神異常 )
  2. 橋本脳症

鑑別を要する疾患は、

  1. 本当の認知症
  2. 前頭葉の脳腫瘍、脳動脈瘤、脳動静脈奇形(AVM)、脳出血後の血腫
  3. 自己免疫性脳炎
  4. 本当の精神病(統合失調症、多重人格、双極性障害)

などです。

甲状腺と異食症(いしょくしょう)

異食症(いしょくしょう)は、栄養価の無いもの(要するに食料じゃない物)を無性に食べたくなる病態。土・紙・毛・氷などが代表的。日本では、19歳以下が87%、女性が97%とされ、甲状腺の病気と同じく女性に多いとされます(臨外会誌1984;45:1500 -3.)。

  1. 甲状腺機能低下症/橋本病甲状腺機能亢進症/バセドウ病で起こる鉄欠乏性貧血亜鉛欠乏症;特に氷食症、土食症が多い。脳の酸素不足により、満腹中枢障害や体温調節障害が起こるためとされます。
     
  2. 甲状腺機能低下症/橋本病甲状腺機能亢進症/バセドウ病で悪化する極度の精神的ストレス(妊娠ストレスも含む)、精神疾患、精神発達遅延、認知症が原因で、抜毛症→食毛症→毛髪胃石。ストレスによるセロトニン不足が一因とされます。

毛髪胃石

胃石とは胃内で食物・異物が不溶性の結石を形成したものです。構成成分により植物胃石、毛髪胃石、その他胃石に分けられます。日本では植物胃石が胃石の大多数を占めます。

毛髪胃石は、異食された毛髪が胃内で胃液の作用を受け塊状となったもの。大きくなると

  1. 食事摂取不能
  2. 潰瘍や穿孔
  3. 毛髪胃石が小腸に移動し腸閉塞

内視鏡的摘出は困難で外科摘出になる事があります(Surgery 1968 :2: 339-43.)(Gastroenterol Endosc 1993; 12:3110.)。最近では、コカ・コーラなどの炭酸水による溶解療法が注目され、炭酸ガスにより線維密度が緩くなるためと考えられます(Gastroenterol Endosc 2014;56:3340-6)。

毛髪胃石

甲状腺機能低下症が合併すると、

  1. 身体活動性の低下
  2. 精神神経障害・認知症の増悪
  3. 胃の蠕動機能低下
  4. 脱毛

などが加わり、毛髪胃石が起こり易くなるとされます(写真含みGastroenterol Endosc 1998; 40:896-900.)。

その他の胃・腸内異物

小児・認知症・精神発達遅滞では、口に入る物は何でもあり、思うもよらない物の事があります。CT画像で異物を特定するのは困難。

神経性やせ症〈神経性食思不振症〉、神経性過食症と甲状腺

神経性やせ症〈神経性食思不振症〉(制限型)は、やせ願望や肥満恐怖から、自己体重・体型を過剰に気にして、極端な食事制限を行います。その結果、著しいやせ(るいそう)状態となり、

  1. やせ、低栄養による代謝機能の低下
  2. 低T3症候群(ノンサイロイダルイルネス)

から

  1. 低血圧
  2. 徐脈、心嚢液貯留(22~71%)、僧帽弁逸脱症(Mehler and Brown Journal of Eating Disorders, 2015; 3: 11.)
  3. 低体温
  4. 浮腫
  5. 皮膚乾燥、黄染(柑皮症)
  6. 産毛密生、脱毛
  7. 無月経(体重減少によりGnRH分泌が抑制、視床下部性無月経)
  8. 骨粗鬆症
  9. 便秘

が生じ、状腺機能低下症と同じ症状になります。血液検査も甲状腺機能低下症と同じ様に、肝機能異常、高コレステロール血症、貧血の所見を示します。

神経性過食症では、やせ願望や肥満恐怖があるものの、極端な食事制限を続ける程、意思が強くなく、むちゃ喰いと自己誘発性の嘔吐や下剤の乱用を繰り返します。(心理的サポートが必要な肥満症神経性過食症)になります。

甲状腺の社会的な問題

脳死移植ドナーでは脳浮腫などにより下垂体機能低下症に至るためデスモプレシン、高容量の副腎皮質ステロイド薬、甲状腺ホルモンチラーヂンS静注液200μg)を点滴静脈注射。橋本病に対する偏見で生命保険に入れない事も。「チウラジール」と「チラージン」は名前が非常に似ており、ヒヤリハット、処方ミスの原因に。死亡時画像診断[オートプシー・イメージング(Autopsy imaging、Ai)]は法医学の検死に欠かせない手法。頸部絞殺など甲状腺に強い外力が加わった窒息、致命的な脳外傷では、心臓血のサイログロブリン(Tg)濃度が高値。

脳死と甲状腺

2010年、臓器移植法が改正され、ドナーカードが徐々に普及、移植ネットワークもそれなりに機能し、脳死患者からの移植は緩やかに増加しています(2017年で76件)。一方で、生体腎移植・生体肝移植のみが目覚ましく発展しています。

欧米なら「死ねばただの物体、魂は肉体を離れ、主の御許に旅立たれた」と割り切れる人が多いでしょう。日本人特有の死生観では、死んでいても人格が尊重されるべき一個人であり、丁重に体を荼毘に付さねばならない。「例え機械で心肺が動いていても、脳が死んでいれば人の死である」と頭で分かっているが、肉体は物体ではなく一個人であり、生前ドナーカードで臓器提供の意思を持っていても家族が死と認めない、あるいは認めても臓器提供を承諾しないのは普通です。

強制はしないと言いつつ医療者側は、臓器提供のプレッシャーを掛けてきます(命のリレーと美化)。

また、筆者の個人的な考えですが、臓器を提供するに値する病気なの?(不節制の限りを尽くし、周囲に受動喫煙の害を与えまくり、挙句の果ての心筋梗塞、糖尿病腎症、タバコ肺)と疑問を持たざる得ません(それおかしいで!?心臓移植の基準)。

臓器移植はドナーとその家族の善意で成り立っているため、日本で脳死移植が定着するのは難しいと思います。

チラーヂンS静注液200μg

脳死移植ドナーでは脳浮腫などにより下垂体機能低下症に至ります。脳が不可逆的に機能を停止しているため、当然です。また、時間との闘いでもあるため、迅速な投薬が必要になります。

  1. 脳死患者の約80%で尿崩症抗利尿ホルモン(ADH, AVP, バソプレッシン)測定は間に合わないので臨床的尿崩症と診断し、デスモプレシン補充開始
     
  2. 中枢性(続発性)副腎皮質機能低下症;副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)・コルチゾール測定は間に合わない。高容量の副腎皮質ステロイド薬は、ドナー臓器の炎症、脳浮腫を抑える効果もあるので最初から投与
     
  3. 中枢性甲状腺機能低下症;甲状腺ホルモン(FT4,FT3)・甲状腺刺激ホルモン(TSH)測定は間に合わないので、血行動態不安定な場合、心機能低下している場合、デスモプレシン、副腎皮質ステロイド薬に併用して甲状腺ホルモン剤(チラーヂンS静注液200μg)を点滴静脈注射

橋本病に対する偏見

※長崎甲状腺クリニック(大阪)は、生命保険に対するサポートは一切行っておりません。相談等も、一切お受けしておりません。

橋本病に対する偏見

医療情報の氾濫は、間違った知識・病気に対する偏見を広げる事が多々あります。「橋本病は治らない病気だから難病だ」と言う、あまりにも短絡的な誤解が世間に蔓延している現実があります。人間の偏見はゾンビより恐ろしいのです。

東京都予防医学協会の調査報告では、生命保険会社16 社中、橋本病患者の加入不可1 社、条件付きで加入可10 社、加入可1 社、回答できない4 社(ダメなんでしょうね)との事です。(第55回 日本甲状腺学会 P2-02-05 橋本病患者が被っている社会的不利益の現状)

確かに橋本病は治らないでしょうが、治療方法は100%確立され、甲状腺ホルモン剤を飲むだけで健康な人と同じ生活ができるのです。不治の病であっても難病ではないのです。

糖尿病はどうでしょう?薬を飲んでも良くならない人が多く、毎日インスリンの自己注射までしてもコントロール不良で、透析・網膜剥離に至る人が後を絶ちません。これこそ難病やん!

高血圧・高脂血症の人は、例外はあっても薬が合えば、健康な人と同じ状態を維持できます。薬を止めれば、もとに戻るため、治った訳ではありません。橋本病と一体、何が違うのでしょうか?高血圧・高脂血症については、子供でも「塩分摂り過ぎは良くない。」「卵はコレステロールが多い。」と知っているのに、橋本病に対する知識が普及していないのが原因と思われます。人は、得体のしれない物には排他的になり、偏見を持ちます。

世界甲状腺デーが新設されたのを契機に、日本甲状腺学会も本腰を入れて甲状腺の病気の普及活動に乗り出しています。橋本病に対する偏見も消える日は来るでしょうか?

ヒヤリハット、気付かず処方ミス、チウラジールとチラージン

「ヒヤリハット」=インシデント、誤った医療行為などが実施前に発見されたり、誤った医療行為が行われたが患者に影響を及ぼさなかった場合

「処方ミスによりチウラジールラージンを間違えて飲む」=アクシデント、誤った医療が実施され、患者へ影響を及ぼした場合

ヒヤリハットの語源は、「ヒヤリとした」「ハッとした」で、間違った医療行為が行われそうになる事態です。「ハッ」と間違いに気付き、事なきを得ればよいのですが、間違いに気付かなければトンデモナイ事(処方ミス)になります。甲状腺の世界で長らくヒヤリハット(気付かず処方ミス)の原因であり、いまだに解決される見込みのない「チウラジール」と「チラージン」の問題。チラージン(チラーヂン)S錠は、誰でも知ってる国民的な甲状腺ホルモン剤で、甲状腺機能低下症の治療薬です。一方、チウラジール(50mg)錠は、過剰な甲状腺ホルモンを低下させるための甲状腺機能亢進症/バセドウ病の治療薬です。この相反する薬効の2つの薬は、名前が非常に似ています。

ヒヤリハット、チウラジールとチラージン
ヒヤリハット

甲状腺専門医療機関の門前薬局の薬剤師なら間違える事は、まずありません。しかし、あまり甲状腺の患者さんが訪れない院外薬局や、甲状腺薬の経験に乏しい薬剤師・アルバイトの薬剤師の中には、「チウラジール」と「チラージン」の区別が付いていない人が少なからずおられます。恐ろしいことですが事実です。

特にチラーヂンS(50)錠チウラジール(50)錠は、数字まで同じなので、最も間違えやすい様です。

たとえ間違えられても、何度か同じ処方を受けていれば、シートの色が違うので患者さんの方が気付きますが、

  1. 初めて甲状腺の薬を処方された場合
  2. 認知症の掛かったお年寄り

ならどうでしょうか?何の疑いもなく飲んでしまったら!?

長崎甲状腺クリニック(大阪)では、このようなヒヤリハット(気付かず処方ミス)を予防するため、田辺三菱製薬製の「チウラジール」でなく、あすか製薬製の「プロパジール」を使用することにしています。
※「チウラジール」も「プロパジール」も、商品名は違えど、同じ成分、PTU(プロピルチオウラシル)です。

他臓器癌合併した甲状腺機能亢進症/バセドウ病で抗甲状腺薬(メルカゾール、プロパジール、チウラジール)使えなくなる

日本人の死因の一位を占める癌と、甲状腺機能亢進症/バセドウ病の合併は、それ程、珍しくなくなっています。他臓器癌合併した甲状腺機能亢進症/バセドウ病では、抗がん剤等の使用状況で、抗甲状腺薬(メルカゾール、プロパジール、チウラジール)使えなくなる事があります。

大阪大学の報告では、甲状腺機能亢進症/バセドウ病にメルカゾール投与開始、副作用なく減量中、乳癌見つかり、切除後、 抗がん剤投与しWBC1090、RBC187万、Hb5.3、Plt2万 と汎血球減少おこる。メルカゾール中止、KI投与後、131Iアイソトープ治療を施行したそうです。(第60回 日本甲状腺学会O8-1 癌合併例のバセドウ病治療について)

地球温暖化と甲状腺

地球温暖化でヨード(ヨウ素)含有量の多い昆布(コンブ)、モズクが不作になれば、日本人のヨード(ヨウ素)過剰摂取も減り、甲状腺の病気も減少する可能性。地球温暖化で酷暑になれば甲状腺機能亢進症/バセドウ病は熱中症や甲状腺クリーゼを起こす危険が増大。甲状腺機能低下症では、冬場に甲状腺ホルモン不足が深刻になるはずが、地球温暖化で暖冬になれば①発見され難くなる②甲状腺ホルモン剤(チラーヂンS)増量しなく済むかも。妊娠初期・後期にPM2.5に曝露とされると、血中の甲状腺ホルモン(FT4)値が低下し、胎児の脳神経の発達に影響するとの報告あり。

昆布(コンブ)・モズク不作で甲状腺の病気が減る

日本は国際的にも稀なヨード(ヨウ素)過剰摂取国で、海藻類(昆布・ヒジキ・モズクなど)の摂り過ぎるためです。日本人に甲状腺の病気が多いのはヨード(ヨウ素)過剰摂取に起因します。

ヨード(ヨウ素)過剰摂取になる最大の原因食材は昆布(コンブ)で、特に出汁(ダシ)が見落とされがちです。

日本の昆布(コンブ)の90%以上は北海道で採れます。しかし、地球温暖化などの影響で、2019年の昆布(コンブ)生産量は過去最低となり、小売価格も暴騰し過去最高でした。それに加え、昆布(コンブ)と同程度のヨード(ヨウ素)を含有するモズク、ヨード(ヨウ素)含有量少ないノリ、ワカメも不作でした。

地球温暖化そのものは、人類の生存を脅かす環境問題ですが、日本人のヨード(ヨウ素)過剰摂取が減れば、甲状腺の病気も減少する可能性があるので怪我の功名と言えます。

甲状腺機能亢進症/バセドウ病の熱中症が増える

甲状腺ホルモンが正常化していない甲状腺機能亢進症/バセドウ病の方(治療途中、未治療)は熱中症をおこしやすい(甲状腺機能亢進症/バセドウ病と熱中症 )。地球温暖化の影響で真夏日が続き、酷暑になれば甲状腺機能亢進症/バセドウ病の方は熱中症や甲状腺クリーゼ  を起こす危険が高くなります。

甲状腺機能低下症/橋本病が発見され難くなる

そもそも、甲状腺ホルモンは糖や脂肪(燃焼するものが無くなるとタンパク質も)を燃焼して熱エネルギーを作るホルモンです。寒ければ多くの熱エネルギーが必要なため、甲状腺ホルモンの需要量が増えます(相対的な甲状腺ホルモン不足)。よって、甲状腺機能低下症では、冬場に甲状腺ホルモン不足が深刻になり、寒さに弱い、低体温、倦怠感、便秘、むくみなどの症状が出やすくなります。

地球温暖化の影響で暖冬になれば、甲状腺ホルモン不足は深刻化しないため、甲状腺機能低下症/橋本病が発見され難くなります。また、既に甲状腺ホルモン剤(チラーヂンS)を服薬中の方は、冬場に増量しなく済むかもしれません。

PM2.5と甲状腺

PM2.5の発生源
PM2.5は超微小粒子

PM2.5は直径が2.5μm(マイクロメートル)以下の大気中に浮遊する超微小粒子です。

小さいだけなら問題ありませんが、有害な多環芳香族炭化水素・硝酸塩・硫酸塩・アンモニウム塩を含み甲状腺・人体に悪影響を及ぼします。

PM2.5は、工場から出る煤煙・自動車の排気ガス・黄砂から発生します。

M2.5は、肺の奥深くまで届く

PM2.5は超微小粒子のため、肺の奥深くまで入り、喘息や気管支炎を悪化、肺がん発症のリスクになります。

PM2.5の甲状腺への影響は、特に妊婦で問題になり、

  1. 妊娠初期にPM2.5に曝露とされると、血中の甲状腺ホルモン(FT4)値が低下し、胎児の脳神経の発達に影響するとの報告があります。(JAMA Netw Open. 2019 Oct 2;2(10):e1912902.)
     
  2. 妊娠後期にPM2.5に曝露とされると、血中の甲状腺ホルモン(FT4)値が低下(Environ Health Perspect. 2017 Apr; 125(4):699-705.)
ユニ・チャームマスク
シャープの「プラズマクラスター」

最近のマスクはユニ・チャームなど薬局で手に入る市販品でも、微粒子捕集効果の高いフィルターを用いPM2.5に対応しているものが多いです(筆者は大阪市立大学医学部 代謝内分泌内科の業務時はユニ・チャームマスクを愛用。新型コロナウイルスの予防効果に対しても、中国製のN95/KN95マスクよりよほど信頼できます)。布マスクは特殊繊維でできたものに限り、PM2.5に有効です。

長崎甲状腺クリニック(大阪)の待合室、診察室にも設置しているシャープの「プラズマクラスター」はPM2.5のみならず、黄砂に付着している細菌やカビの抑制効果もあります。

甲状腺と老年症候群

FT4(甲状腺ホルモン;サイロキシン)の値は、男性は年齢と伴に低下、女性は影響なし。老年症候群は甲状腺機能低下症/橋本病、甲状腺機能亢進症/バセドウ病でも起こり得る症状。甲状腺ホルモン値が正常範囲の高い方にある人は、加齢黄斑変性が起こり易い。ロコモティブシンドローム(運動器症候群)は①加齢に伴う筋力低下②関節や脊椎の病気③骨粗しょう症などにより要介護や寝たきりになる、リスクの高い状態。高齢者の貧血の約30%は悪性腫瘍(癌)、甲状腺機能低下症は1%。

FT4,甲状腺ホルモン,老年症候群,甲状腺機能低下症,橋本病,甲状腺機能亢進症,/バセドウ病,加齢黄斑変性

日本では少子高齢化が進み、近い将来、1人の若者が1人の高齢者を支えねばならない超高齢化社会がやってくるでしょう。高齢者が健康であれば、若者への負担が減り、持続可能な超高齢化社会を迎える事ができるかもしれません。

日本は先進国の中で最も高齢化率が高く、かつ甲状腺機能異常は加齢に伴い増加します。

老年症候群、「齢のせい」、老衰でなく、実は甲状腺が原因であり、正しく治療すれば健康状態が回復するかもしれません。

老年症候群(GeriatricSyndrome)と言う、取って付けたような病名。 「高齢者は、色んな病気を一杯持っていて、複数の診療科で治療し、同時に介護・ケアも必要になる」と、分かり切った事にそれらしい病名を付けて喜んでいる方々がいるらしい。

老年症候群は、「加齢に伴い高齢者に多くみられる、医師の診察や介護・看護を必要とする症状・徴候の総称のことです。老年症候群の症状・徴候は50項目以上が存在します。」と、何を言っているのか良く分からない不明な病態です。

そもそも、通常では起こらない症状・徴候があれば、医師の診察や介護・看護を必要とするのは当たり前で、年齢とは無関係です。敢えて、老人に限定する意味は、症状が複数になり、複数の診療科を受診するのが若年、中年の人と異なるからなんでしょうが。そりゃ、年をとれば病気も増えるわな。

老年症候群には2つの状態が混在、

  1. 生理的老化;病気ではない、加齢で起こる変化、耳が遠くなる、夕方になると目が見えにくくなる、就寝中のトイレの回数が増える、坂道を上ると息切れする、軽度の認知症。「齢のせい」、老衰と言うやつですね。
  2. 病的老化;病気が増えて体の機能が落ちていくもの

どちらも、甲状腺の病気、甲状腺機能低下症/橋本病甲状腺機能亢進症/バセドウ病でも起こり得る症状なのです(甲状腺機能は亢進低下)。つまり、甲状腺の病気を老年症候群と関違いしている事が多々あると言う事です。

長崎甲状腺クリニック(大阪)には、様々な症状から自身の甲状腺異常を疑い、あるいは、他科の医師が甲状腺異常を疑った患者さんが来られます。甲状腺の症状は何でもありなのです。長崎甲状腺クリニック(大阪)で検査の結果、本当に甲状腺の病気の事もあれば、甲状腺以外が原因の事もあります。

いずれにせよ、甲状腺を調べない事には、結論が出ません。老年症候群、「齢のせい」、老衰と決めつけずに甲状腺を必ず調べましょう。

ロコモティブシンドロームと甲状腺

ロコモティブシンドローム(運動器症候群)

ロコモティブシンドローム(運動器症候群、通称ロコモ)は、

  1. 加齢に伴う筋力低下
  2. 関節や脊椎の病気
  3. 骨粗しょう症

などにより運動器官(骨・関節・筋肉)が衰え、要介護や寝たきりになる、そうなるリスクの高い状態です。

(図;健康長寿ネットより改変)

ただ単に加齢だけで運動器障害がおこり、運動能力が低下するのでなく、甲状腺の病気により加速される、あるいは甲状腺の病気を見逃し加齢のせいと決め付けている可能性があります。

  1. 甲状腺機能亢進症/バセドウ病甲状腺機能低下症/橋本病の筋力低下(甲状腺と筋肉痛・筋けいれん )
  2. 甲状腺機能亢進症/バセドウ病甲状腺機能低下症/橋本病の関節障害(甲状腺と関節痛 )、甲状腺癌骨転移
  3. 甲状腺機能亢進症/バセドウ病甲状腺機能低下症/橋本病骨粗しょう症と骨折(甲状腺と )
ロコモティブシンドロームと甲状腺

加齢黄斑変性と甲状腺

加齢黄斑変性 眼底検査

加齢黄斑変性 眼底検査;黄斑部に増殖血管の破綻による出血とソラマメ状の橙赤色病変

加齢黄斑変性 光干渉断層像(OCT)

加齢黄斑変性 光干渉断層像(OCT);矢印は網膜色素上皮を突き破ってに突出してきた脈絡膜新生血管

加齢黄斑変性 眼底検査

加齢黄斑変性 眼底検査;黄斑部に出血、硬性白斑を伴う黄白色病変

加齢黄斑変性 光干渉断層像(OCT)

加齢黄斑変性 光干渉断層像(OCT);網膜色素上皮剥離、漿液性網膜剥離、脈絡膜新生血管、フィブリン析出

加齢黄斑変性は、中高年以降、黄斑部脈絡膜の異常な血管増殖が起こり、

  1. 急激な片眼の視力低下
  2. 物が歪んで見える
  3. 中心暗点

などの症状を呈します。

喫煙と加齢は加齢黄斑変性のリスクファクターです。

加齢黄斑変性の診断は、

  1. 眼底検査で黄斑部出血を認める
  2. フルオレセイン、またはインドシアニングリーンを用いた蛍光眼底造影検査で異常な血管増殖を描出。

機序は不明ですが、甲状腺ホルモン値が正常範囲の高い方にある人は、加齢黄斑変性が起こり易いとされます。オランダのロッテルダムスタディ(研究)という大規模な追跡調査の結論です。(BMC Med. 2015 Apr 23;13:94.)

高齢者の貧血

高齢者の貧血の約30%は悪性腫瘍(癌)によるものです。甲状腺機能低下症による貧血は1%に過ぎません。

高齢者の貧血
高齢者の貧血 甲状腺機能低下症の割合

温泉と甲状腺

温泉法では、「温泉の成分、効用の適否について、見やすい場所に掲示しなければならない」と明記され、温泉に行くと必ず立て看板があります。

温泉の成分によっては、甲状腺の病気で注意が必要な事があります。

全ての温泉に共通の事

長時間、熱い温泉に浸かり続ければ、心臓に過剰な負担が掛かります。甲状腺機能亢進症/バセドウ病では、

  1. 心臓病 (心臓弁膜症,心筋症)
  2. 心房細動(Af) 頻脈性不整脈 
  3. 狭心症・心筋梗塞

など心臓・血管に障害、最悪、突然死を起こす危険あり。要注意です。

また、甲状腺機能低下症/潜在性甲状腺機能低下症/橋本病では動脈硬化が進行し、狭心症/心筋梗塞急性大動脈解離・大動脈瘤破裂おこしやすい状態の事があります。

塩化物泉、炭酸水素塩泉

塩化物泉、炭酸水素塩泉は、ミネラルを豊富に含んでいます。飲用許可のある塩化物泉水の場合、ヨウ素(ヨード)を含んでいるなら、長期に飲んではダメです(別に旅行中、常識量飲むだけなら問題ない)。

含よう素泉

温泉と甲状腺

含よう素泉は、温泉水1kg中にヨウ素イオン(I-)を10mg以上含む泉質で、非火山性の温泉に多いです。イソジン、ヨードチンキなどと同じく茶褐色-黄色(黄金の湯などと呼ばれます)で、臭いもヨードチンキそのものです。

確かにヨードチンキ風呂なら殺菌作用、消毒作用は強いでしょう。

皮膚からのヨード吸収率はわずか0.1%で、常識的な時間、浸かっているだけなら問題ないですが、長時間、含よう素泉に浸かっていると吸収量は計り知れません。

含よう素泉水を飲むと、イソジンを飲んだ様な苦みがあります。

含よう素泉は、甲状腺機能亢進症/バセドウ病の方には禁忌になります。大量のヨードが体に入ると甲状腺ホルモン合成が抑制され、逆に中途半端な量だと甲状腺ホルモン合成が促進され、どの道、良い事はありません。

たとえ甲状腺の病気が無い妊婦も、大量のヨードが体に入ると甲状腺ホルモン合成が抑制され、一時的にも甲状腺機能低下症になり、流早産の危険があります。

温酸性泉、硫黄泉

温酸性泉、硫黄泉は、皮膚に対する刺激が強すぎるため、甲状腺機能が正常化していない甲状腺機能低下症甲状腺機能亢進症/バセドウ病亜鉛欠乏の方には向きません(甲状腺ホルモン異常と皮膚・脱毛 )。

法医学と甲状腺

長崎甲状腺クリニック(大阪)は、甲状腺専門クリニックです。法医学は行っておりません。

死亡時画像診断[オートプシー・イメージング(Autopsy imaging、Ai)]

死亡時画像診断[オートプシー・イメージング(Autopsy imaging、Ai)]は、今や法医学の検死に欠かせない手法で、特に事件性のある遺体にCT・MRI撮影し、死亡時の病態把握、死因の究明などを行う方法です。

また、日本では法医学者、監察医が圧倒的に不足しており、司法解剖までできる医師は全国で150人位です。そのため、まともに監察医制度が機能しているのは、東京都23区、大阪市他、地方の大都市だけです。

絶対的な監察医不足を補う目的でも、CT・MRIさへあれば簡単に行えるオートプシー・イメージング(Ai)の普及は必要不可欠です。

事件性のある遺体をCT・MRI撮影すれば、病死か事件死か、おおよその見当がつくため、無駄な司法解剖する必要がなくなります。

オートプシー・イメージング(Ai)画像は生前画像と異なり、死亡後、甲状腺のCT濃度は、生前と比較して低下します。

頸部絞殺と甲状腺

頸部絞殺など甲状腺に強い外力が加わった窒息、致命的な脳外傷では、心臓血のサイログロブリン(Tg)濃度が高値を示すとされます。死後、甲状腺から漏出したサイログロブリンは血液を介して拡散するため、生前より高値になります。

そのため、逆に心臓血のサイログロブリン(Tg)濃度が高値でなければ、頸部絞殺の可能性は低くなります。ただし、絞めた位置が甲状腺とずれていたら、その限りではありません。(https://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/
2115/.../Akira_Hayakawa_review.pdf)

また、心臓血(左右の心室)および腸骨静脈血の、血清トリヨードサイロニン(T3)、チロキシン(T4)が有意に高値になるとされます。(Hum Cell. 2020 Jul;33(3):545-558.)

Summary

甲状腺専門医の長崎甲状腺クリニック(大阪)。甲状腺超音波(エコー)検査、甲状腺機能亢進症/バセドウ病,甲状腺機能低下症/橋本病,無痛性甲状腺炎,亜急性甲状腺炎,甲状腺腫瘍,甲状腺乳頭癌,甲状腺濾胞癌,甲状腺髄様癌などの専門の検査/治療を解説。ヨウ素(ヨード)と葉酸(ようさん)は全くの別物。チラーヂンS錠の副作用・下痢/食事/薬での吸収障害。甲状腺を腫らすゴイトロゲン、甲状腺機能亢進症/バセドウ病と熱中症、穿刺細胞診の合併症、橋本病の巨大甲状腺腫と131-Iアイソトープ治療、手術療法。ヒヤリハット、チウラジールとチラージン、甲状腺と体臭症も説明します。

Keywords

甲状腺腫瘍,甲状腺,甲状腺癌,甲状腺機能低下症,甲状腺ホルモン,バセドウ病,橋本病,甲状腺機能亢進症,無痛性甲状腺炎,亜急性甲状腺炎

甲状腺関連の上記以外の検査・治療    長崎甲状腺クリニック(大阪)


長崎甲状腺クリニック(大阪)とは

長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査など]による甲状腺専門クリニック。大阪府大阪市東住吉区にあります。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,天王寺区,東大阪市,生野区,浪速区にも近い。

長崎甲状腺クリニック(大阪)


長崎甲状腺クリニック(大阪)は甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査等]の大阪府大阪市東住吉区にある甲状腺専門クリニック。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,東大阪市近く

住所

〒546-0014
大阪府大阪市東住吉区鷹合2-1-16

アクセス

  • 近鉄「針中野駅」 徒歩2分
  • 大阪メトロ(地下鉄)谷町線「駒川中野駅」
    徒歩10分
  • 阪神高速14号松原線 「駒川IC」から720m

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