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甲状腺の基礎知識    [甲状腺 専門医 橋本病 バセドウ病 甲状腺超音波検査(エコー) 内分泌 長崎甲状腺クリニック(大阪)]

甲状腺の基礎知識を、初心者でもわかるように、長崎甲状腺クリニック(大阪市東住吉区)院長が解説します。

長崎甲状腺クリニック(大阪) ゆるキャラ Jo

動脈硬化した血管に甲状腺が! バセドウ病甲状腺がモデル)
高度で専門的な知見は

を御覧ください。

Summary

甲状腺の基礎知識を長崎甲状腺クリニック(大阪)院長が解説。男性の甲状腺は女性の約1.5倍の大きさで、女性の甲状腺と比べ、かなり下方にあり、超音波(エコー)検査で見えにくい場合がある。甲状腺ホルモンは体の新陳代謝を活発にするホルモン。甲状腺濾胞で、巨大蛋白サイログロブリンにチロシンやヨードが結合し甲状腺ホルモン(T3,T4)が形成。血液中の甲状腺ホルモン(FT4,FT3)が多くなると下垂体からの甲状腺刺激ホルモン(TSH)の分泌低下するネガティブフィードバック機構により、血液中の甲状腺ホルモン量は一定の範囲に維持される。

Keywords

甲状腺,ヨード,下垂体,T4,T3,甲状腺刺激ホルモン,TSH,バセドウ病,甲状腺ホルモン,甲状腺機能亢進症,甲状腺機能低下症

甲状腺の役割

甲状腺の位置と大きさ

甲状腺の位置と大きさ

甲状腺は首の前、「のどぼとけ」の下にあります。大きさは、縦が4cmほど、重さが18gほどの蝶のような形です。後の気管(肺へいく空気の管)を抱き込むように付いています。

正常な甲状腺は薄く柔らかく、首を触ってもわかりませんが、少しでもはれると、手で触れます。さらに、はれると、くびを見ただけでわかります。

甲状腺の構造

甲状腺は、右(右葉;うよう)、左(左葉;さよう)、真ん中(峡部;きょうぶ)から成ります。

甲状腺超音波(エコー)検査では、右から順番に異常はないか調べていきます。(図;バーチャル臨床甲状腺カレッジより)

男性・女性で異なる甲状腺

男性・女性の甲状腺の違い

男性・女性の甲状腺は、大きさ・位置が異なります。男性の甲状腺は、一般的には女性の約1.5倍の大きさで、位置も女性の甲状腺と比べると、かなり下の方にあります。

そのため、男性の甲状腺は、一番下の部分が鎖骨に掛かり、超音波(エコー)検査で非常に見えにくい場合が多々あります。

このような場所に甲状腺腫瘍が隠れていたりすると厄介です。

甲状腺の機能

甲状腺は、甲状腺ホルモンを作る臓器(内分泌腺)です。甲状腺ホルモンは、体の新陳代謝(しんちんたいしゃ)を活発にするホルモンです。

甲状腺ホルモンとは

甲状腺ホルモンには、ヨウ素(ヨード)の元素が4つのサイロキシン(T4)と、3つのトリヨードサイロニン(T3)の2種類があります。
 
甲状腺では主にT4、一部T3を作り、血中へ分泌され全身へまわります。
T4は肝臓などでヨードが一つ外れT3になります。

甲状腺ホルモン作用はT3の方が10倍強く、T4はT3の前段階といえます。

甲状腺ホルモン

甲状腺ホルモンの働き

甲状腺ホルモンの働きは、

  1. 新陳代謝(しんちんたいしゃ)を活発にする(その時、糖や脂肪が燃焼され、熱が発生)

  2. 心臓に作用し、心拍数・心拍出量を増やす

  3. 交感神経の作用を高める

  4. 腎臓に作用し、体内へナトリウム(塩分)を取り込む(腎尿細管でのNa/K-ATPase活性を高め、ナトリウム再吸収を促進)

  5. 胎児→成長期の子どもの脳や体の発育を促す(軟骨や骨を作る・成長ホルモンの合成促進)

甲状腺ホルモンの合成

甲状腺の中は、甲状腺濾胞上皮が円形に結合した甲状腺濾胞が無数にあります。甲状腺濾胞の内側は濾胞腔になっていて、ここで、サイログロブリンと言う巨大蛋白にアミノ酸のチロシンやヨードが結合し甲状腺ホルモン(T3,T4)が形成されます。

甲状腺濾胞

甲状腺濾胞

甲状腺濾胞模型

甲状腺濾胞模型

下垂体による甲状腺ホルモンの調節

体内では、血液中の甲状腺ホルモンが常に一定の値を維持できるよう、脳の下垂体が調節をおこなっています。

下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)は、甲状腺を刺激して甲状腺ホルモン(T4, T3)の分泌を促します。

血液中に分泌された甲状腺ホルモン(T4, T3)の99.98%は血清蛋白と結合しますが、この状態ではホルモンとしての働きはありません。実際にホルモン作用をおこすのは、わずか0.02%の遊離型のFT4, FT3です。(よって、採血で測るのはFT4, FT3で、T4, T3を測る意味は全くありません。)

FT4, FT3は

  1. 視床下部に作用し、TSH放出ホルモン(TRH)を介して
  2. 下垂体に直接作用して

下垂体からの甲状腺刺激ホルモン(TSH)の分泌を調節します。

下垂体による甲状腺ホルモンの調節(簡易版)ppt

下垂体による甲状腺ホルモンの調節(簡易版)

下垂体による甲状腺ホルモンの調節

下垂体による甲状腺ホルモンの調節(詳細版)
(バーチャル臨床甲状腺カレッジより)

正常な下垂体-甲状腺の調節機能

血液中の甲状腺ホルモンが多くなると、下垂体からの甲状腺刺激ホルモン(TSH)の分泌量が抑えられ、甲状腺ホルモンの合成・分泌が減ります。(この調節機能をネガティブフィードバック機構といい)

逆に、血液中の甲状腺ホルモンが下がると、ネガティブフィードバック機構が解除され、甲状腺刺激ホルモン(TSH)の分泌量が増えて、甲状腺ホルモンの合成・分泌が増えます。

この調節により、血液中の甲状腺ホルモンの量は、常に一定の範囲に維持されます。

※難しい話ですが(医療関係者以外不要)、甲状腺ホルモン(FT4, FT3)は、

  1. 視床下部に作用し、TSH放出ホルモン(TRH)遺伝子転写を調節[視床下部傍室核(PVN)に発現するprepro-TRH遺伝子を調節]
  2. 下垂体で、甲状腺刺激ホルモン(TSH)を構成するβ鎖の遺伝子(TSHβ遺伝子)転写を調節

します。

視床下部傍室核

※難しい話ですが(医療関係者以外不要)、甲状腺ホルモン(FT4, FT3)は、

  1. 視床下部に作用し、TSH放出ホルモン(TRH)遺伝子転写を調節[視床下部傍室核(PVN)に発現するprepro-TRH遺伝子を調節]
  2. 下垂体で、甲状腺刺激ホルモン(TSH)を構成するβ鎖の遺伝子(TSHβ遺伝子)転写を調節

します。(図;視床下部傍室核 脳科学辞典より)

交感神経興奮

寒冷ストレスなどの交感神経興奮もまた甲状腺ホルモン分泌を促進します。[図;下垂体による甲状腺ホルモンの調節(詳細版)]の一番上のように、寒冷刺激が視床下部に伝わり、TRH(TSH放出ホルモン)の分泌を促します。

脳内の神経から放出され、電気信号を伝える神経伝達も視床下部に作用し、TRH(TSH放出ホルモン)分泌に影響します。ノルアドレナリンはTRH分泌促進、ドーパミン系は抑制、セロトニン系はどちらもあり得えます。

甲状腺機能亢進症/バセドウ病, 甲状腺中毒症甲状腺機能低下症の調節機能への影響

甲状腺機能亢進症/バセドウ病, 甲状腺中毒症

甲状腺機能低下症

甲状腺機能亢進症/バセドウ病, 甲状腺中毒症は、血液中の過剰な甲状腺ホルモン(FT4, FT3)が、下垂体を強く、視床下部を弱く抑制して、TSHの合成・分泌を低下させます。(典型的な血液検査はFT4↑、FT3↑、TSH↓)

甲状腺機能低下症は、血液中の甲状腺ホルモン(FT4, FT3)が低下すると、TSHの合成・分泌が上昇します。しかし、甲状腺がTSHに反応して甲状腺ホルモンを合成・分泌できないため、典型的な血液検査はFT4↓、FT3↓、TSH↑。

いずれの場合も、甲状腺ホルモン(FT4, FT3)が正常化すると、遅れてTSHも正常化します。

「正常な甲状腺」と診断するには?

「正常な甲状腺」と診断するには、どうすればよいか?そもそも、「正常な甲状腺」とはどのような甲状腺を指すのでしょうか?「異常のあるもの」を「異常」と言うのは簡単な事ですが、「異常が無い」と断言するのは意外と難しい事があります。

正常な甲状腺(女性) 超音波(エコー)画像

正常な甲状腺(女性) 超音波(エコー)画像

正常な甲状腺(男性) 超音波(エコー)画像

正常な甲状腺(男性) 超音波(エコー)画像

JABTS(日本乳腺甲状腺超音波医学会)の定義では、

  1. 甲状腺の病気がなく、
  2. (採血で)甲状腺ホルモンの値が正常
  3. 超音波検査で異常が認められない

ものが「正常な甲状腺」です。すなはち、甲状腺エコー(甲状腺超音波検査)しなければ、「正常な甲状腺」と診断できない事になります。1. 2.は簡単ですが、3.は甲状腺エコー(甲状腺超音波検査)に精通した専門医の技術が必要になります。

(採血で)甲状腺ホルモンの値が正常であっても、超音波検査で異常が認められる例を挙げれば、

  1. 血液検査で異常が出ない甲状腺癌甲状腺腫瘍(良性含む)
  2. 血液検査で甲状腺ホルモン値が正常, 甲状腺自己抗体(甲状腺を破壊する抗体、橋本病抗体)陰性だが、甲状腺エコー(甲状腺超音波検査)で破壊性変化を認める場合。現行の診断基準では「橋本病(慢性甲状腺炎)疑い」になりますが、破壊性変化が存在する事実は変わりません。
    現在のような高性能甲状腺エコー(甲状腺超音波検査)が存在しない、はるか昔に作られた橋本病診断基準では、「抗甲状腺抗体が陽性にならなければ橋本病と診断できない」事になっています(時代錯誤もはなはだしい)。
  3. 血液検査で甲状腺ホルモン値が正常の多のう胞性甲状腺病、甲状腺のう胞。

などです。特に甲状腺エコー(甲状腺超音波検査)による破壊性変化の評価は、長崎甲状腺クリニック(大阪)が得意とするところです(橋本病の抗体/  橋本病 破壊の程度の評価)。

血液検査で測る甲状腺ホルモン

血液中で甲状腺ホルモン(T4, T3)の99.98%は血清蛋白と結合しますが、この状態ではホルモンとしての働きはありません。実際にホルモン作用をおこすのは、わずか0.02%の遊離型のFT4, FT3です。(よって、採血で測るのはFT4, FT3です。)

総甲状腺ホルモン量のT4, T3は、

  1. ホルモン作用を持たず
  2. 結合蛋白濃度の影響を受ける

よって、採血で測るのはFT4, FT3で、T4, T3を測る意味はありません。

血液検査で測れるホルモンの数

FT4の年齢による変化

FT4(甲状腺ホルモン;サイロキシン)の値は、

  1. 男性は年齢と伴に低下して行きます(ただし、健常人男性では正常範囲内の低下です)
  2. 女性は年齢にほとんど影響されず一定
    (第60回 日本甲状腺学会 専門医教育セミナーⅠ)

その甲状腺の血液検査の結果、本当の値ですか?

日本医師会精度管理調査(日医サーベイ)は、1967年以降、毎年行われ、検査センターや病院の検査室が正しい値を出しているか(精度が保たれているか)を調べています。医療機関の血液検査を受託する検査センター(企業)や、自前で検査を行う大病院は、必ず第3者機関である日本医師会精度管理調査(日医サーベイ)に参加し、信頼できる検査値を出している事を保証しています。(参加する法的義務が無く、有料なのが落とし穴です。)

最も、日本医師会精度管理調査(日医サーベイ)自体、検査センター・医療機関から郵送されてくる(正常値の基準となる)管理試料の精度を検定するだけなので、最低限の保証にしかなりません。検査センター・医療機関で実際に使用されている測定機械が精密に働いているか調べている訳ではありません。

徹底的に検査の精度にこだわる長崎甲状腺クリニック(大阪)は、日本有数の大手検査センターであるBML検査センターに、甲状腺を含む全ての検査項目を依頼しています。

院内に甲状腺ホルモン・バセドウ病/橋本病抗体を測定する機械を設置し、2-3時間で検査結果を出すことも不可能ではありません。一見、その日の内に結果が出て、便利に思えます。しかし、一病院/クリニック規模の測定機械の精度管理が、全国規模の検査センターに及ばないのは、当然です。まして、日本医師会精度管理調査(日医サーベイ)に参加していないのでは、最低限の保証もありません。

精度に信頼性が無ければ、迅速さは無意味です。信頼性の高い血液検査精度を優先し、大手のBML検査センターと契約

日本医師会精度管理調査(日医サーベイ)でさえも・・・

日本医師会精度管理調査(日医サーベイ)では、医療機関から郵送されてくる(正常値の基準となる)管理試料を使ってTSHとFT4を測定し、精度を検定します。2013~2017 年調査のTSHは、同一の測定方法でのばらつき(CV%)が約3%、FT4 も約3%でした。3%以内が誤差の範囲なのでギリギリと言ったところです。

日本医師会精度管理調査(日医サーベイ)の第3者評価を受けようと言う検査センター・医療機関は、当然、精度管理を真面目に行っているのに、それでも3%の値のズレが出てしまうのは仕方ないです。

甲状腺の病気って、どれくらいの確率で持ってるの?

日本で、特に相手を限定せず甲状腺の超音波検診を行うと、何と!0.9~14%に、びまん性病変(橋本病バセドウ病腺腫様甲状腺腫など甲状腺が全体的に腫れる病気)を、0.5~4.7%に結節性病変(良悪性含めて、しこり、甲状腺腫瘍)を認めます。

甲状腺癌は0.13%(1000人に1人以上)にみられ、男性は女性の1/4~1/6と報告されます。

あなたの甲状腺機能は大丈夫?正常?亢進?低下?

症状チェック甲状腺機能亢進

甲状腺機能亢進症:該当する方は バセドウ病 へ

症状チェック 甲状腺機能低下

甲状腺機能低下症:該当する方は 甲状腺機能低下症 へ

甲状腺機能亢進症症状

甲状腺機能亢進症:該当する方は バセドウ病 へ

甲状腺機能低下症症状

甲状腺機能低下症:該当する方は 甲状腺機能低下症 へ

甲状腺の歴史(医学史コーナー)

甲状腺の歴史は、筆者も最近まで知りませんでした。以下は日本甲状腺外科学会50周年記念誌を参考にしています。

紀元2世紀、既に頚部腫瘤に対する切除手術が行われていました。ガレノス(ローマ帝国時代のギリシアの医学者)は、映画グラディエーターの時代、ローマ皇帝マルクス・アウレリウス・アントニウスの典医であり、多くの外科手術を行っていたそうです。ガレノスは、頚部腫瘤(おそらく甲状腺腫瘤も多く含まれていたはず)切除の後に声が出なくなるのは、反回神経を傷付けるのが原因である事を、豚を使った実験で証明しました(現代では動物虐待になりますが)。ローマ時代に既に甲状腺手術が行われていたとは・・・。

グラディエーター

映画「グラディエーター」

豚の反回神経切除実験

豚の反回神経切除実験

ガレノス(ローマ帝国時代のギリシアの医学者)

ガレノス(ローマ帝国時代のギリシアの医学者)

甲状腺関連の上記以外の検査・治療   長崎甲状腺クリニック(大阪)


長崎甲状腺クリニック(大阪)とは

長崎甲状腺クリニック(大阪)は甲状腺(橋本病,バセドウ病,甲状腺エコー等)専門医・動脈硬化・内分泌の大阪市東住吉区のクリニック。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,東大阪市,天王寺区,生野区,浪速区も近く。

長崎甲状腺クリニック(大阪)

甲状腺(橋本病,バセドウ病,甲状腺エコー等)専門医・動脈硬化・内分泌・糖尿病の長崎クリニック(大阪市東住吉区)(近く に平野区、住吉区、阿倍野区、松原市)
長崎甲状腺クリニック(大阪)は甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査等]・動脈硬化・内分泌の大阪市東住吉区のクリニック。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,東大阪市近く

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