手術不能・適応外甲状腺腫瘍に対するラジオ波焼灼療法(RFA),甲状腺腫瘍破裂、凍結治療(凍結アブレーション法)[長崎甲状腺クリニック 大阪]
甲状腺:専門の検査/治療/知見② 橋本病 バセドウ病 甲状腺エコー 長崎甲状腺クリニック大阪
甲状腺専門の長崎甲状腺クリニック(大阪府大阪市東住吉区)院長が海外(Pub Med)・国内論文に眼を通して得た知見、院長自身が大阪市立大学 代謝内分泌内科で得た知識・経験・行った研究、日本甲状腺学会 学術集会で入手した知見です。
長崎甲状腺クリニック(大阪)以外の写真・図表はPubMed等において学術目的で使用可能なもの(Creative Commons License)、public health目的で官公庁・非営利団体等が公表したものを一部改変しています。引用元に感謝いたします。尚、本ページは長崎甲状腺クリニック(大阪)の経費で非営利的に運営されており、広告収入は一切得ておりません。
甲状腺・動脈硬化・内分泌代謝に御用の方は 甲状腺編 動脈硬化編 甲状腺以外のホルモンの病気(副甲状腺/副腎/下垂体/妊娠・不妊など) 糖尿病編 をクリックください。
- 。
Summary
甲状腺腫瘍に対するラジオ波焼灼療法(RFA)は手術不能・適応外の機能性結節、甲状腺微小乳頭癌、甲状腺癌術後再発・リンパ節転移に有用な可能性。特にactive surveillance(積極的経過観察)を納得できない甲状腺微小乳頭癌患者の治療に。合併症は①一過性反回神経麻痺②皮膚・気管・食道・反回神経・頸動脈などの熱傷③ホルネル症候群④血腫形成⑤一過性軽度甲状腺中毒症⑥最も恐ろしい合併症は、数か月後の甲状腺腫瘍破裂で、突然の頚部痛と腫れが生じ、出血量が多いと気管圧排されて呼吸困難に。甲状腺癌に対する凍結治療(凍結アブレーション法)の報告もある。
Keywords
甲状腺腫瘍,ラジオ波焼灼療法,RFA,甲状腺腫瘍破裂,甲状腺がん,凍結治療,凍結アブレーション,甲状腺
長崎甲状腺クリニック(大阪)は、ラジオ波焼灼療法(RFA)を行う医療機関と提携していません。また紹介状を書くこともしておりません。
甲状腺腫瘍に対するラジオ波焼灼療法(RFA;radiofrequency ablation)は、 昭和大学で2007年より行われています。海外ではラジオ波焼灼療法(RFA)のみならず、マイクロ波凝固療法(MWA)・レーザー焼灼術(LA)・集束超音波治療(HIFU)なども開発研究・臨床適応されているそうです。
ラジオ波焼灼療法(RFA)とは、超音波ガイド下に、皮膚上から電極針を甲状腺腫瘍の中心に到達させ、ラジオ波(電気メスと同じ450キロヘルツの高周波電流)の熱で甲状腺腫瘍を壊死させる治療法です。[J Med Ultrasound. 2021 Jun 21;29(2):77-83.]
確かに、手術不能・適応外の甲状腺微小乳頭癌・リンパ節転移、甲状腺癌術後局所再発・リンパ節再発に有用であることは筆者も認めます[Front Endocrinol (Lausanne). 2021 May 26:12:622996.][J Clin Endocrinol Metab. 2023 Oct 18;108(11):e1298-e1305.]。しかし、不思議な事に、ほとんど普及していません(昭和大学と、その関連病院くらい?)。機械そのものは、他臓器癌(肝癌など)に使用するものと同じなので、普及しそうなものですが・・・。保険適応外なので普及しないのか、合併症の問題なのかはっきりしません。
特に有用なのは、
- 注意深い経過観察の継続が可能な超低リスク微小乳頭癌患者(第66回 日本甲状腺学会HS2-2 超低リスク微小乳頭癌に対する新たな治療選択肢の提案 〜甲状腺ラジオ波焼灼療法(RFA)について)
- active surveillance(積極的経過観察)に不安がある甲状腺微小乳頭癌患者の初期治療[JAMA Otolaryngol Head Neck Surg. 2022 Apr 1;148(4):317-325.]
- active surveillance(積極的経過観察)を拒否した甲状腺微小乳頭癌患者の治療[J Clin Endocrinol Metab. 2023 Oct 18;108(11):e1298-e1305.]
と考えられます。
1~2cmで転移の無いT1bN0M0 甲状腺乳頭癌に対するラジオ波焼灼療法(RFA)の腫瘍消失率を、1cm未満のT1aN0M0と比較した報告があります。T1aN0M0 vs T1bN0M0 = 81.7% vs 52.7%, P < 0.001で、やはり無理がある様です。手術不能・適応外のT1bN0M0 甲状腺乳頭癌における病勢コントロールには有用かもしれません。[Eur J Endocrinol. 2021 Dec 1;186(1):105-113.]
甲状腺腫瘍が無制御に甲状腺ホルモンを産生する機能性結節に対しても、ラジオ波焼灼療法(RFA)が行われています。[Laryngoscope. 2022 Apr;132(4):906-914.][Front Endocrinol (Lausanne). 2020 May 22;11:317.]
腫瘍が大き過ぎると難しいかもしれませんが、昭和大学の報告によると、ラジオ波焼灼療法(RFA)を施行した11例の機能性結節は、
- 最大腫瘍径;焼灼前平均41.9mmから、焼灼後6か月で平均24.5mmに縮小
- 10例が甲状腺機能正常化
との結果です。ラジオ波焼灼療法(RFA)は、手術不能な機能性結節に有用。
もし、機能性甲状腺乳頭癌だった場合、周囲のリンパ節郭清が出来ない難点があります。最初からリンパ節転移の無い、10mm未満の機能性微小甲状腺乳頭癌なら有用かもしれません。
(第56回 日本甲状腺学会 O2-3 甲状腺腫瘍に対するラジオ波焼灼療法(RFA)の臨床的評価)(第62回 日本甲状腺学会 P5-3当科における機能性甲状腺結節に対するラジオ波焼灼療法(RFA)の治療成績)
甲状腺乳頭癌・機能性結節以外では、
- 良性充実性結節;ただし、4cm以上なら悪性を否定できず、摘出標本の病理診断ができないため、治療対象にすべきでないと筆者は考えます[4cm以上の甲状腺腫瘍(甲状腺結節)が癌である確率]。ただし、手術不能・適応外の場合は有用。
- 濾胞性腫瘍は治療対象とすべきではない;摘出標本の病理診断ができない(最終的に良悪性を診断できない)ため
- のう胞性結節;筆者は手術切除を推奨するが、経皮的エタノール注入療法(Percutaneous Ethanol Injection Therapy;PEIT)が優先される施設も[放置できない・穿刺排液困難、何度、穿刺排液しても液がたまる甲状腺のう胞腺腫(甲状腺嚢胞腺腫)]
[J Med Ultrasound. 2021 Jun 21;29(2):77-83.][Ultrasonography. 2021 Jan;40(1):75-82.]
ラジオ波焼灼療法(RFA)の合併症は、約3%と言われ、
- 一過性反回神経麻痺(一時的な声の変化)で、経皮的エタノール注入療法(Percutaneous Ethanol Injection Therapy;PEIT)と同じ
- 気管・食道・反回神経・頸動脈など周囲組織の熱傷
- ホルネル(ホルナー、Horner)症候群[Eur Radiol. 2017 Aug;27(8):3128-3137.]
- 皮膚熱傷
- 血腫の形成
- 一過性軽度甲状腺中毒症(約50%);破壊された腫瘍組織から出た甲状腺ホルモンが血中へ流入するためでしょう。
- 数か月後の甲状腺腫瘍破裂(下記)
などです。(第56回 日本甲状腺学会 P1-094 甲状腺RFA 治療後に一過性甲状腺機能亢進症を呈した症例の検討)(Endocrinol Metab (Seoul). 2019 Dec;34(4):415-421.)
ラジオ波焼灼療法(RFA)の最も恐ろしい合併症は、数か月後の甲状腺腫瘍破裂です。突然の頚部痛と腫れが起こります。出血量が多いと、気管圧排されて呼吸困難に。軽度なら入院の上、保存的に治療すれば改善しますが、血腫の吸引や切開・ドレナージを必要とするケースもあります。ラジオ波焼灼療法(RFA)が普及しない理由の一つかもしれません。
下記はラジオ波焼灼療法(RFA)後、数か月して甲状腺腫瘍破裂を起こした画像です。甲状腺腫瘍の境界は、飛び出した内容物で不明瞭になります(Endocrinol Metab (Seoul). 2019 Dec;34(4):415-421.)。
乳癌をはじめ様々な癌に凍結治療(凍結アブレーション法)が行われています。日本では保険適応なく、ほとんど普及していません。具体的には、凍結針を腫瘍に刺し、針の先端部を超低温にして癌細胞を破壊します。
甲状腺関連の上記以外の検査・治療 長崎甲状腺クリニック(大阪)
- 甲状腺編
- 甲状腺編 part2
- 内分泌代謝(副甲状腺/副腎/下垂体/妊娠・不妊等
も御覧ください
長崎甲状腺クリニック(大阪)とは
長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査など]による甲状腺専門クリニック。大阪府大阪市東住吉区にあります。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,天王寺区,東大阪市,生野区,浪速区も近く。




