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環境ホルモン・硝酸窒素の甲状腺への影響     [甲状腺 専門医 橋本病 バセドウ病 甲状腺超音波(エコー)検査 内分泌 長崎甲状腺クリニック(大阪)]

甲状腺:専門の検査/治療/知見④ 橋本病 バセドウ病 専門医 長崎甲状腺クリニック(大阪)

環境ホルモンと甲状腺ホルモン

甲状腺の、長崎甲状腺クリニック(大阪市東住吉区)院長が海外論文に眼を通して得たもの、院長自身が大阪市立大学 代謝内分泌内科で行った研究、甲状腺学会で入手した知見です。

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長崎甲状腺クリニック(大阪)は、甲状腺専門クリニックです。環境ホルモン・硝酸窒素、その物には対応しておりません。

環境ホルモンの甲状腺ホルモン作用への影響

Summary

体内でホルモン様の内分泌作用をおこす化学物質は環境ホルモン(内分泌かく乱物質)。ポリ塩化ビフェニル(PCB)は甲状腺ホルモン結合蛋白のトランスサイレチン(プレアルブミン)と強力に結合、甲状腺ホルモン結合阻害。胎盤を通過し胎児の脳発達を阻害。ビスフェノールAは胎児や乳幼児の内分泌・生殖系に影響。硝酸性窒素、亜硝酸性窒素は甲状腺癌の危険因子。

Keywords

環境ホルモン,甲状腺ホルモン,内分泌かく乱物質,ポリ塩化ビフェニル,PCB,水酸化ポリ塩化ビフェニル,OH-PCB,ビスフェノールA,硝酸性,甲状腺癌

環境ホルモンとは

人工的に作られた化学物質が環境を汚染し、人間・動物の体内に入ると、ホルモンと同じ様な内分泌作用を及ぼすことがあります。これらを、環境ホルモン(正式名称は内分泌かく乱物質)と呼びます。

環境ホルモンと甲状腺

環境ホルモンと甲状腺ホルモン

環境ホルモン(内分泌かく乱物質)の多くは脂溶性で、体内に分解酵素が存在しないため,身体に蓄積しやすい。環境ホルモンは生体内でホルモン環境をかく乱する可能性、特に脳発達に悪影響の可能性があります。

甲状腺ホルモン受容体(甲状腺ホルモンが結合するところ:TR )に直接作用し、甲状腺ホルモン作用をかく乱する危険性が高いのはポリ塩化ビフェニル(PCB)、ポリ臭素化ジフェニルエーテル(PBDE)です。ポリ塩化ビフェニル(PCB)は体内で水酸化ポリ塩化ビフェニル(OH-PCB)に代謝され、血中の甲状腺ホルモン結合蛋白であるトランスサイレチン(プレアルブミン)と強力に結合し、甲状腺ホルモン結合を阻害します。

トランスサイレチン(プレアルブミン)と結合した水酸化ポリ塩化ビフェニル(OH-PCB)は胎盤を通過。甲状腺ホルモンは胎児の脳・中枢神経系の発達に必須であるため、それらが阻害される可能性があります。周産期に少量のポリ塩化ビフェニルに曝露されると、知能障害がおこる報告は多くあります。(Ind Health. 2010;48(1):115-8.)

ポリ塩化ビフェニル(PCB)に含まれる可塑剤として最も広く使用されるdi-2-ethylhexyl phthalate(DEHP)はフタル酸化合物で、ラットの実験では、甲状腺組織異常、T3・T4 の生成抑制、甲状腺刺激ホルモン(TSH)減少、Na+I-シンポーター(NIS)・甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)減少が見られました。 DEHPの肝臓での分解が亢進するため、甲状腺ホルモンの分解も同時に促進されます。 (Environ Sci Pollut Res 22: 12711-12719, 2015.)

また、それら以外で、視床下部-下垂体-甲状腺フィードバック調節系,甲状腺ホルモン合成や分泌,血中甲状腺ホルモン結合タンパク,脱ヨウ化反応,グルクロン酸抱合などに作用する環境ホルモンの存在もわかってきました。

ノニルフェノール(4-Nonylphenol)を環境ホルモンとして初めて確認 

ノニルフェノール(4-Nonylphenol;4-NP)は女性ホルモン(エストロゲン)類似の化合物で、工業用洗剤の原料などに使われ、雄のメダカを雌化させるため、環境ホルモンに認定されました。あくまで、高濃度のノニルフェノールを使用した動物実験的で起きたので、自然界で同じ事が起きるかは不明です。また、人間への影響も確定的な検証データはありません。

甲状腺への影響として、金魚にノニルフェノール注射すると、甲状腺ホルモンの血清サイロキシン(FT4)濃度は低下するが、血清トリヨードサイロニン(FT3)濃度は変化なかったそうです(Sci Total Environ. 2009 May 1;407(10):3301-6) 。その一方で、動物実験ですが、ノニルフェノール(4-Nonylphenol;4-NP)は、甲状腺ホルモン受容体を介して、甲状腺ホルモン作用を増強させる可能性も報告されています(第54回 日本甲状腺学会 P64 甲状腺ホルモンによる脳発達に対する 4-Nonylphenol の影響)。

生殖機能への影響

前述のポリ塩化ビフェニル(PCB)に含まれる可塑剤として最も広く使用されるdi-2-ethylhexyl phthalate(DEHP)はフタル酸化合物で、極めて微量で内分泌かく乱作用があります。男性ホルモン(テストステロン)を低下させる抗アンドロゲン作用が深刻です。(Environmental engineering. 48: 912-917, 2013.)

環境ホルモン ビスフェノールA

ビスフェノールAは合成エストロゲン(女性ホルモン)ですが、現在医薬品として使用される事は無く、ポリカーボネート製食器の原料に使用されます。ビスフェノールAを妊娠動物に経口摂取させると、低い用量でも子供に月経異常が起こります。胎児や乳幼児ではビスフェノールAの無毒化能力が低く、中枢神経系、内分泌系、免疫系のエストロゲン受容体は未発達のため、微量の曝露でも影響出る可能性が考えられます。

疫学研究では、ビスフェノールAに曝露されると、精子数や男性ホルモン(テストステロン)濃度が低くなることが報告されています。

では一体どうすればいいの?

正直、個人のレベルで防ぐ手段はありません。厚生労働省、通産省などの行政が、環境ホルモンと認定される化学物質に規制を掛けるしかありません。しかし、地球規模の問題でもあるため、WHOが対策に乗り出すのが最良の方法です。

慢性の硝酸塩中毒で甲状腺機能低下症・甲状腺癌の発生

し尿と農薬の最終分解生成物である硝酸性窒素は、井戸水にも含まれ、人体や土の中などで、亜硝酸性窒素に変化します。亜硝酸性窒素は、胃の中で食品中の窒素化合物と反応し、発ガン性物質ニトロソアミンに変化します。チェルノブイリ原発事故では、放射線被ばくと共に、水道水の硝酸性窒素、亜硝酸性窒素は、甲状腺癌の危険因子である事が分かっています。福島原発事故では、水道水の硝酸性窒素、亜硝酸性窒素は、日本の厳しい基準を満たしており、現在の所、甲状腺癌の発生には関係ないとの結果です。(第58回 日本甲状腺学会 P1-6-4 甲状腺腫瘍と硝酸・亜硝酸窒素動態との関係)

硝酸イオンや亜硝酸イオンは一価の陰イオンで、ヨウ素イオンと競合し、甲状腺ホルモンの生合成を阻害しますが、一過性と言われます(Wyngaaden et al., 1952; Bloodfield et al., 1962; Wright and Davison, 1964). 

メチル水銀は2型脱ヨード酵素(D2)を阻害、細胞内甲状腺ホルモン[トリヨードサイロニン(T3)]を低下。低濃度シアン化合物を慢性的に摂取すると甲状腺機能異常、甲状腺腫大。ベンゼン・トルエン・NO2・SO2混合物吸入曝露すると甲状腺ホルモンのFT4が著しく低下、ろ胞コロイドが激減。鉛、カドミウム、6価クロムは甲状腺機能低下症と甲状腺癌リスクを上昇。甲状腺に大敵のヒジキには急性ヒ素中毒の原因となる無機ヒ素が多く含まれる。

メチル水銀の甲状腺への影響

水俣病の様な高濃度のメチル水銀による公害は、環境省の規制があるため、現在の日本では起こりません。しかし、低濃度メチル水銀による小児の脳神経への健康被害の可能性は、報告されています(日衛誌 2011; 66: 682-695.) (Neurotoxicology 2011; 32: 711-717.)。

メチル水銀は、脳神経の形成や、成長に影響を及ぼすとされます。メチル水銀は、動物実験で2型脱ヨード酵素(D2)を阻害し、細胞内の甲状腺ホルモン[トリヨードサイロニン(T3)]を低下させ、成長ホルモン(GH)分泌を抑制します。同様の機序で、脳の発達自体を妨げる可能性も考えられます。

シアン化合物と甲状腺

シアン化合物はシアン化水素、シアン化ナトリウム(青酸ソーダ)、シアン化カルウム(青酸カリ)などが含まれ、農薬・工業用に使用されます。 

低濃度シアン化合物を慢性的に摂取すると甲状腺機能異常、甲状腺腫大が最も起こり易いです。 

ベンゼン・トルエン・キシレンと甲状腺

ベンゼン・トルエン・キシレンは石油化学製品(合成繊維・プラスチック・ゴム)の基礎原料で、排気ガス等にも含まれ、毒性があり、シックハウス症候群の原因。

特にベンゼンは、再生不良性貧血、骨髄性白血病の原因として有名

アメリカのオイルサンド地域(おそらくルイジアナ州?)に生息する野鳥アメリカチョウゲンボウがベンゼン・トルエン・NO2・SO2混合物吸入曝露した場合、甲状腺ホルモンのFT4が著しく低下、ろ胞コロイドが激減した報告があります。映画「ペリカン文書」の様な話で、産油地域での環境汚染が生物(人間)に及ぶ危険性を伝えています(Environ Sci Technol. 2016 Oct 18;50(20):11311-11318.)

鉛と甲状腺

鉛中毒とは

鉛中毒

鉛中毒の原因

  1. 古い塗装された鋼材には鉛を含んでおり、ガス溶断の作業で鉛を吸い込み続けると鉛中毒おこります
  2. 鉛は鉛筆・シャープペンの芯、硬貨にも含まれており、普通はあり得ませんが、これらを食べ続ければ鉛中毒になります。
  3. インド製のアーユルヴェーダ製品を含む複数のサプリメントを2~3ヶ月間摂取で鉛中毒、鉛以外にカドミウム、クロム、アルミニウム、ヒ素、タリウムが検出。くれぐれも、ネットでこのようなイカガワシイものを買わない様に!(MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2015 Aug 21;64(32):883.)
    アーユルヴェーダ製品による鉛中毒は複数報告されています。(Acute Med. 2013;12(4):224-6.)(J Gen Intern Med. 2012 Oct;27(10):1384-6.)

症状は、

  1. 腹部不快感・悪心・便秘・急性腹症(急激な腹部疝痛;鉛疝痛)
  2. 橈骨神経麻痺など特に伸筋の末梢神経障害
  3. 認知障害、人格変化、中枢神経障害
  4. 正常なヘモグロビン形成を阻害するため貧血
  5. 腎不全

診断は、尿中δ-アミノレブリン酸の増加(鉛によるδ-アミノレブリン酸脱水素酵素阻害による)

治療は、EDTA などキレート剤投与

予防には、作業時の防塵マスクが必要です。(Br Dent J. 2009 Jun 27;206(12):608.)

鉛中毒と甲状腺

ガソリンポンプ労働者または自動車整備士の血中鉛 (Pb-B) 濃度が高い群では、血中TSH値が有意に高かったが、問題になる程高くなかったそうです。(Biometals. 2000 Jun;13(2):187-92.)

その一方で、電池作業者では、血中鉛 (Pb-B) 濃度が全く血中TSH値に影響しなかったと言う報告もあります。(Int Arch Occup Environ Health. 1992;64(1):49-57.)

鉛、カドミウム、クロムは甲状腺機能低下症甲状腺癌のリスクを上昇させる報告もあります。(Environ Sci Pollut Res Int. 2019 Dec;26(35):35787-35796.)

ヒ素中毒と甲状腺

ヒ素は、かつて農薬、殺虫剤、ネズミ駆除剤、防腐剤などに含まれておりました。これらで汚染された井戸水の摂取によるヒ素中毒が起こり得ます。

ヨウ素(ヨード)過剰摂取おこすため甲状腺に大敵のヒジキには、急性ヒ素中毒の原因となる無機ヒ素も多く含まれています(最悪やな)。ヒジキの産地により無機ヒ素の含有量は、かなりばらつきがありますが、見た目でヒ素が多いか少ないかなど判断できないため、避けるに越したことはありません。

ヒ素は甲状腺ホルモン、女性ホルモン(エストロゲン)男性ホルモン(テストステロン)などのホルモン産生に影響を与えます。

急性ヒ素中毒の症状は

  1. 吐き気・おう吐、腹痛や下痢
  2. 意識障害、けいれん
  3. ショック、不整脈

慢性ヒ素中毒では、

  1. 手掌・足底の角化・色素沈着、爪のミーズ線(Clin Lab Med. 2006 Mar;26(1)67-97, viii.)
  2. 高血圧
  3. 末梢血管壊死
  4. 糖尿病性神経障害と同じグローブ・ストッキング型の末梢神経障害(シビレ)
  5. 皮膚がん・肺がん・肝臓がん・腎臓がん・膀胱がんの発生率上昇(Can Med Assoc J 1975;113:396–401.)
  6. 無機ヒ素は胎盤を通り催奇形性の可能性(Am J Dis Child 1969;117:328–30.)
慢性ヒ素中毒

クロムと甲状腺

6価クロムは、肺がん・鼻がんを引き起こす職業性発がん性物質(セメント、クロムメッキ、なめし革)です。直接の因果関係は証明できませんが、甲状腺癌・喉頭がん・咽頭がん・腎臓癌、精巣癌・骨の癌の死亡率を増加させるとされます。(Front Oncol. 2019 Feb 4;9:24.)

6価クロムは甲状腺にも毒性が高く、動物実験ですが、甲状腺の濾胞細胞を障害し、甲状腺機能低下症を起こします。(Histol Histopathol. 2010 Nov;25(11):1355-70.)

中国の報告ですが、ごみ焼却施設の周囲に住む学童は鉛、カドミウム、クロムは血中濃度が高く、DNAに障害を受けている可能性が指摘されています(Environ Res. 2018 Nov;167:488-498.)。

6価クロムは、アレルギーを強力に引き起こすアレルゲン物質でもあります。(写真:Contact Dermatitis   2014 May;70(5)321-3.)

クロムアレルギー

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