甲状腺で脳塞栓や心原性脳塞栓(心原性脳梗塞)[日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医 橋本病 バセドウ病 甲状腺エコー検査 長崎甲状腺クリニック(大阪)]
甲状腺:専門の検査/治療/知見 橋本病 バセドウ病 甲状腺エコー 長崎甲状腺クリニック大阪
甲状腺専門の長崎甲状腺クリニック(大阪府大阪市東住吉区)院長が海外・国内論文に眼を通して得た知見、院長自身が大阪市立大学(現、大阪公立大学) 代謝内分泌病態内科学(内分泌内科)で得た知識・経験・行った研究、日本甲状腺学会で入手した知見です。
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脳血管障害の症状は突然おこります。脳梗塞(アテローム血栓性脳梗塞やラクナ梗塞)症状は急性期に変動することが多いのに対して、脳塞栓(心原性脳塞栓症)症状はいきなり完成することが多いのが特徴。
長崎甲状腺クリニック(大阪)は甲状腺専門クリニックです。脳塞栓、心原性脳塞栓(心原性脳梗塞)の診療を行っておりません。
Summary
甲状腺機能亢進症/バセドウ病,甲状腺機能低下症/潜在性甲状腺機能低下症/橋本病で脳塞栓や心原性脳塞栓の危険性あり。脳塞栓は甲状腺機能亢進症/バセドウ病の血管内皮障害・類モヤモヤ病、自己免疫性甲状腺疾患(バセドウ病・橋本病)に合併する抗リン脂質抗体症候群でおこる。心原性脳塞栓は甲状腺心(サイロイドハート);甲状腺機能亢進症/バセドウ病の心房細動(Af)・たこつぼ型心筋症・僧帽弁逸脱症・感染性心内膜炎、甲状腺機能低下症の粘液水腫心、徐脈性不整脈、両方の代謝性心筋症・4週以内の心筋梗塞、甲状腺腺腫/甲状腺癌のCarney症候群でおこる。
Keywords
甲状腺で脳塞栓をおこすことがあります。特に甲状腺の病気は若者に多いため、若くで脳塞栓になるのです。
- 甲状腺機能亢進症/バセドウ病・甲状腺機能低下症/橋本病の心原性脳梗塞(甲状腺で心原性脳塞栓)
- 甲状腺機能亢進症/バセドウ病で血管内皮障害:循環血液量増大、高拍出量、収縮期血圧上昇、脈圧増大→血管内皮障害因子(Endothelial Vascular Injury Marker)が上昇。
頚動脈等でプラーク、血栓形成→脳に飛んで脳血栓塞栓に。
甲状腺機能亢進症/バセドウ病では血栓を溶解する線溶系の活性も低下していて血栓ができやすい(甲状腺と血栓症-深部静脈血栓 )。
一般的な心原性脳塞栓(心原性脳梗塞)は高齢者が多く、増加傾向にあり、約70%に非弁膜症性心房細動(NVAf)を認めます。
しかし、甲状腺機能亢進症/バセドウ病では、若年者でも心原性脳塞栓おこる点が異なります。
心原性脳塞栓(心原性脳梗塞)になると
心原性脳塞栓症(心原性脳梗塞)は、脳梗塞全体の約30%を占め、脳梗塞の中で最も激烈・重症、死亡率・後遺障害の率が高いです。
心原性脳塞栓症(心原性脳梗塞)は近年増加傾向で、人口の高齢化に伴う非弁膜症性心房細動(NVAF)が増加しているのが原因と考えられます。
心原性脳塞栓(心原性脳梗塞)は、
- 急な発症
- 大きな血管が詰まる;塞栓子は血流の多い所に向かいます。最も血流量が多い中大脳動脈に詰まり易いです。
- 同時多発性梗塞
- 出血性梗塞
が特徴です。
心原性脳塞栓(心原性脳梗塞)の原因
心原性脳塞栓症(心原性脳梗塞)の多くは左房内血栓が原因で、以下の甲状腺心(サイロイドハート)でおこります。
- 甲状腺機能亢進症/バセドウ病の最も有名な不整脈の心房細動(Af)
- 代謝性心筋症:甲状腺機能亢進症/バセドウ病では、過剰な甲状腺ホルモンやカテコラミンが心臓に無理な働きを強いり、最後は心筋が疲れ果て心筋障害がおこります。 甲状腺機能低下症/橋本病では粘液水腫心と言われ、ムコ多糖類の増加により心筋細胞変性、心筋組織の間質浮腫により心筋収縮力が低下します。
- たこつぼ型心筋症:甲状腺機能亢進症/バセドウ病で過剰な甲状腺ホルモンや、交感神経活動性亢進で分泌されたカテコラミンのため心筋が異常収縮。
- 甲状腺機能低下症/橋本病では徐脈性不整脈
- Carney(カーニー)症候群は再発性の心臓粘液腫に、多発性内分泌腫瘍(クッシング症候群、成長ホルモン・プロラクチン産生下垂体腺腫、精巣腫瘍、甲状腺腺腫または甲状腺癌、卵巣嚢腫)、骨軟骨粘液腫を伴います。
- 4週以内の心筋梗塞:(甲状腺から動脈硬化→心臓病・急性大動脈解離)
甲状腺機能低下症/潜在性甲状腺機能低下症/橋本病では冠状動脈硬化が進行
甲状腺機能亢進症/バセドウ病では過剰な甲状腺ホルモン、2次的な交感神経活動性亢進で分泌されたカテコラミンが心筋を刺激、酸素需要量の増大により心筋虚血がおこり、
狭心症/心筋梗塞の発症率が上がります。 - 僧帽弁逸脱症は甲状腺機能亢進症/バセドウ病の30%に合併(心臓弁膜症と甲状腺)
- 感染性心内膜炎の1/3は僧帽弁逸脱症。
心原性脳塞栓(心原性脳梗塞)の治療
心房内血栓が脳へ飛び、脳梗塞(心原性脳塞栓)をおこした場合、発症後4.5時間以内なら血栓溶解剤アルテプラーゼ(t-PA)を使用できます。ただし脳卒中専門医しか使用できず、長崎甲状腺クリニック(大阪)では大阪府立急性期総合医療センター 脳卒中センターを紹介します。心原性脳塞栓は出血性梗塞が多く、抗トロンビン剤:アルガトロバンは禁忌。
t-PAにも禁忌があり
- 頭蓋内出血の既往
- 3か月以内の別の脳梗塞
- 降圧療法後の収縮期血圧185以上、拡張期血圧110以上
- 血糖50以下400以上
- ワーファリン効果PT-INR 1.7以上
- その他出血すればまずい状態などです。
81歳以上の高齢者は慎重投与ですが禁忌ではありません
アルテプラーゼを使用できない場合、心原性脳塞栓発症後4.5時間を過ぎた場合、
- 24時間以内なら脳保護剤エタラボン
- 48時間以内ならアスピリン
- 5日以内なら抗血小板薬(トロンボキサンA2産生抑制)オザグレル
心原性脳梗塞の予後
心原性脳塞栓症(心原性脳梗塞)は、脳梗塞の中で最も激烈・重症のため、約半数が
- 歩けなくなる
- 寝たきりになる
- 死亡する
のいずれかになります。
心原性脳塞栓(心原性脳梗塞)をおこしたことがあり、ワーファリンを服用中の方が抜歯する場合、ワーファリンは中止せずに抜歯します。(もちろん抗甲状腺薬も)
高齢者は甲状腺とは無関係に心房細動(Af)の罹患率高く、心原性脳塞栓(心原性脳梗塞)が最多。
CHADS2[心房細動(Af)での、心原性脳塞栓発症リスク]
- H:高血圧[甲状腺機能亢進症/バセドウ病・甲状腺中毒症と収縮期高血圧(上の血圧が高い高血圧)]、[甲状腺機能低下症/潜在性甲状腺機能低下症と拡張期高血圧(下の血圧が高い高血圧)]
- A:75歳以上(老年期甲状腺機能亢進症/バセドウ病、甲状腺機能低下症/潜在性甲状腺機能低下症の動脈硬化促進
- D:糖尿病
- S2:脳梗塞の既往・一過性脳虚血発作
甲状腺関連の上記以外の検査・治療 長崎甲状腺クリニック(大阪)
長崎甲状腺クリニック(大阪)とは
長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査など]による甲状腺専門クリニック。大阪府大阪市東住吉区にあります。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,東大阪市,天王寺区,生野区も近く。