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髄膜炎菌/肺炎球菌で副腎クリーゼ(急性副腎皮質不全)、副腎出血 [日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医 橋本病 長崎甲状腺クリニック 大阪]

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内分泌代謝(副甲状腺・副腎・下垂体)専門の検査/治療/知見 長崎甲状腺クリニック(大阪)

長崎甲状腺クリニック(大阪)は甲状腺専門クリニックです。副腎の診療を一切、行っておりません。

甲状腺専門内分泌代謝長崎甲状腺クリニック(大阪府大阪市東住吉区)院長が海外・国内論文に眼を通して得た知見、院長自身が大阪市立大学(現、大阪公立大学) 代謝内分泌内科(内分泌骨リ科)で得た知識・経験・行った研究、日本甲状腺学会で入手した知見です。

長崎甲状腺クリニック(大阪)以外の写真・図表はPubMed等で学術目的にて使用可能なもの、public health目的で官公庁・非営利団体等が公表したものを一部改変しています。引用元に感謝いたします。尚、本ページは長崎甲状腺クリニック(大阪)の経費で非営利的に運営されており、広告収入は一切得ておりません。

Summary

甲状腺クリーゼは相対的な急性副腎不全(急性副腎皮質不全)/副腎クリーゼ。髄膜炎菌/肺炎球菌のウォーターハウス・フリードリヒセン症候群(副腎出血)、喘息・アレルギー性鼻炎の副腎皮質ステロイド長期使用後中止、下垂体障害で副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)分泌低下、慢性副腎皮質機能低下症に感染症(インフルエンザなど)、手術、外傷などが加わり発症。

Keywords

甲状腺クリーゼ,急性副腎不全,急性副腎皮質不全,副腎クリーゼ,髄膜炎菌,肺炎球菌,ウォーターハウス・フリードリヒセン症候群,副腎出血,副腎皮質ステロイド,甲状腺

甲状腺クリーゼの症状と似ている急性副腎皮質不全

副腎クリーゼ(急性副腎不全)と甲状腺クリーゼの関係

副腎クリーゼ急性副腎不全は、急性胃腸炎・甲状腺クリーゼの症状と似ています。そもそも、甲状腺クリーゼの病態の主要な一部が、副腎クリーゼ急性副腎不全なのです。

副腎クリーゼ(急性副腎不全)とは

副腎クリーゼ(急性副腎不全)とは、急激な副腎皮質ホルモンの相対的・絶対的欠乏によりおこる致死的な状態です。

副腎クリーゼ急性副腎不全)の原因

  1. 副腎の細菌感染(髄膜炎菌・肺炎球菌)・出血(ワーファリン服用中)・副腎梗塞(抗リン脂質抗体症候群)による副腎皮質ホルモンの急激な減少
     
  2. 下垂体障害による副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の分泌低下[脳外傷・脳外科手術・出産時の出血多量(シーハン症候群)下垂体卒中 ]
     
  3. 慢性副腎皮質機能低下症で、感染症・外傷・手術など強いストレスがかかった場合(副腎クリーゼ急性副腎不全予防の目的で通常の2-3倍量(全身麻酔手術では10倍量)のステロイドを追加内服します)
  4. 慢性副腎皮質機能低下症で、副腎皮質ステロイド薬を突然中止した場合(自己中断など)
  5. 長期のステロイド内服により患者自身の副腎皮質機能が廃絶した状態で、特に維持量(プレドニゾロン5mg/日以下)を服薬中に、感染を合併した時(シックデイ)。
     
  6. 甲状腺クリーゼ甲状腺クリーゼでは、過剰な甲状腺ホルモンにより、副腎皮質ホルモンが分解され、副腎クリーゼ急性副腎不全)を合併しています。
     
  7. 根治切除不能甲状腺がんの副腎転移に対してレンビマ®(レンバチニブ)を使用した時 [レンビマ®(レンバチニブ)の副作用;副腎転移に使用し副腎出血]

副腎クリーゼ(急性副腎不全)の誘因

副腎クリーゼ(急性副腎不全)の誘因としては、

  1. 感染症(インフルエンザなど)63%
  2. 手術6%
  3. 外傷6%

とされます。(Med J Aust 188:409-413, 2008)

副腎クリーゼ急性副腎不全)の症状

副腎クリーゼ急性副腎不全の症状は多彩で非特異的なものが多く、

  1. 初期症状は、発熱(微熱から38度以上の高熱)、全身痛(関節痛)、消化器症状(腹痛、嘔吐、便秘、下痢)、精神症状(低血糖低ナトリウム血症によるなどです。
    (急性腹症と誤診されやすく、要注意)
      

  2. 続いてショック症状(急激な血圧低下、脱水、低ナトリウム血症低血糖、呼吸困難、意識障害)になり、治療が遅れると死に至ります。

副腎クリーゼ急性副腎不全)の診断・治療

血中コルチゾール、尿中17-OHCSが低値、ACTHが

  1. 高値なら原発性副腎皮質機能低下症
  2. 低値なら中枢性(続発性)副腎皮質機能低下症

と診断しますが、最も早く結果の出る血中コルチゾールでも翌日報告になります。

待ってられないので、低ナトリウム血症高カリウム血症低血糖好酸球増加が確認されれば、検体採取し血中コルチゾール/ACTH/尿中17-OHCS測定をオーダーした後、迅速に副腎皮質ステロイド補充を開始します。

  1. 静注用ヒドロコルチゾン(ソル・コーテフ、サクシゾン、水溶性ハイドロコートン)を、100~200 mg急速静注(静注が困難な場合は筋注)。続けて初期投与量と同量を5%ブドウ糖液に混ぜ、24時間で均等に持続点滴静注。
       
  2. Kを含まない初期第1輸液溶液(ソリタT1・ソルデム1)10~20 mL/kg/hr を1~2時間急速大量輸液。その後、必要な水分量・電解質・アルカリ量を計算して輸液を調節し、24~48時間かけて補正。Kが正常化したら維持量を開始。

 翌日の確認になりますが、血中コルチゾール値が5 μg/dL 未満なら、副腎クリーゼ(急性副腎不全)が強く疑われます。

甲状腺機能低下症を合併している場合、副腎クリーゼ(急性副腎不全)から脱却した後に、甲状腺ホルモン剤(チラーヂンS)投与を開始する。くれぐれも甲状腺ホルモン剤(チラーヂンS)を先に投与してはなりません。甲状腺ホルモンが副腎皮質ホルモン(コルチゾール)の代謝分解を促進し、副腎クリーゼ(急性副腎不全)を悪化させるため。

髄膜炎菌/肺炎球菌でウォーターハウス・フリードリヒセン症候群、副腎出血

髄膜炎菌

髄膜炎菌 髄液グラム染色

髄膜炎菌(meningococcus、Neisseria meningitidis)は髄膜炎をおこすグラム陰性双球菌で、

  1. 急性細菌性髄膜炎;
    2歳頃までの乳幼児は大泉門隆起、あやすと返って不機嫌になる
    3種混合ワクチン、肺炎球菌ワクチンでカバーできない髄膜炎
    腰痛穿刺して髄液をグラム染色
    難聴などの神経合併症の予後がデキサメサゾンで改善する証拠は無い(一部の肺炎球菌髄膜炎のみ)
  2. ウォーターハウス・フリードリヒセン症候群
    突然の腹痛(片側/両側の副腎大出血
    遷延する低血糖・意識障害(急性副腎皮質不全)
  3. 髄膜炎菌ショックで多臓器不全、播種性血管内凝固症候群(DIC)、電撃性紫斑(下記;髄膜炎菌血症の20%)で死亡(Lancet 1911;1: 577-8.)
    髄膜炎菌ショックでは低T3症候群(ノンサイロイダルイルネス)になり、FT3の低さは重症度と死亡率の予測因子となる[Intensive Care Med. 2005 Jul;31(7):970-6.]
  4. 髄膜炎菌性尿道炎

もおこします。

  1. 淋菌もグラム陰性双球菌で、どちらにも中枢神経に移行する抗生剤:セフトリアキソンが有効。
  2. 飛沫感染するため、有効な治療開始後24時間まで飛沫感染予防が必要。
  3. 同居者など濃厚接触者には抗菌薬による予防を行います。

予防には4価髄膜炎菌ワクチンが有効。特に

  1. 髄膜炎菌の中でも重症化しやすい侵襲性髄膜炎菌の流行地、髄膜炎ベルト(アフリカ)やサウジアラビア、インドへ渡航する場合
  2. 脾臓摘出後(脾臓摘出後重症感染症 )・糖尿病・ステロイド剤使用・膠原病・高齢・アルコール中毒・多発骨髄腫、甲状腺機能が正常化していない甲状腺機能低下症/橋本病など免疫不全で、髄膜炎菌感染症のハイリスク者

に接種が推奨されます。

侵襲性髄膜炎菌流行地

急性感染性電撃性紫斑病(Acute infectious purpura fulminans:AIPF)

急性感染性電撃性紫斑病

急性感染性電撃性紫斑病(Acute infectious purpura fulminans:AIPF)は、髄膜炎菌、肺炎球菌(肺炎双球菌)などが原因です。日本では髄膜炎菌の侵淫度が低いため、髄膜炎菌による急性感染性電撃性紫斑病は少なく、肺炎球菌が最多です。一方、海外では髄膜炎菌の報告が圧倒的に多く、帰国者が日本に持ち帰る可能性があります。そして、飛沫感染するため集団感染(クラスター)になる危険があります。

急性感染性電撃性紫斑病(AIPF)の経過は、

  1. 急激な発熱・頭痛
  2. 電撃性紫斑(出血性梗塞・血管塞栓による皮膚の微小循環障害)
  3. 消化器症状・呼吸器症状
  4. 急速進行性に四肢末端優位の虚血性壊死
  5. 敗血症性ショック、播種性血管内凝固障害(DIC)

が急速に進行し死に至る確率が高いです。エボラ出血熱、マールブルグ病などに酷似します。

救命し得ても最終的に四肢切断になることが多いです。(Kansenshogaku Zasshi. 2009 Nov;83(6):639-46.)

急性感染性電撃性紫斑病

(Clin Med DOI: 10.23937/2474-3682/151011)

急性感染性電撃性紫斑病

急性感染性電撃性紫斑病

‎重症髄膜炎菌敗血症で原発性甲状腺機能低下症

‎多臓器不全を伴う重症髄膜炎菌敗血症で、持続性の副腎不全(副腎出血は無し、不可逆性)だけでなく、原発性甲状腺機能低下症原発性性腺機能低下症(数か月間、テストステロン補充療法)も起こした報告があります。(BMJ Case Rep. 2018 Sep 15;2018:bcr2018224437.)

肺炎球菌(肺炎双球菌)

肺炎球菌(肺炎双球菌)

肺炎球菌は脾臓摘出後(肺炎球菌による脾臓摘出後重症感染症 )・糖尿病・ステロイド剤使用・膠原病・高齢・アルコール中毒・多発骨髄腫の免疫不全でウォーターハウス・フリードリヒセン症候群おこし、近年増加傾向。(肺炎球菌 )

発症(発熱前)から死亡まで24時間以内で、血液培養と尿中肺炎球菌抗原検査の後、抗生剤セフトリアキソン(CTRX)を最大量で開始しても手遅れです。

喘息・アレルギー性鼻炎患者が突然粘液水腫性昏睡のように(急性副腎不全/副腎クリーゼ

喘息患者が急性副腎不全/副腎クリーゼ

喘息患者など、長期にステロイド吸入・内服している人(特に高齢者)は、自身の副腎が廃用萎縮し、潜在性副腎皮質機能低下症の状態にあると言えます。

潜在性副腎皮質機能低下症の人が感染症おこし、副腎皮質ホルモンの必要量が増えても、自身の副腎はすでに副腎皮質ホルモンを作れないため、突然粘液水腫性昏睡のような低血圧(敗血症性ショックでなお低下)・低血糖・意識障害(・ただし感染症では熱発し低体温にならないことも)に陥ります。(急性副腎不全/副腎クリーゼ

そもそも粘液水腫性昏睡の主症状は相対的副腎皮質機能低下症なので酷似していて当然なのです。

アレルギー性鼻炎患者が急性副腎不全/副腎クリーゼ

耳鼻咽喉科・内科などでアレルギー性鼻炎の治療によく出されるセレスタミン®は、抗ヒスタミン剤(d-クロルフェニラミン)と副腎皮質ホルモン(ステロイド;ベタメタゾン)の合剤です。たかがアレルギー性鼻炎の治療に、まさか強力な副腎皮質ホルモン(ステロイド)剤が含まれているのを処方する医師すら知らない事があります。

それこそ花粉症の時期に限定して短期間、あるいは頓服的に使用するなら問題ありません。しかし、何年も毎日服用した場合、トンデモナイことになります。セレスタミン®1錠中に

ベタメタゾン0.25mg=8.33 x [コルチゾール20mg(健康な人が1日に必要な副腎皮質ホルモンの上限値)]=プレドニゾロン2.5mg換算

含まれます。要するに、正常の8倍以上の過剰な副腎皮質ホルモンが体内に存在し、様々な有害症状(医原性クッシング症候群)起こすと同時に、自身の副腎は廃用萎縮し、もはや自力で副腎皮質ホルモンを産生できなくなります。

急激なセレスタミン®中止と感染症、ストレスなどによる副腎皮質ホルモンの需要増大で急性副腎不全/副腎クリーゼになります。

外来での長期の経口抗がん剤使用後に急性副腎不全/副腎クリーゼ

胃がんなどに、外来で半年に渡り抗癌剤(パクリタキセル・デキサメサゾン併用隔週投与)を続けると、急性副腎不全/副腎クリーゼおこすことがあります。副腎皮質ステロイドであるデキサメサゾンの長期服用で、自身の副腎が廃用萎縮し、副腎皮質ホルモンを産生できなくなってしまうためです。

ネット販売・個人輸入の痛風治療薬セットの長期使用で急性副腎不全/副腎クリーゼ

ネット販売・個人輸入の痛風治療薬セット(デキサメサゾン・コルヒチン・痛み止め)を長期使用した後、中止すると急性副腎不全/副腎クリーゼをおこします。副腎皮質ステロイドであるデキサメサゾンの長期服用で、自身の副腎が廃用萎縮し、副腎皮質ホルモンを産生できなくなってしまうためです。

副腎皮質ホルモン剤の在宅自己注射

急性副腎不全/副腎クリーゼの治療で最初に静脈点滴投与される副腎皮質ホルモン剤のヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム(ソルコーテフ、サクシゾンなど)の在宅自己注射が保険適用になりました(令和2年度の診療報酬改正)。

もちろん、患者宅、医療機関外で急性副腎不全/副腎クリーゼの救急処置として行い、医療機関に着くまでの一時しのぎです。しかし、エピペン®の場合と異なり、副腎皮質ホルモン剤は在宅自己注射専用の製剤ではありません。

患者や家族が、

  1. 注射器に太い針(18G)を取り付け、注射用水のアンプルをカット(開封、素人は手を切る事も)、注射用水を吸い取る。
  2. 副腎皮質ホルモン剤のバイアル(容器)を開封、注射器をゴムのバイアル口に刺して注射用水を注入し溶解、溶けたらそのまま吸い取る
  3. 注射器を細い針(25G)に付け替え、筋肉内注射
  4. 針は感染性廃棄物なので、患者以外の人が針刺し事故を起こさない様、キャップをして持ち帰る

これは、医者でも久しぶりにやると面倒くさい手順。緊急時、しかも、自宅外などで行うなら医師・看護師以外はかなり難しい。はっきり言って、できる訳がない!

エピペン®は在宅自己注射専用の刺せばいいだけ便利キットがありますが、副腎皮質ホルモン剤では、おそらく採算が合わないため製薬会社も二の足を踏むと思います。

甲状腺関連の上記以外の検査・治療   長崎甲状腺クリニック(大阪)


長崎甲状腺クリニック(大阪)とは

長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査など]による甲状腺専門クリニック。大阪府大阪市東住吉区にあります。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,生野区,天王寺区,生野区も近く。

長崎甲状腺クリニック(大阪)


長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査等]施設で、大阪府大阪市東住吉区にある甲状腺専門クリニック。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,東大阪市近く

住所

〒546-0014
大阪府大阪市東住吉区鷹合2-1-16

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  • 大阪メトロ(地下鉄)谷町線「駒川中野駅」
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