糖尿病で不妊・生理不順:多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)[日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医 橋本病 バセドウ病 エコー 長崎甲状腺クリニック 大阪]
糖尿病:専門の検査治療[橋本病 バセドウ病 甲状腺超音波エコー 長崎甲状腺クリニック大阪]
甲状腺専門・内分泌代謝・動脈硬化の長崎甲状腺クリニック(大阪府大阪市東住吉区)院長が海外(Pub Med)・国内論文に眼を通して得た知見、院長自身が大阪市立大学(現、大阪公立大学) 代謝内分泌内科(内分泌骨リ科:第二内科)で得た知識・経験・行った研究、日本甲状腺学会で入手した知見です。
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長崎甲状腺クリニック(大阪)は甲状腺専門クリニックに特化するため、糖尿病内科を廃止しました。多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、インスリン受容体異常症の診療を行っておりません。
Summary
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は、生殖可能女性の5%に認められ、月経異常や不妊をおこします。肥満によるインスリン抵抗性から高インスリン血症、男性ホルモン産出過剰、黄体形成ホルモン(LH)高値になります。肥満の解消、インスリン抵抗性改善薬メトホルミンが有効。A型インスリン受容体異常症は若年女性に多く、黒色表皮症、妖精様顔貌、多嚢胞性卵巣症候群など、高アンドロゲン血症。 B型インスリン受容体異常症は成人女性に多く、黒色表皮症、シェーグレン症候群、全身性強皮症など自己免疫疾患・自己免疫性甲状腺疾患(橋本病・バセドウ病)が多い。
keywords
糖尿病,不妊,生理不順,多嚢胞性卵巣症候群,インスリン受容体異常症,甲状腺,橋本病,バセドウ病,PCOS,インスリン抵抗性
甲状腺と糖尿病
1型、2型糖尿病を問わず甲状腺疾患の合併が多いとされます[BMC Med. 2016 Sep 30; 14(1):150.][Clin Endocrinol (Oxf). 2011 Jul;75(1):1-9.]。詳しくは 甲状腺と糖尿病 を御覧下さい

遺伝性の多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は排卵が阻害され、
- 卵巣内に多数の卵胞が蓄積
- 卵巣は大きく腫大し、表面の皮は厚く破れにくくなる
- 月経異常(生理不順・無月経)や不妊をおこす
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は生殖可能女性の5%に認められ、続発性無月経患者の最も多い原因です。
- 肥満によるインスリン抵抗性から高インスリン血症
- 黄体形成ホルモン(LH)が過剰に分泌され、男性ホルモン(アンドロゲン)産出が亢進→毛が濃い(多毛症)、油肌、無月経・不妊
- 男性ホルモン(アンドロゲン)は女性ホルモン(エストロゲン)に転換され、慢性的なエストロゲン過剰状態により、更に排卵阻害と多のう胞化(多嚢胞化)が促進。無月経・不妊が増悪
- 慢性的な高エストロゲン血症で、子宮内膜がん(子宮体癌)や乳癌の危険性も高くなります。
- 自己免疫性甲状腺疾患(橋本病・バセドウ病)合併が多い
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の治療は、
- 肥満の解消
- インスリン抵抗性改善薬メトホルミンが有効
- ホルモン療法:挙児希望がある場合、排卵を起こすため排卵誘発剤(クロミッドやHMG-HCG療法)。挙児希望がない場合、排卵を起こす必要ないので、無月経の場合はカウフマン療法(ホルモン剤の内服)で定期的に月経をおこします。
- 腹腔鏡下卵巣焼灼術もおこなわれる
- 手術療法として卵巣楔状切除術。高率に排卵を起こせますが、手術による卵管周囲の癒着などのため廃れつつある
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と橋本病(慢性甲状腺炎)は合併率が高いです。多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)患者の
- 約7.8%が抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(TPO抗体)陽性(Biomed Pap Med Fac Univ Palacky Olomouc Czech Repub. 2015 Jun;159(2):302-6.)
- 26.9%が抗サイログロブリン抗体(Tg抗体)もしくは抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(TPO抗体)陽性(Eur J Endocrinol. 2004 Mar;150(3):363-9.)
その原因は不明ですが、可能性として、以下の共通した遺伝子多型、
- fibrillin 3 (FBN3);TGF-βとTreg(制御T細胞)を調節
- 性腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体(GnRHR)
- CYP1B1;エストラジオール水酸化
が考えられます。(Eur Rev Med Pharmacol Sci. 2017 Jan;21(2):346-360.)(Scientifica (Cairo). 2016;2016:4071735.)
潜在性甲状腺機能低下症自体も不妊症の原因なので(潜在性甲状腺機能低下症)、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)を合併すると益々妊娠しにくくなります。
潜在性甲状腺機能低下症が多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)に合併すると、
- HDLコレステロール(HDL-C)値低下
- 中性脂肪(トリグリセライド:TG)値上昇
- インスリン抵抗性(HOMA-R)上昇
- FSH、LH、性ホルモン結合グロブリン (Sex Hormone-Binding Globulin; SHBG)には影響なし
とされます。(Eur J Endocrinol. 2017 Mar;176(3):R159-R166.)
インスリン受容体・受容体以降のシグナル伝達異常によるインスリン抵抗性を示します。
A型インスリン受容体異常症
A型インスリン受容体異常症は若年女性に多く、黒色表皮症、妖精様顔貌、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)など、高アンドロゲン血症が認められます。
B型インスリン受容体異常症
B型インスリン受容体異常症は成人女性に多く、黒色表皮症、シェーグレン症候群、全身性強皮症など自己免疫疾患・自己免疫性甲状腺疾患(橋本病・バセドウ病)が多く認められます。
甲状腺関連の上記以外の検査・治療 長崎甲状腺クリニック(大阪)
- 甲状腺編
- 甲状腺編 part2
- 内分泌代謝(副甲状腺/副腎/下垂体/妊娠・不妊等
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長崎甲状腺クリニック(大阪)とは
長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査など]による甲状腺専門クリニック。大阪府大阪市東住吉区にあります。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,生野区,天王寺区,東大阪市,浪速区も近く。