糖尿病の抗インスリン抗体・ブリットル型糖尿病・インスリン受容体抗体・インスリンアレルギー[橋本病 バセドウ病 長崎甲状腺クリニック 大阪]
長崎甲状腺クリニック(大阪)は甲状腺専門クリニックに特化するため、糖尿病内科を廃止しました。
糖尿病:専門の検査治療[橋本病 バセドウ病 甲状腺超音波エコー 長崎甲状腺クリニック 大阪]
甲状腺専門・内分泌代謝・動脈硬化の長崎甲状腺クリニック(大阪府大阪市東住吉区)院長が海外(Pub Med)・国内論文に眼を通して得た知見、院長自身が大阪市立大学(現、大阪公立大学) 代謝内分泌内科で得た知識・経験・行った研究、日本甲状腺学会で入手した知見です。
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長崎甲状腺クリニック(大阪)ゆるキャラ 甲Joう君 (動脈硬化した血管に甲状腺が!バセドウ病の甲状腺がモデル)
Summary
亜鉛トランスポーター8抗体(ZnT8A)は抗体がすべて陰性の1型糖尿病の診断に有用。抗インスリン抗体はインスリン注射しているのに、血糖が不安定なブリットル(Brittle)型糖尿病の原因・インスリン注射の必要ない人が将来的に必要になる指標・インスリン抵抗性・インスリン自己免疫症候群・インスリンアレルギーに関与。インスリン受容体抗体は低血糖、インスリン抵抗性どちらもおこす。インスリンアレルギーは、インスリン自体のアレルギーか針の金属アレルギー、インスリンIgE抗体より抗インスリン抗体測定の方が有用。
Keywords
亜鉛トランスポーター8抗体,ZnT8A,1型糖尿病,インスリン,インスリンIgE抗体,抗インスリン抗体,ブリットル型糖尿病,インスリン抵抗性,インスリン受容体抗体,インスリンアレルギー
甲状腺と糖尿病
1型、2型糖尿病問わず甲状腺疾患の合併が多いとされます。詳しくは 甲状腺と糖尿病 を御覧下さい
膵島関連自己抗体[膵β細胞(インスリンを作る細胞)を壊す自己抗体]で、保険診療が認められているのは抗GAD抗体、抗Insulinoma-associated antigen-2 抗体(IA-2抗体:IA-2Ab)、抗インスリン抗体です。これらの抗体を持っている方は、インスリンが出なくなる糖尿病(1型糖尿病)の可能性があります。
- 若年発症1型糖尿病では抗Insulinoma-associated antigen-2 抗体(IA-2抗体:IA-2Ab)、抗インスリン抗体が高率に陽性
- 成人発症1型糖尿病では抗GAD(Glutamic acid decarboxylase)抗体が高率に陽性(発症時80-90%陽性)
1型糖尿病で、自己免疫性甲状腺疾患(バセドウ病,橋本病)を持っていると、抗GAD抗体の陽性率が高いとされます。しかし、バセドウ病での抗GAD抗体の陽性率は、必ずしも、インスリン依存性(インスリン分泌能)を反映しません。[抗GAD抗体・IA-2抗体・ZnT8Aと甲状腺)]
亜鉛トランスポーター8抗体(zinc transporter 8 autoantibody:ZnT8A)は新たに発見された1型糖尿病の膵島自己抗体で、抗GAD抗体、抗IA-2抗体、抗インスリン抗体(IAA)がすべて陰性の1型糖尿病を診断するのに有用です。しかし、現時点で保険適応はなく、保険診療で使えません。
- インスリン注射しているのに、血糖が不安定な場合、体内でインスリンに対する抗体が作られた可能性があります[ブリットル(Brittle)型糖尿病]。
- 抗GAD抗体陽性だが、インスリン注射の必要がない人でも抗インスリン抗体が陽性であれば、将来的にインスリンが必要になる可能性が高くなります。
- 糖尿病とは無関係で低血糖発作繰り返す場合、抗インスリン抗体を持っている可能性があります。甲状線機能亢進症/バセドウ病治療薬のメチマゾール(メルカゾール)が抗インスリン抗体産生を誘発します。(インスリン自己免疫症候群)
- インスリンアレルギー:インスリンIgE抗体・抗インスリン抗体
自己免疫疾患(SLEなど)において、インスリン受容体抗体が産生される事があります。インスリン受容体抗体にはインスリン様の作用で低血糖をおこすもの、インスリンの作用を障害して著しいインスリン抵抗性を生じるものもあります。同一人物で、著しいインスリン抵抗性、低血糖が交互におこる事も少なくありません。インスリン抗体とインスリン受容体抗体の両方を認める症例も報告されています。
インスリン自体のアレルギー
インスリンに対するアレルギーで注射部位の発赤、腫脹、かゆみが起こります。Ⅰ型アレルギー反応ですが、アナフィラキシーをおこす重篤(重症)なものは稀。ただし、重症例では全身に薬疹が出現し血糖コントロールも悪くなります。ヒトインスリンアレルギーの頻度は1%、超速効型・効型溶解インスリンアナログでは0.3%とされます。
インスリン製剤の種類を変えればよいが、すべてのインスリン製剤にアレルギーがある場合、最もアレルギー反応の弱いものを使用。打つ場所を変えるのも有効とされます。抗アレルギー剤内服、抗ヒスタミン軟膏塗布も有効。副腎皮質ステロイドは血糖コントロールに影響するので避けたいものです。アナフィラキシーをおこす重篤(重症)なものは減感作療法しかないでしょう。(写真 An. Bras. Dermatol. vol.87 no.6 Rio de Janeiro Nov.Dec. 2012)
針の金属アレルギーの事も
インスリン注射部に膨疹:インスリンアレルギー以外に針の金属アレルギー・圧蕁麻疹(肩に荷重をかける圧負荷試験で診断)
ヒトインスリンIgE抗体測定(偽陰性多い)、抗インスリン抗体の方が良い
甲状腺関連の上記以外の検査・治療 長崎甲状腺クリニック(大阪)
- 甲状腺編
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長崎甲状腺クリニック(大阪)とは
長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査など]による甲状腺専門クリニック。大阪府大阪市東住吉区にあります。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,天王寺区,東大阪市も近く。