喉(のど)の違和感、甲状腺の病気でなく、性感染症(STD)のことも(淋菌性咽頭炎,クラミジア咽頭炎,マイコプラズマ・ジェニタリウム)[長崎甲状腺クリニック大阪]
甲状腺:専門の検査/治療/知見③ 橋本病 バセドウ病 甲状腺エコー 長崎甲状腺クリニック大阪
甲状腺専門の長崎甲状腺クリニック(大阪府大阪市東住吉区)院長が海外・国内論文に眼を通して得た知見、院長自身が大阪市立大学(現、大阪公立大学) 代謝内分泌病態内科で得た知識・経験・行った研究、日本甲状腺学会で入手した知見です。
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[Chlamydia in Mouth Pictures: A Doctor’s Complete Visual & Clinical Guide より改変]
Summary
STD(性感染症)として有名な淋菌やクラミジア・トラコマチス(クラミジア・トラコマティス)。口腔性交による淋菌性咽頭炎・クラミジア咽頭炎は増加傾向、特有の口臭を生じ、咽頭痛や発熱などの症状がほとんど無く、咽頭違和感だけのため甲状腺腫瘍、バセドウ病、橋本病(慢性甲状腺炎)と勘違い。眼瞼下垂、片眼の位置異常を呈し、最初に甲状腺眼症(バセドウ病眼症)が疑われたクラミジア封入体結膜炎の報告あり。クラミジア・トラコマティス持続感染で甲状腺炎誘発の可能性。マイコプラズマ・ジェニタリウムも同様、STD(性感染症)として咽頭炎を起こす。
Keywords
STD,性感染症,淋菌,クラミジア,淋菌性咽頭炎,クラミジア咽頭炎,甲状腺,バセドウ病,橋本病,マイコプラズマ・ジェニタリウム
淋菌(Neisseria gonorrhoeae)は、STD(性感染症)の一つである淋菌症の原因菌。淋菌は、髄膜炎菌や常在菌のNeisseria と同じくグラム陰性双球菌。男性では尿道炎(淋菌性尿道炎)、女性では子宮頸管炎を起こしやすい。
淋菌は生殖器のみならず咽頭にも親和性があります。口腔性交による淋菌性咽頭炎は増加傾向。
淋菌性咽頭炎では特有の口臭を生じ、咽頭痛や発熱などの症状がほとんど無く、せいぜい咽頭違和感のみです。咽頭違和感を甲状腺腫瘍、バセドウ病、橋本病(慢性甲状腺炎)と勘違いして甲状腺専門医を受診する方もいます。
クラミジア・トラコマチス(クラミジア・トラコマティス:Chlamydia trachomatis)によるクラミジア咽頭炎(chlamydial pharyngitis)も同じで、20~30%は淋菌との混合感染。
淋菌性咽頭炎の診断にはPCR検査が有用。
淋菌感染症の治療には、
- セフトリアキソン(CTRX)1gの単剤静注療法;第一選択薬で、性器、咽頭、直腸・肛門、全てに有効
- スペクチノマイシン(トロビシン®)[アミノグリコシド系抗菌薬]
ニューキノロン系抗菌薬は耐性菌増加のため保険適用外に。
また、淋菌・クラミジアともに女性では骨盤炎症性疾患の原因となります。後遺症として、卵管閉塞による不妊(約20%)、異所性妊娠(約10%)、慢性骨盤痛(約20%)を併発。
骨盤内炎症が上行性に腹膜や肝被膜まで波及したら肝周囲炎になります[フィッツ・ヒュー・カーティス症候群(Fitz-Hugh-Curtis症候群:FHCS)]。
フィッツ・ヒュー・カーティス症候群(FHCS)の症状は、
- 下腹部痛
- それに続く発熱、吸気時に悪化する右季肋下痛(引っ張られるような痛みが徐々に増強);ただし腹部超音波(エコー)検査で胆嚢に異常なし
- 嘔気
- 子宮卵巣に癒着が進行すると不妊症の原因に
肝周囲炎の診断は、
- 腹部超音波(エコー)検査、腹部単純線で異常なし
- 造影CT検査の動脈早期相で、肝表面に層状の濃染像(炎症に伴う肝被膜の血流増加)
- 腹腔鏡で肝周囲炎を確認。腹腔鏡所見による診断と癒着剥離になる
(J Comput Assist Tomogr 2002; 26: 456-458.)。
クラミジア・トラコマチスによる封入体結膜炎は、非特異的な片側性または両側性慢性結膜炎です。眼瞼下垂、片眼の位置異常を呈し、最初に甲状腺眼症(バセドウ病眼症)が疑われたクラミジア封入体結膜炎の報告があります。[Microbes Infect. 2022 Nov-Dec;24(8):105015.]
STD(性感染症、俗に言う性病)としての淋菌感染症に罹った男性の典型的経過は、
- 性交の数日後(1週前後の短い潜伏期間)から起きる強い症状;尿路感染症(淋菌性尿道炎)を来し、排尿時痛、外尿道口から黄色の膿排出
- 放置すると前立腺炎、精巣上体炎に
女性は自覚症状のない場合が多く、
- 軽い尿道炎
- 子宮頸管炎;黄色帯下(膿んだおりもの)
- 子宮付属器炎;下腹部痛
- 骨盤腹膜炎;下腹部に反跳痛
をおこします。
また、クラミジア・トラコマティスの持続感染では、クラミジア・トラコマティス-HSP60抗体が産生され、自己免疫疾患(自己免疫性関節炎、多発性硬化症、動脈硬化、血管炎、1型糖尿病、甲状腺炎など)の発症を促進する可能性があります。[PLoS Pathog. 2009 Aug;5(8):e1000552.]
薬剤耐性淋菌が増加しており、セフトリアキソン、セフォジジム、スペクチノマイシンが有効。
クラミジア感染症は、性交2~3週後の発症になります。
クラミジア感染症の診断・治療判定は、子宮頸部、陰茎、喉(のど)の分泌物や尿のクラミジアDNA 検査(核酸増幅法)で行います。投薬終了後3 週間以上してクラミジアDNA 検査陰性なら治癒判定されますが、付属器炎(卵管炎)をおこしていれば卵管閉塞による卵管性不妊と異所性妊娠のリスクが残ります。クラミジア感染症は生涯免疫ではないため、正しい感染予防をしなければ何度も再発します。
マイコプラズマ・ジェニタリウム(Mycoplasma genitalium)も、淋菌・クラミジア感染症と同様、STD(性感染症)として尿道炎や子宮頸管炎、子宮内膜炎、膣炎などを引き起こします。
そして、淋菌性咽頭炎・クラミジア咽頭炎同様、喉に炎症を起こします。無症状のケースが多いものの、喉の違和感や軽い痛みが出ることもあります。マイコプラズマ・ジェニタリウム咽頭炎の診断は、うがい液や喉のぬぐい液のPCR検査で行います。
特に、甲状腺の病気と因果関係はありませんが、喉の違和感や軽い痛みを甲状腺の病気と勘違いして、甲状腺専門医を受診するケースもあるかもしれません。
マイコプラズマ・ジェニタリウムは自然に治らないため治療が必要です。しかし、マクロライド系抗生剤耐性率は70〜90%で治療に難渋します。
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長崎甲状腺クリニック(大阪)とは
長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査など]による甲状腺専門クリニック。大阪府大阪市東住吉区にあります。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,生野区,天王寺区,東大阪市も近く。




