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血液検査で測れる甲状腺ホルモンの数  [甲状腺 専門医 橋本病 バセドウ病 甲状腺超音波検査(エコー) 内分泌 長崎甲状腺クリニック(大阪)]

甲状腺の基礎知識を、初心者でもわかるように、長崎甲状腺クリニック(大阪市東住吉区)院長が解説します。

血液検査で測れる甲状腺ホルモンの数

高度で専門的な知見は甲状腺編 甲状腺編 part2 を御覧ください。

  1. 甲状腺の基礎知識
  2. 血液検査で測れる甲状腺ホルモンの数(本ページ)

Summary

2-3か月に一度の血液検査で測れる甲状腺のホルモンの数は2つが保険診療のルール。TSH:日内変動あるが、もっとも感度が高く、もっとも鋭敏に病態を反映。FT4:半減期が長く、日内変動なく、長期的な甲状腺機能を反映。FT3:半減期が短く、わずかな日内変動あるが、身体の状態を鋭敏に反映。甲状腺機能低下症/潜在性甲状腺機能低下症/橋本病、中枢性甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症/バセドウ病、甲状腺全摘出後、バセドウ病/甲状腺機能亢進症のアイソトープ(放射性ヨウ素; 131-I)治療後、低T3症候群(ノンサイロイダルイルネス)では、病態に最も適したTSH、FT4, FT3の2つを選ぶ。

Keywords

甲状腺ホルモン,TSH,FT4,半減期,日内変動,FT3,甲状腺機能低下症,橋本病,甲状腺機能亢進症,バセドウ病

血液検査で測れるホルモンの数

初診時

初診時では、正確に診断を付けるため、患者さんの甲状腺関連のホルモン全て測定するのは当然です。企業の保険である社会保険では認められていますが、(少なくとも大阪の)国民健康保険では制限を掛けられます。特に、TSHと甲状腺ホルモンの一方FT4の2つは認められても、FT3は認められず減点(医療機関の赤字)にされる事が多いです。

筆者も、初診の甲状腺機能低下症/橋本病甲状腺機能亢進症/バセドウ病の方のFT3を減点され、減点理由が「過剰な診療」と書いてあった時は言葉を失いました(国民健康保険は狂っている・・)。

大赤字の国民健康保険では保険料を支払っている日本国民のための医療ができないのが現状です(日本に住んでいない、短期滞在のみの外国人に国民健康保険証を支給し、高額な医療を認める現在の健康保険法を早く改正するべきです)。

経過観察時

経過観察として、2-3か月に一度の血液検査で測れる甲状腺のホルモンの数は2つが相場とされます。これは、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、甲状腺ホルモン(FT4, FT3)、サイログロブリンすべてから2つを選んでという事です。副腎下垂体ホルモンも含めて2つと言う場合もあります。もちろん、医学的な理由ではありません。保険診療のルールなのです。日本の社会保険・国民保険とも赤字財政であり、可能な限り医療費を削減するため、暗黙のルールが存在します。医学的な妥当性がないため、文書としては存在しません(ここが役人のずるいところで、もし文書化されれば医学的な根拠を徹底的に追及されます)。

TSH、FT4, FT3どの2つを選ぶのか

  1. TSH:日内変動ありますが、もっとも感度が高く、もっとも鋭敏に病態を反映するので外せません。
    (夜間高く、 明け方に下がりますが、こんな時間に誰も採血しません)
    ただし、中枢性甲状腺機能低下症で、TSHの合成・分泌障害があると、全く役に立ちません。
     
  2. FT4:半減期が長く(分解されるのが遅い)、日内変動がないのが利点で、長期的な甲状腺機能を反映します。

    また、LT4[合成甲状腺ホルモン剤(チラーヂンS)]は、血中ではFT4として存在するため、LT4が適切量か判断するにはFT4を測定するのが良いでしょう。長崎甲状腺クリニック(大阪)では、甲状腺機能低下症/橋本病の方はFT4を測定します。
     
    脱ヨード酵素により体内で活性型のFT3に変化するため、甲状腺機能亢進症/バセドウ病で脱ヨード酵素の働きが強ければ、FT4正常でもFT3が高くなり、バセドウ病の活動性を正確に反映しません[長崎甲状腺クリニック(大阪)では、バセドウ病の方はFT3を測定します]。
    高齢・薬剤などの影響で脱ヨード酵素の働きが弱ければ、FT4正常でもFT3が低くなります。
     
  3. FT3:半減期が短く(分解されるのが早い)、わずかな日内変動あります。逆に考えると、身体の状態を敏感に反映します。
     
    甲状腺機能亢進症/バセドウ病
    では、FT4正常でもFT3が高くなることがあり(難治性T3優位型バセドウ病 )、バセドウ病の活動性をFT4より正確に反映します[長崎甲状腺クリニック(大阪)では、バセドウ病の方はFT3を測定します]。
     
    甲状腺全摘出後は、TSH、FT4よりもFT3が身体症状を強く反映するとされます。
    (第55回 日本甲状腺学会 O-03-02 甲状腺全摘出術後LT4服用患者の甲状腺機能と身体症状の関連についての検討)(第57回 日本甲状腺学会 O7-4 甲状腺全摘術後レボチロキシン服用患者の甲状腺機能と身体症状の関連についての検討)(甲状腺癌全摘出後のホルモン補充療法 )
     
    さらに、筆者の経験では、甲状腺機能亢進症/バセドウ病でアイソトープ(放射線)治療後数年経ち、ほとんど完全に甲状腺が破壊された場合も、甲状腺全摘出術後とほぼ同じ状態なので、TSH、FT4よりもFT3が身体症状を強く反映します。

結局、個々人の病態により、最適な2つを的確に選択せねばなりません。(甲状腺専門医の腕の見せどころでしょうか)

医学的には3つとも測るのがベストなのですが、世の中理不尽にできています。

病気別経過観察のTSH、FT4, FT3の組み合わせ

甲状腺機能低下症/潜在性甲状腺機能低下症/橋本病では

甲状腺機能低下症/潜在性甲状腺機能低下症/橋本病の経過観察では、安定したTSHとFT4を測ります。どこの医療機関でも行うオーソドックスな組合わせです。

中枢性甲状腺機能低下症

中枢性甲状腺機能低下症では、TSHの合成・分泌障害があるので、TSHは全く役に立ちません(例え、甲状腺ホルモン剤(チラージン)補充しても、TSHは補充量を反映して変化しません)。FT4とFT3を測定します。

甲状腺機能亢進症/バセドウ病

長崎甲状腺クリニック(大阪)では、甲状腺機能亢進症/バセドウ病の経過観察は、TSHとFT3を測ります。甲状腺機能亢進症/バセドウ病は脱ヨード酵素の働きが強くFT4→FT3へどんどん変換され、FT4正常でもFT3が高くなります。

バセドウ病の活動性を正確に反映するのは、FT4でなく、FT3です。例えば

「TSH低値、FT4正常値、FT3高値」は

  1. TSHとFT4を測れば、潜在性甲状腺機能亢進症(コントロールやや不良)
  2. TSHとFT3を測れば、顕在性甲状腺機能亢進症(コントロール不良)

と「TSHとFT4」ではバセドウ病の活動性を過小評価することになります。

ただし、例外的に「TSHとFT4」の方がよい場合もあります。めったにありませんが、甲状腺機能亢進症/バセドウ病で栄養状態が悪くなり過ぎると、低T3症候群(ノンサイロイダルイルネス)を合併し、

「TSH低値、FT4高値、FT3低値」、「TSH低値、FT4高値、FT3正常値」となり、

  1. TSHとFT4を測れば、コントロール不良
  2. TSHとFT3を測れば、コントロール良好

と「TSHとFT3」ではバセドウ病の活動性を過小評価することになります。筆者の経験上、極めて例外的なので、TSHとFT3を測るのが現実的です。

甲状腺全摘出後では

T3の比率

甲状腺全摘出後、長崎甲状腺クリニック(大阪)では、TSHとFT3を測ります。

甲状腺全摘出後は、TSH、FT4よりもFT3が身体症状を強く反映します。なぜなら本来FT3は、末梢でFT4から変化するのが80%、甲状腺から直接分泌されるのが20%で、甲状腺全摘出後は甲状腺からの直接分泌は無くなります。よって、たとえLT4[合成甲状腺ホルモン剤(チラーヂンS)]投与し、FT4が正常でも、FT3は通常よりも低くなるためFT4を測定してもダメなのです。
(第55回 日本甲状腺学会 O-03-02 甲状腺全摘出術後LT4服用患者の甲状腺機能と身体症状の関連についての検討)(第57回 日本甲状腺学会 O7-4 甲状腺全摘術後レボチロキシン服用患者の甲状腺機能と身体症状の関連についての検討)

TSHが抑制され、従来甲状腺ホルモン過剰と考えられていた状態で、初めて甲状腺全摘出前と同じ血中FT3値・全身のエネルギー代謝状態になります。(Eur J Endocrinol. 2012 Sep;167(3):373-8.)(Thyroid. 2017 Apr;27(4):484-490)

従来は、TSHを最優先で測定するのが、世界共通でした。現在でも大半はTSHを基準にして、補充する甲状腺ホルモン量を決定します。FT4が高くても、低くても関係なしです。

また、甲状腺癌で甲状腺全摘出した後は、再発予防のため、TSHを基準として補充する甲状腺ホルモン量を決定します(アメリカ甲状腺学会のガイドライン)。

以上から、甲状腺全摘出後はFT4が全く役に立たず、TSHとFT3を測ります。

バセドウ病/甲状腺機能亢進症のアイソトープ(放射性ヨウ素; 131-I)治療後では

バセドウ病/甲状腺機能亢進症のアイソトープ(放射性ヨウ素; 131-I)治療後、長崎甲状腺クリニック(大阪)では、TSHとFT3を測ります。バセドウ病/甲状腺機能亢進症のアイソトープ(放射性ヨウ素; 131-I)治療

  1. 直後から数か月~数年後、甲状腺機能低下症になる前までは、治療効果が出ておらず、バセドウ病の経過観察中と同じなので、TSHとFT3を測ります。
  2. 甲状腺機能低下症になってしばらく、甲状腺ホルモン薬を最大量(チラーヂン 75-100μg)使用するまでは、普通にTSHとFT4を測ります。
  3. 8年以上経ち、甲状腺ホルモン産生細胞(甲状腺濾胞細胞)が、ほぼ完全に破壊され、甲状腺ホルモン薬を最大量(チラーヂン 75-100μg)使用する段階になれば、甲状腺全摘出後と同じなので、長崎甲状腺クリニック(大阪)では、TSHとFT3を測ります。

低T3症候群(ノンサイロイダルイルネス)

低T3症候群(ノンサイロイダルイルネス)では、慢性の消耗性疾患などにより、甲状腺に異常無いのに、甲状腺の数値だけが異常になります(低T3症候群(ノンサイロイダルイルネス)。最も慢性消耗性疾患の影響を受けにくいのはTSH、最も影響を受けるのはFT3、中間はFT4です。

  1. 慢性消耗性疾患の影響を避け、甲状腺そのものの状態を知りたいならTSHとFT4を測ります。
  2. 低T3症候群(ノンサイロイダルイルネス)自体の程度を知りたいならTSHとFT3、あるいはFT3とFT4を測ります。

甲状腺関連の上記以外の検査・治療   長崎甲状腺クリニック(大阪)


長崎甲状腺クリニック(大阪)とは

長崎甲状腺クリニック(大阪)は甲状腺(橋本病,バセドウ病,甲状腺エコー等)専門医・動脈硬化・内分泌の大阪市東住吉区のクリニック。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,東大阪市,天王寺区,生野区も近く。

長崎甲状腺クリニック(大阪)

甲状腺(橋本病,バセドウ病,甲状腺エコー等)専門医・動脈硬化・内分泌・糖尿病の長崎クリニック(大阪市東住吉区)(近く に平野区、住吉区、阿倍野区、松原市)
長崎甲状腺クリニック(大阪)は甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査等]・動脈硬化・内分泌の大阪市東住吉区のクリニック。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,東大阪市近く

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