動脈硬化の基礎知識,LDL(悪玉)コレステロール・高血圧管理目標[日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医 橋本病 動脈硬化 長崎甲状腺クリニック 大阪]
動脈硬化:専門の検査治療/知見[橋本病 バセドウ病 甲状腺エコー 長崎甲状腺クリニック大阪]
甲状腺・動脈硬化の、長崎甲状腺クリニック(大阪市東住吉区)院長が海外論文に眼を通して得たもの、院長自身が大阪市立大学(現、大阪公立大学) 代謝内分泌内科で行った研究、甲状腺学会で入手した知見です。
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甲状腺・動脈硬化・内分泌代謝・糖尿病に御用の方は 甲状腺編 動脈硬化編 甲状腺以外のホルモンの病気(副甲状腺/副腎/下垂体/妊娠・不妊など) 糖尿病編 をクリックください。
甲状腺機能低下症/潜在性甲状腺機能低下症/橋本病では動脈硬化が進行し、狭心症/心筋梗塞の発症率が上がります。甲状腺ホルモン剤[レボチロキシン(チラーヂンS)]で治療すれば、血管年齢など動脈硬化が改善することを、私、長崎俊樹が医学界で初めて証明しました。
甲状腺疾患における動脈硬化は、長年にわたる長崎俊樹の研究テーマです。(甲状腺と動脈硬化)
長崎甲状腺クリニック(大阪)は甲状腺専門クリニックにつき、動脈硬化自体の診療を行っておりません。
Summary
動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022では久山町スコアの点数により小リスク・中リスク・高リスクに分類。高リスク[糖尿病・慢性腎臓病[ステージIII以上]・非心原性脳梗塞])LDL(悪玉)コレステロール<120mg/dL。糖尿病に末梢動脈疾患や細小血管症・喫煙ありなら100mg/dL。中リスク<140mg/dL。高血圧治療ガイドライン2019の降圧目標は①75歳未満は診察室血圧130/80mmHg未満、75歳以上は140/90mmHg未満(家庭血圧は5mmHg低く)②糖尿病・慢性腎臓病で蛋白尿陽性・脳血管障害患者・冠動脈疾患患者は125/75mmHg未満。
Keywords
LDL,悪玉,コレステロール,動脈硬化,HDL,ガイドライン,リスク,家庭血圧,管理目標,甲状腺
コレステロールは、細胞の膜やホルモンを作る材料になる重要な物質です。血液中には、LDLという粒子によって運ばれる悪玉コレステロール(LDLコレステロール)と、HDL粒子によって運ばれる善玉コレステロール(HDLコレステロール)があります。
LDLは肝臓で作られたコレステロールを全身に運び、増え過ぎたコレステロールをHDLが回収して肝臓へ戻し、コレステロールの量を調整しています。
この2つのコレステロールのバランスが崩れると、血液中の悪玉コレステロール(LDLコレステロール)が過剰になり、血管の壁に入り込んで溜まります。善玉コレステロール(HDLコレステロール)は、血管壁の余分なコレステロールを除去しようとしますが追いつきません。そして、やがて血管は硬く、もろくなり、内腔は狭くなっていきます(動脈硬化)。
脂質異常症は、
- LDLコレステロール(悪玉コレステロール)≧ 140 mg/dL
- HDLコレステロール(善玉コレステロール)< 40 mg/dL
- 空腹時トリグリセリド(空腹時中性脂肪)≧ 150 mg/dL
- non-HDLコレステロール≧ 170 mg/dL
のいずれかを満たすものです。
日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」では、久山町スコアの点数を用いて、動脈硬化性心疾患の10年リスクを小リスク・中リスク・高リスクに分類します。
高リスク:動脈硬化性心疾患の10年リスクが10%以上⇒LDL(悪玉)コレステロール<120 mg/dL
- 糖尿病(耐糖能異常は含まない)
- 慢性腎臓病[CKD,ステージIII(eGFR60mL/min/1.73m2未満)以上]
- 非心原性脳梗塞
ただし、糖尿病において末梢動脈疾患(PAD)[主に閉塞性動脈硬化症(ASO)]、細小血管症(網膜症、腎症、神経障害)合併時、または喫煙ありの場合は100 mg/dL (かなり厳格になりました)
中リスク:動脈硬化性心疾患の10年リスクが2%以上⇒LDL(悪玉)コレステロール<140 mg/dL
- 耐糖能異常(糖尿病は含まない)
- 低HDL(善玉)コレステロール血症(HDL-C<40 mg/dL)
- 早発性冠動脈疾患家族歴 (第1度近親者 かつ発症時、男性55歳未満、女性65歳未満)
冠動脈疾患とアテローム血栓症脳梗塞に対する二次予防のためのLDL(悪玉)コレステロール管理目標
冠動脈疾患とアテローム血栓症脳梗塞に対する二次予防のためのLDL(悪玉)コレステロール管理目標値は100mg/dL未満。
ただし、「急性冠症候群」「家族性高コレステロール血症」「糖尿病」「冠動脈疾患とアテローム血栓性脳梗塞の合併」がある場合の管理目標値は70 mg/dL未満
冠動脈疾患とアテローム血栓症脳梗塞に対する二次予防のLDL(悪玉)コレステロール管理目標は、
- 日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」では70 mg/dL 未満
- 急性冠症候群ガイドライン(2018 年改訂版)では、早期から最大用量の強力なスタチン使用が推奨されています(推奨クラスI、エビデンスレベルA)
①アトルバスタチン(リピトール®);脂溶性なので体に蓄積、長崎甲状腺クリニック(大阪)であまりお勧めしない
②ピタバスタチン(リバロ®);脂溶性なので体に蓄積、長崎甲状腺クリニック(大阪)であまりお勧めしない
③ロスバスタチン(クレストール®);長崎甲状腺クリニック(大阪)で勧める高脂血症薬。水溶性なので体に蓄積せず、肝臓のチトクロームP450で代謝されないため他剤との相互作用をおこしにくい
「コレステロールの薬を一度飲みだしたら、一生止めれないの?」と言う質問をよく聞きます。ガセネタも好い所です。食事療法と運動でコレステロールが下がれば、必要なくなる可能性はあります。例え、食事療法と運動ができなくても、止めたければ、止めるのは自由です。止めれば、元通りのコレステロールが高い状態になり、動脈硬化が進み、心筋梗塞・脳梗塞のリスクが増えるだけです。「コレステロールの薬を飲む位なら、心筋梗塞・脳梗塞の方がましだ!」と考える方がおられるなら、自己責任で止めればよいでしょう。責任ある大人が選んだ1つの選択肢です。
高血圧と減塩
高血圧でない人の1日の塩分摂取目標は、男性10g未満、女性8g未満です。現在、日本人の塩分摂取量は、平均1日約10gで、年々減少傾向しています。高血圧では、1日6g未満(高血圧治療ガイドライン2009年版)が目標ですが、正直食べれたものではありません(本当に1日6g未満の食事を続けれる人間を見たことはありません。ケニアでは1日6g未満ですが、彼らは体内に塩分を保持する身体能力が高いのです)。(私の経験ですが)酷暑では塩分制限を厳しく守る人に限り熱中症になっているようです(低ナトリウム性脱水)。
血圧管理
(ころころ変わり何が本当かわからない)高血圧治療ガイドライン2019では、
診察室血圧ではなく家庭血圧が優先される。家庭血圧は原則2回測定し、その平均値を用います。
降圧目標は
- 75歳未満では、診察室血圧で130/80mmHg未満
- 75歳以上では、診察室血圧で140/90mmHg未満
家庭血圧では、それぞれ5mmHg低い値が目標
と、高血圧治療ガイドライン2014と比べてかなり厳しくなりました(本当いい加減な基準やな)。
- 糖尿病合併高血圧は125/75mmHg未満
- 慢性腎臓病(CKD)では
蛋白尿陽性の場合 125/75mmHg未満
- 脳血管障害患者・冠動脈疾患患者は 125/75mmHg未満
甲状腺関連の上記以外の検査・治療 長崎甲状腺クリニック(大阪)
- 甲状腺編
- 甲状腺編 part2
- 内分泌代謝(副甲状腺/副腎/下垂体/妊娠・不妊等
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長崎甲状腺クリニック(大阪)とは
長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査など]による甲状腺専門クリニック。大阪府大阪市東住吉区にあります。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,浪速区,天王寺区,東大阪市,生野区も近く。