視神経脊髄炎(NMO:Neuromyelitis Optica)・視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)と甲状腺[甲状腺 橋本病 バセドウ病 長崎甲状腺クリニック 大阪]
内分泌代謝(副甲状腺・副腎・下垂体)専門の検査/治療/知見 長崎甲状腺クリニック(大阪)
甲状腺専門・内分泌代謝の長崎甲状腺クリニック(大阪府大阪市東住吉区)院長が海外・国内論文に眼を通して得た知見、院長自身が大阪市立大学(現、大阪公立大学) 附属病院 代謝内分泌内科で得た知識・経験・行った研究、日本甲状腺学会で入手した知見です。
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Summary
視神経脊髄炎(NMO)[視神経脊髄炎関連病・視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)]はアストロサイト(星状細胞)の足突起に発現する水チャンネルタンパク(アクアポリン4)に対する抗アクアポリン4(AQP-4)抗体が原因。1型糖尿病、バセドウ病、無痛性甲状腺炎、甲状腺機能低下症/橋本病、シェーグレン症候群を合併。MPO-ANCAなど自己抗体発現頻度が高い。症状は視神経炎[甲状腺眼症(バセドウ病眼症・橋本病眼症)に似ているが眼窩MRIで鑑別可能。採血結果を待たずにステロイドパルス療法開始。横断性脊髄炎、脳炎、内分泌異常(尿崩症など視床下部異常)もおこす。
Keywords
視神経脊髄炎,視神経脊髄炎スペクトラム障害,アクアポリン4,抗アクアポリン4抗体,バセドウ病,甲状腺機能低下症,橋本病,視神経炎,甲状腺眼症,尿崩症
かつて多発性硬化症(MS)の亜型と考えられてきた視神経脊髄炎(NMO:Neuromyelitis Optica)ですが、現在では独立した病態です。最近は視神経脊髄炎関連病・視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)とも呼ばれます。
視神経脊髄炎(NMO)/視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)は、自己免疫によるアストロサイト(星状細胞)の障害です。神経線維の髄鞘が壊れるため、多発性硬化症(MS)と同じ脱髄疾患に分類されます。
アストロサイト(星状細胞)の足突起に高密度で発現する水チャンネルタンパク(アクアポリン4)に対する抗アクアポリン4(AQP-4)抗体が原因。膵ベータ細胞を自己免疫で破壊する1型糖尿病の合併は健康人より多いとされ、糖尿病性網膜症との重複で紛らわしくなります。バセドウ病、橋本病、シェーグレン症候群、SLE(全身性エリテマトーデス)とも合併します。
視神経脊髄炎(NMO)/視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)は女性に多く、発症年齢は30-40歳が中心で、甲状腺の病気と重なります。
視神経脊髄炎(NMO)/視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)の症状は
- 失明に至る視神経炎;両側性障害、水平性半盲。;抗アクアポリン-4抗体(抗AQP-4抗体)陽性者では、急速に網膜神経節細胞の壊死が始まるため、採血の結果を待たずにステロイドパルス療法を開始。甲状腺眼症(バセドウ病眼症・橋本病眼症)に似ています
- 横断性脊髄炎;3椎体以上、両側性に強いしびれ・疼痛
- 脳炎、脳幹部脳炎
延髄;吃逆(しゃっくり)が数日~数週間止まらない(呼吸中枢障害)、吐き気や嘔吐
視床下部;過眠症[ナルコレプシー(眠り病)]、内分泌異常(尿崩症など視床下部異常)を伴う
大脳;意識障害、片麻痺、片側の感覚障害
- 多発性硬化症(MS)よりも自己免疫疾患の合併が多い[視神経脊髄炎(NMO)/視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)と甲状腺]
視神経脊髄炎(NMO)/視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)の検査所見は、
- 頭部MRI所見が軽微、脊髄MRI所見が高度の炎症(Ger Med Sci. 2015 Nov 18;13:Doc22.)
- 視神経炎なので眼窩MRIを撮影すればバセドウ病眼症(甲状腺眼症)と鑑別可能。
- 髄液;細胞増多はまれ、蛋白増加が高度だがオリゴクローナルバンドの陽性率は低い、潜血(10%)
- 抗MOG抗体は保険適応外。抗MOG抗体陽性者はステロイド反応性が良い。
視神経脊髄炎(NMO)/視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)の治療は、ステロイドパルス療法、血漿交換、免疫グロブリン大量静注療法など。
視神経脊髄炎(NMO)/視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)と
- 橋本病を基盤とする無痛性甲状腺炎(Ger Med Sci. 2015 Nov 18;13:Doc22.)
- 甲状腺機能低下症/橋本病(Oxf Med Case Reports. 2015 Oct 1;2015(10):325-9.)
を合併した報告があります。
また、日本人の視神経脊髄炎(NMO)/視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)では、
- 19.8%にシェーグレン症候群
- 13.6%に甲状腺疾患
を合併します。[J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2011 Dec;82(12):1360-4.]
視神経脊髄炎(NMO)/視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)は、多発性硬化症(MS)よりも自己免疫疾患の合併が多く、
- 甲状腺関連自己抗体
[抗TSH受容体抗体(TRAb)
抗サイログロブリン抗体(Tg-Ab)(31.8% vs 健常人16.2%)
抗ぺルオキシダーゼ抗体(TPO-Ab)](37.5% vs 健常人14.9%)(J Neurol Sci. 2016 Jul 15;366:3-7.) - シェーグレン症候群関連自己抗体(抗SS-A 抗体,抗SS-B 抗体)
- 高カルジオリピン抗体
- 抗甲状腺薬(メルカゾール・プロパジール・チウラジール)内服中にも出現するMPO-ANCA
など自己抗体の発現頻度が高い[J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2011 Dec;82(12):1360-4.]
などの特徴があります。甲状腺機能低下症/橋本病、甲状腺機能亢進症/バセドウ病を合併すると、増々、見分けが付きにくくなります。
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長崎甲状腺クリニック(大阪)とは
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