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多発性硬化症(MS)と甲状腺・バセドウ病眼症(甲状腺眼症)[甲状腺機能亢進症 橋本病 バセドウ病 長崎甲状腺クリニック 大阪]

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甲状腺:専門の検査/治療/知見① 橋本病 バセドウ病 甲状腺エコー 長崎甲状腺クリニック大阪

甲状腺専門長崎甲状腺クリニック(大阪府大阪市東住吉区)院長が海外・国内論文に眼を通して得た知見、院長自身が大阪市立大学 代謝内分泌内科で得た知識・経験・行った研究、日本甲状腺学会 学術集会で入手した知見です。

長崎甲状腺クリニック(大阪)以外の写真・図表はPubMed等で学術目的にて使用可能なもの、public health目的で官公庁・非営利団体等が公表したものを一部改変しています。引用元に感謝いたします。

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[多発性硬化症(MS)MRI画像]

多発性硬化症(MS)と甲状腺

長崎甲状腺クリニック(大阪)は甲状腺専門クリニックです。多発性硬化症(MS)の診療を行っておりません。

Summary

多発性硬化症(MS)の約6%に自己免疫性甲状腺疾患を合併。複視、眼のかすみなど視神経障害・視力低下が最多でバセドウ病眼症(甲状腺眼症)と同じ症状。眼底検査は異常なし。30歳前後の女性にピークがあり、ストレスが誘因となる点は甲状腺機能亢進症/バセドウ病と同じ。多発性硬化症(MS)は視神経炎なので眼窩MRIをすれば甲状腺眼症と鑑別可。急性期治療はステロイドパルス療法でバセドウ病眼症(甲状腺眼症)も同じ治療。治療薬のINFベータやアレムツズマブで自己免疫性甲状腺疾患(甲状腺機能亢進症/バセドウ病橋本病)が誘発される。

Keywords

多発性硬化症,MS,甲状腺,バセドウ病眼症,甲状腺眼症,甲状腺機能亢進症,バセドウ病,鑑別,アレムツズマブ,橋本病

多発性硬化症(multiple sclerosis:MS)と甲状腺

多発性硬化症(multiple sclerosis:MS)と視神経脊髄炎(NMO)/視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)は似ているようで治療法が全く違います。正確な診断が重要です。

多発性硬化症(MS)は、神経線維の髄鞘あるいは髄鞘を形成する乏突起膠細胞が標的となる自己免疫疾患。人口10万人あたり10人以下と稀だが、約70%は女性で30歳前後にピークがある点は甲状腺機能亢進症/バセドウ病に似ています。ストレスが誘因となり発症する点も甲状腺機能亢進症/バセドウ病と同じです。

多発性硬化症(MS)の約6.4%に自己免疫性甲状腺疾患を合併します(Mult Scler. 2015 Mar;21(3):282-93.)。

多発性硬化症(MS)は前駆症状として発熱、頭痛、感冒様症状を認める事もある(亜急性甲状腺炎と似ています)。

多発性硬化症(MS) MRI画像

多発性硬化症(MS)では50%に複視、眼のかすみなどの視神経障害、視力低下を認める(最も多い症状)。バセドウ病眼症(甲状腺眼症)と同じく、眼科を受診しても眼底検査で異常なし。数週間で自然に改善します。

多発性硬化症(MS)は「時間的・空間的多発性」から、視神経症状と他の神経症状が時間差を置いて出現し、自然軽快した後に再出現。

多発性硬化症(MS)は視神経炎なので眼窩MRIを撮影すればバセドウ病眼症(甲状腺眼症)と鑑別可能。眼窩MRIで同時に写った脳の脳室周囲、皮質下白質に多発性脱髄巣(T2高信号の病巣)を認めます。また、脱髄巣は血管の分布に一致しません。

視野検査において、視神経炎で典型的な盲中心暗点(Mariotte 盲点と中心暗点が連結したもの)を認める。

視覚誘発電位/体性感覚誘発電位で異常を認める場合もあります。 

脳脊髄液所見は初圧正常、細胞数正常-軽度増加(単核球)、蛋白正常-軽度増加(オリゴクローナルバンド陽性、ミエリン塩基性蛋白上昇)、糖正常。

盲中心暗点

多発性硬化症(MS)の急性期治療は、ステロイドパルス療法でバセドウ病眼症(甲状腺眼症)の治療と同じ。IFNβ(インターフェロンベータ)製剤/ミトキサントロンが有効。INFベータ使用で自己免疫性甲状腺疾患(バセドウ病橋本病)誘発の可能性。[J Neurol Sci. 1999 Jan 1;162(1):74-83.](第55回 日本甲状腺学会 P1-02-12 多発性硬化症を合併により視力障害を来したバセドウ病の2 例)

一方、IFNβ(インターフェロンベータ)治療と自己免疫性甲状腺疾患の発症・甲状腺機能障害は無関係との報告もあります[Neurology. 2001 Oct 23;57(8):1363-70.]。

インターフェロンベータ(IFN-ベータ)で長期間治療された多発性硬化症(MS)患者の約5〜25%に抗IFNベータ中和抗体が出現します。抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(TPO抗体)は、抗IFNベータ中和抗体の発生リスク増加と関連します[Mult Scler. 2007 Aug;13(7):895-9.]。

アレムツズマブは、リンパ球や単球上のCD52 を標的とするヒトモノクローナル抗体で、早期多発性硬化症に有効な治療薬です。アレムツズマブ投与患者の33%に自己免疫性甲状腺疾患の有害事象がおこり、63%が甲状腺機能亢進症/バセドウ病、15%が橋本病甲状腺機能亢進症/バセドウ病の15%は疾患活動性が変動し、12%が自然寛解します。(J Endocrinol Invest. 2020 Feb;43(2):219-229.)(Mult Scler J Exp Transl Clin. 2020 Jun 18;6(2):2055217320933928.)

※筆者の勝手な推論ですが、無痛性甲状腺炎甲状腺機能亢進症/バセドウ病甲状腺機能低下症橋本病と取り違えているのではないかと思います。

多発性硬化症(MS)に甲状腺乳頭癌甲状腺髄様癌の両方を合併し、‎エプスタインバーウイルス (EBV)‎の関与が疑われた報告があります(Exp Ther Med. 2020 Oct;20(4):3458-3461.)。

 

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長崎甲状腺クリニック(大阪)


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