不妊症/習慣性流産・不育症と甲状腺機能亢進症・バセドウ病[日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医 橋本病 甲状腺エコー 長崎甲状腺クリニック 大阪]
甲状腺:専門の検査/治療/知見① 橋本病 バセドウ病 甲状腺エコー 長崎甲状腺クリニック大阪
甲状腺専門の長崎甲状腺クリニック(大阪府大阪市東住吉区)院長が海外・国内論文に眼を通して得た知見、院長自身が大阪市立大学医学部附属病院 代謝内分泌内科で得た知識・経験・行った研究、甲状腺学会学術集会で入手した知見です。
長崎甲状腺クリニック(大阪)以外の写真・図表はPubMed等で学術目的にて使用可能なもの、public health目的で官公庁・非営利団体等が公表したものを一部改変しています。引用元に感謝いたします。
甲状腺・動脈硬化・内分泌代謝・糖尿病に御用の方は 甲状腺編 動脈硬化編 内分泌代謝(副甲状腺/副腎/下垂体/妊娠・不妊等 糖尿病編 をクリックください
Summary
コントロールされた甲状腺機能亢進症/バセドウ病の不妊症の率は5.8%で甲状腺機能低下症と同程度、流産率は11.4-12.5%での日本人女性の流産率13%と差はない。未治療の甲状腺機能亢進症/バセドウ病の流産率は21%、子宮内胎児発育遅延(IUFR)の約7%・子宮内胎児死亡(IUFD)の4%を占める。甲状腺機能亢進症/バセドウ病女性の不妊治療では①hCG注射薬・hMG注射薬は甲状腺を刺激してバセドウ病を増悪・再発させる危険性②女性ホルモン剤、黄体ホルモン剤を生理周期に合わせて投与・中止を繰り返すとリバウンドでバセドウ病を増悪・再発させる危険性。
Keywords
甲状腺機能亢進症,バセドウ病,不妊症,流産,不妊治療,甲状腺
性成熟期(妊娠可能年齢)における甲状腺機能亢進症/バセドウ病では、月経異常が頻繁にみられます。健康女性の8%に比較して約22%に月経異常がみられます。しかし、ほとんどの場合、排卵周期は保持されています。[Ann N Y Acad Sci. 1997 Jun 17;816:280-4.]
コントロールされた(安定した)甲状腺機能亢進症/バセドウ病における
- 不妊症の率は5.8%;甲状腺機能低下症の不妊率と同程度
- 流産率は11.4-12.5%;厚生労働省統計に示された日本人女性の流産率13%と差はありません。
しかし、未治療甲状腺機能亢進症/バセドウ病は、
- 流産率21%(Br J Obstet Gynaecol. 1980 Nov;87(11):970-5.)
- 子宮内胎児発育遅延(IUFR)の約7%・子宮内胎児死亡(IUFD)の4%を占める(J Pregnancy. 2013;2013:619718.)
と報告されています。
甲状腺機能亢進症/バセドウ病の不妊率が甲状腺機能低下症と同程度であるのは、甲状腺機能亢進症/バセドウ病妊娠は母児ともに命の危険が生じるハイリスク妊娠(妊娠とバセドウ病)につき、
- 甲状腺機能が安定するまで数年の長い時間が掛かる
- 甲状腺機能が安定してもバセドウ病抗体(TRAb)が高いと胎児・新生児バセドウ病をおこす危険がある
ため、妊娠を許可されないのが理由でしょう(Int J Endocrinol. 2014; 2014: 982705.)。
甲状腺機能亢進症/バセドウ病女性の不妊治療では以下の問題があります。
- hCG注射薬・hMG注射薬は甲状腺を刺激してバセドウ病を増悪・再発させる危険性があります。
- 女性ホルモン剤、黄体ホルモン剤はバセドウ病の活動性を抑えますが、生理周期に合わせて投与したり止めたり(バセドウ病を抑えたり、放したり)を繰り返すと、リバウンドでバセドウ病を増悪・再発させる危険性があります。
もちろん、必ずしも甲状腺機能亢進症/バセドウ病が増悪・再発するとは限りません。
しかし、甲状腺機能亢進症/バセドウ病が再発すると、不妊治療は中止となります。甲状腺機能が安定するまで再開のめどは立ちません。甲状腺機能亢進症/バセドウ病の投薬開始(再開・増量)後は、頻回の副作用チェックが必要になります。
そのため長崎甲状腺クリニック(大阪)での不妊治療中バセドウ病女性の診療は①大阪市と隣接市のバセドウ病患者に限定(他府県、遠隔地の方は診れません)②メルカゾール、チウラジール、プロパジールを自己中断された方、副作用時の対応を理解できない方はお受けできません。
甲状腺関連の上記以外の検査・治療 長崎甲状腺クリニック(大阪)
長崎甲状腺クリニック(大阪)とは
長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査など]による甲状腺専門クリニック。大阪府大阪市東住吉区にあります。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,生野区,東大阪市,天王寺区,浪速区,生野区も近く。