超音波(エコー)検査での腺腫様甲状腺腫(腺腫様結節)と甲状腺乳頭癌の鑑別[橋本病 バセドウ病 甲状腺機能低下症 長崎甲状腺クリニック 大阪]
甲状腺の基礎知識を初心者でもわかるように、長崎甲状腺クリニック(大阪府大阪市東住吉区)院長が解説します。
高度で専門的な知見は甲状腺編 甲状腺編 part2 を御覧ください。
長崎甲状腺クリニック(大阪)以外の写真・図表はPubMed等で学術目的にて使用可能なもの、public health目的で官公庁・非営利団体等が公表したものを一部改変しています。引用元に感謝いたします。
Summary
超音波(エコー)画像上、腺腫様結節と甲状腺乳頭癌の鑑別は甲状腺専門医でも難しい場合がある。辺縁粗雑でなくとも、辺縁不整、内部不均質、石灰化著明な腫瘍は、穿刺細胞診を行う他ない。縦横比(D/W)が1.0以上なら悪性の可能性が高い。エラストグラフィーで硬ければ甲状腺癌、軟らかいなら良性甲状腺結節の可能性が高い。複数回細胞診して良性判定でも、完全に悪性を否定できない。超音波(エコー)画像上、甲状腺髄様癌に見える場合もある。上に凸で、腫瘤が前方被膜を押し上げているため甲状腺乳頭がんを疑われたが、穿刺細胞診の結果は腺腫様結節のケースもある。
Keywords
超音波,エコー,腺腫様結節,甲状腺乳頭癌,鑑別,辺縁粗雑,石灰化,穿刺細胞診,D/W,悪性
超音波(エコー)画像上における腺腫様結節と甲状腺乳頭癌の鑑別は甲状腺専門医でも難しい場合があります。写真の様に、辺縁不整、内部不均質、石灰化著明な腫瘍は、どちらであってもおかしくありません。ここは、穿刺細胞診を行う他ありません。
一般的に腫瘍の縦横比(D/W;depth width ratio)が大きい(Taller than wide finding、1.0以上)と悪性の可能性が高くなります。
1.0をカットオフ値とした縦横比(D/W)のTaller than wide findingは、
- 悪性が疑われる任意の断面;感度(68%)、陰性予測値(87.7%)、最も正確で高感度
- 横断面;感度低いが特異度83.5%
- 縦断面;感度低いが特異度94.5%
(Thyroid. 2011 Nov;21(11):1249-53.)
悪性腫瘍は硬いため、超音波(エコー)プローブによる圧迫で縮まないと考えられています(AJR Am J Roentgenol. 2010 May;194(5):W420-4.)。皮膚の上から甲状腺腫瘍の直上を超音波(エコー)プローブで圧迫して、どれくらい縮んだか[歪(ひずみ)の程度]を測定すれば、甲状腺腫瘍の硬さが分かります。硬ければ甲状腺癌、軟らかいなら良性甲状腺結節の可能性が高くなります。それを調べるのがエラストグラフィーです。[エラストグラフィー(甲状腺癌などの硬さを瞬時に診断)]
ケース①
ケース②
ケース③
ケース①
ケース②
ケース③
ケース④
ケース⑤
ケース⑥
ケース⑦
ケース⑧
甲状腺関連の上記以外の検査・治療 長崎甲状腺クリニック(大阪)
- 甲状腺編
- 甲状腺編 part2
- 内分泌代謝(副甲状腺/副腎/下垂体/妊娠・不妊等
も御覧ください
長崎甲状腺クリニック(大阪)とは
長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査など]による甲状腺専門クリニック。大阪府大阪市東住吉区にあります。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,天王寺区,東大阪市,生野区,浪速区も近く。