長崎甲状腺クリニック(大阪)新着情報[日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医 橋本病 バセドウ病 甲状腺超音波(エコー)検査 長崎甲状腺クリニック 大阪]
2013.08.11
甲状腺と自己免疫性肝炎
甲状腺(橋本病,バセドウ病,甲状腺エコー等)・動脈硬化・内分泌代謝専門の長崎甲状腺クリニック(大阪)からのお知らせです。日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医として甲状腺機能低下症,橋本病,甲状腺機能亢進症,バセドウ病,内分泌などのホットな話題をお届けします。
原発性胆汁性肝硬変(PBC)
抗ミトコンドリアM2抗体
橋本病/甲状腺機能低下症における肝障害の約20%(特に甲状腺機能低下症で陽性率が高い)、バセドウ病/甲状腺機能亢進症における肝障害の約8%に原発性胆汁性肝硬変・胆管炎(PBC)が存在します。原発性胆汁性肝硬変・胆管炎(PBC)では血液中の抗ミトコンドリアM2抗体が陽性になるため、橋本病(慢性甲状腺炎)/バセドウ病で甲状腺機能が正常なのに肝臓の数値が高い方は抗ミトコンドリアM2抗体を調べる必要があります。
甲状腺以外の自己免疫疾患で見ると、シェ-グレン症候群は原発性胆汁性肝硬変・胆管炎(PBC)の最も頻度が高い肝外症状です。合併率は3.5%-73%と報告によりバラツキがあります。全身性硬化症(SSc)の合併率は1.4%-12.3%とされます。
原発性胆汁性肝硬変・胆管炎(PBC)は中高年女性に多く、無症状で見つかるものが2/3です。1/3は皮膚掻痒感・黄疸・高コレステロール血症を呈し、甲状腺機能低下症に重なる症状・検査所見です。胆汁うっ滞で腸に胆汁が流れにくいために、ビタミンD吸収障害・骨粗鬆症が進行します。
原発性胆汁性肝硬変・胆管炎(PBC)の治療は胆石・慢性C型肝炎と同じウルソ(ウルソデオキシコール酸、熊の胆汁)投与で、疎水性胆汁酸から肝細胞を保護します。高トリグリセリド(中性脂肪)血症治療薬のフィブレート系薬剤はリン脂質を排泄し肝細胞保護を有する。予後は様々で肝移植を行うこともあります。
抗平滑筋抗体 (ASMA) は原発性胆汁性肝硬変・胆管炎(PBC)の40%で陽性。
ウイルス感染[A型肝炎ウイルス、エプスタイン‐バールウイルス (EBV)、サイトメガロウイルス、麻疹ウイルス]や薬剤は自己免疫性肝炎(autoimmune hepatitis;AIH)発症の誘因で、我が国ではC型肝炎ウイルス血症を伴う自己免疫性肝炎(AIH)が報告されています。組織適合抗原であるHLA-DR4が発症に関与するとされます。慢性甲状腺炎(橋本病)(10%)、シェーグレン症候群(7%)、関節リウマチ(RA)(3%)を合併。
抗核抗体(ANA)陽性(74%)、抗平滑筋抗体(ASMA)陽性(40%)になる1型がほとんどで、それらが陰性なら抗肝腎ミクロゾーム抗体(抗LKM抗体)が陽性の2型です。
抗平滑筋抗体 保険適応外
抗平滑筋抗体 (ASMA) は自己免疫性肝炎(AIH)、ルポイド肝炎の80~85%、 原発性胆汁性肝硬変・胆管炎(PBC)の40%程度に高力価で検出される疾患特異的抗体です。
抗肝細胞膜抗体(LMAb) 保険適応外
原発性胆汁性肝硬変・胆管炎(PBC)、自己免疫性活動性慢性肝炎で陽性。
詳細は、 甲状腺と肝障害(自己免疫性肝炎,原発性胆汁性肝硬変)・薬剤性肝障害 を御覧ください
文責:長崎甲状腺クリニック(大阪)院長 日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医 長崎俊樹
今日は「甲状腺と自己免疫性肝炎」の話でした。
長崎甲状腺クリニック(大阪)とは
長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査など]による甲状腺専門クリニック。大阪府大阪市東住吉区にあります。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,東大阪市,天王寺区,生野区も近く。