甲状腺のう胞と思っても正中頸のう胞(甲状舌管嚢胞),正中頸のう胞癌(甲状舌管嚢胞癌) [橋本病 バセドウ病 長崎甲状腺クリニック 大阪]
内分泌代謝(副甲状腺・副腎・下垂体)専門の検査/治療/知見 長崎甲状腺クリニック(大阪)
甲状腺専門・内分泌代謝の長崎甲状腺クリニック(大阪府大阪市東住吉区)院長が海外(Pub Med)・国内論文に眼を通して得た知見、院長自身が大阪市立大学(現、大阪公立大学) 代謝内分泌内科で得た知識・経験・行った研究、年次開催の日本甲状腺学会 学術集会で入手した知見です。
長崎甲状腺クリニック(大阪)以外の写真・図表はPubMed等で学術目的にて使用可能なもの、public health目的で官公庁・非営利団体等が公表したものを一部改変しています。引用元に感謝いたします。
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Summary
正中頸のう胞(甲状舌管嚢胞)は胎生期に甲状腺原基(甲状腺中葉)が下方に移動する際の甲状舌管遺残。人口の約7%に存在し若年者(10歳代)と50歳代に多い。多くは舌骨部に発生し左側。1~2%に癌が発生、甲状腺組織が発生母地なので正中頸嚢胞癌(甲状舌管嚢胞癌)の84%は甲状腺乳頭癌。約20%で上気道感染症などを契機にのう胞(嚢胞)内感染・膿瘍形成し頚部腫瘤増大・嚥下困難、頸部痛、皮膚発赤。超音波(エコー)検査、造影CTなどで診断。穿刺細胞診所見はのう胞液中の組織球(泡沫細胞)、リンパ球と一部扁平上皮。根治治療は手術摘出だが術後再発率は5%。
Keywords
正中頸のう胞,甲状舌管嚢胞,正中頸嚢胞癌,甲状舌管嚢胞癌,甲状腺乳頭癌,のう胞内感染,超音波,エコー,検査,治療
正中頸のう胞(甲状舌管嚢胞)は、胎生期に甲状腺原基(甲状腺中葉)が下方に移動する際の甲状舌管遺残です。人口の約7%に存在するとされ、若年者(10歳代)と50歳代に多く、男女差なし。(Head Neck Pathol. 2016 Dec;10(4):465-474.)
多くは舌骨部に発生し、甲状舌管は左寄りが一般的なので左側にできやすい。
良性と考えられがちな正中頸嚢胞(甲状舌管嚢胞)の1~3%に癌が発生します。正中頸嚢胞癌(甲状舌管嚢胞癌)は甲状腺組織を発生母地にするため甲状腺乳頭癌が84%を占めます。(Head Neck Pathol. 2016 Dec;10(4):465-474.)
約20%で上気道感染症などを契機に正中頸嚢胞(甲状舌管嚢胞)感染・膿瘍が生じます。のう胞内感染・膿瘍形成した場合の症状は、
- 頚部腫瘤増大;嚥下困難
- 頸部痛、皮膚発赤・熱感、咳嗽(せき)、嗄声(声のカスレ)
- 瘻孔形成
(Int J Oral Maxillofac Surg. 2015 Jan;44(1):119-26.)
頭頸部癌の放射線治療後、正中頸のう胞(甲状舌管嚢胞)が突然大きくなることがあります(Surg Radiol Anat. 2013 Dec;35(10):875-81)。
ケース①
正中頸のう胞(甲状舌管嚢胞)の超音波(エコー)画像。黒い(低エコー)部分は粘稠な液体。白い(等エコー)部分は、胎生期に取り残された甲状腺組織で、甲状腺癌の発生母体になります。
ケース② 巨大な正中頸のう胞(甲状舌管嚢胞)
ケース③ 内部は、かなり粘稠な液体
ケース④ 舌根部正中頸のう胞(a)
ケース⑤ 舌根部正中頸のう胞(b)
そもそも、舌根部の超音波(エコー)検査なんて、何か症状がない限り行いません。
たいてい、頸部CT/MRIで偶然見つかるケースが多い。
写真はDWIBS:ドゥイブス で偶然見つかった舌根部甲状舌管のう胞(舌根部甲状舌管嚢胞)。
舌根部甲状舌管のう胞(舌根部甲状舌管嚢胞);DWIBS:ドゥイブス で見つかった位置に舌根部甲状舌管のう胞(舌根部甲状舌管嚢胞)を認めます。
ケース⑥ 多房性甲状舌管のう胞
ケース⑦ 正中頸のう胞癌(甲状舌管嚢胞癌)
舌根部の正中頸のう胞(甲状舌管嚢胞)と思っても、ただの炎症性リンパ節腫大の場合があります。
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長崎甲状腺クリニック(大阪)とは
長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査など]による甲状腺専門クリニック。大阪府大阪市東住吉区にあります。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,浪速区,生野区,東大阪市も近く。