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バセドウ病眼症(甲状腺眼症)の治療 テプロツムマブ(テッペーザ®)(ステロイド・放射線球後照射以外)[橋本病 バセドウ病 長崎甲状腺クリニック 大阪]

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甲状腺:専門の検査/治療/知見① 橋本病 バセドウ病 甲状腺エコー 長崎甲状腺クリニック大阪

甲状腺専門長崎甲状腺クリニック(大阪府大阪市東住吉区)院長が海外(Pub Med)・国内論文に眼を通して得た知見、院長自身が大阪市立大学(現、大阪公立大学) 代謝内分泌内科で得た知識・経験・行った研究、日本甲状腺学会の年次学術集会で入手した知見です。

長崎甲状腺クリニック(大阪)以外の写真・図表はPubMed等で学術目的にて使用可能なもの、public health目的で官公庁・非営利団体等が公表したものを一部改変しています。引用元に感謝いたします。尚、本ページは長崎甲状腺クリニック(大阪)の経費で非営利的に運営されており、広告収入は一切得ておりません。

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テプロツムマブ

(図;Eye (Lond). 2019 Feb;33(2):183-190.より改変) 

長崎甲状腺クリニック(大阪)は内科系の甲状腺専門クリニックです。バセドウ病眼症(甲状腺眼症)の治療を行っておりません。

また、テッペーザ®の取り扱いは御座いません。

バセドウ病眼症(甲状腺眼症)の治療は、内科医と眼科医、放射線科医の密接な協力が不可欠です。

未治療バセドウ病の約7%に治療を要する中等症以上の活動性バセドウ病眼症(甲状腺眼症)を認めます(第62回 日本甲状腺学会 HSO3-5 バセドウ病眼症の頻度とリスク因子―未治療バセドウ病1702例を 対象とした後方視的検討―)[Intern Med. 2014;53(5):353-60.][Clin Ophthalmol. 2022 Mar 18;16:841-850.]

バセドウ病眼症(甲状腺眼症)の治療 テプロツムマブ(テッペーザ®)(ステロイド・放射線球後照射以外)

Summary

テプロツムマブ(テッペーザ®)はインスリン様成長因子1(IGF-1)受容体に対するモノクローナル抗体製剤。活動性甲状腺眼症に限り保険適応。有害事象は糖尿病・耐糖能障害、胃腸障害・下痢、脱毛症、聴覚関連障害/聴力低下、耳鳴、筋痙攣・筋骨格硬直、味覚障害、爪の異常、生理不順。妊婦又は妊娠の可能性がある女性には投与不可。それ以外のシクロスポリンA、ミコフェノール酸モフェチル、リツキシマブ(リツキサン®)、エタネルセプト(エンブレル®)、ソマトスタチン誘導体、セレコキシブ(セレコックス®)、アトルバスタチン、セレン(Se:selenium)はあまり効果ない。

Keywords

テプロツムマブ,テッペーザ,IGF-1,甲状腺眼症,保険適応,有害事象,糖尿病,脱毛,聴力低下,生理不順

テプロツムマブ(Teprotumumab)

分子標的薬テプロツムマブ(Teprotumumab)が、アメリカ食品医薬品局(FDA)よりバセドウ病眼症(甲状腺眼症)治療薬として認可を受けています。

日本でも中等度から重度の活動性甲状腺眼症に対する第3相臨床試験(OPTIC-J)の結果がまとまり、2024年11月20日に認可されました。テッペーザ®としてアムジェン株式会社が製造販売を行っています。

テプロツムマブ(Teprotumumab)は、インスリン様成長因子1(IGF-1)受容体に対するモノクローナル抗体製剤(分子標的薬、生物学的製剤)です。

テッペーザ®は活動性甲状腺眼症に限り、保険適応が認められています。

テプロツムマブ(Teprotumumab)の単独効果として、眼球突出改善効果(≧2mm減少)はプラセボ群20%、プロツマブ治療群71.4%。

現時点での主な有害事象は、

  1. 血糖関連(18.5%)
    糖尿病(7.4%)、耐糖能障害(3.7%)、高血糖(7.4%)
  2. 胃腸障害(14.8%)
    下痢(7.4%);炎症性腸疾患を悪化
  3. 脱毛症(14.8%)
  4. 聴覚関連障害/聴力低下(14.8%)
  5. 耳鳴(11.1%)
  6. 筋痙攣・筋骨格硬直(7.4%)
  7. 味覚障害(7.4%)
  8. 爪の異常(7.4%)
  9. 疲労(3.7%)
  10. 生理不順(3.7%)

(N Engl J Med. 2017 May 4;376(18):1748-1761.)(Eye (Lond). 2019 Feb;33(2):183-190.)[N Engl J Med. 2020 Jan 23;382(4):341-352.]

(図;Eye (Lond). 2019 Feb;33(2):183-190.より改変) 

テプロツムマブ

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。」となっており、妊活中バセドウ病眼症(甲状腺眼症)患者には使用できません。

具体的な使用方法として、「成人にはテプロツムマブ(遺伝子組換え)として初回は10mg/kgを、2回目以降は20mg/kgを7回、3週間間隔で計8回点滴静注する。」

効果はいつまで持続するのか?中止すればバセドウ病眼症(甲状腺眼症)は再燃するのか?何クール必要なのか?これからデータが蓄積されていくでしょう。

シクロスポリンA

甲状腺機能亢進症/バセドウ病に合併することもある再生不良性貧血は、抗甲状腺薬(メルカゾール、プロパジール、チウラジール)の副作用で起きる場合もあります。再生不良性貧血治療に使用する免疫抑制剤シクロスポリンAを、バセドウ病眼症(甲状腺眼症)において副腎皮質ステロイド剤と併用投与する方法があります。[Indian J Endocrinol Metab. 2012 Dec;16(Suppl 2):S150-2.][Eur J Endocrinol. 2021 Aug 27;185(4):G43-G67.]

実際使用された久留米大学の谷 淳一先生曰く、あまり効かないそうです。(第60回日本甲状腺学会 専門医教育セミナーⅡ 甲状腺眼症の内科的治療-現状と今後の展望)

ミコフェノール酸モフェチル

免疫抑制剤 ミコフェノール酸モフェチル(セルセプト®)は、中等度/重度の甲状腺眼症において、メチルプレドニゾロン投与後の寛解維持に有用(Clin Ophthalmol. 2021 May 10;15:1921-1932.)(J Endocrinol Invest. 2016 Jun;39(6):687-94.) 

プレドニゾロン・タモキシフェン併用療法が無効なリーデル甲状腺炎Reidel甲状腺炎)に、プレドニゾロン・ミコフェノール酸モフェチル併用療法が有効だった報告があります。‎(Thyroid. 2010 Jan;20(1):105-7.)

ミコフェノール酸モフェチルにおける頻度不明の副作用として、甲状腺機能低下症、副甲状腺障害(副甲状腺機能低下症?)、医原性クッシング症候群が添付文書に記載されています。むしろ、ステロイド薬の使用量を減らせるため、医原性クッシング症候群ステロイド糖尿病のリスクが下がるとされます(Clin Exp Nephrol. 2021 Jul;25(7):788-801.)。

リツキシマブ(リツキサン®)

甲状腺悪性リンパ腫の治療に用いるリツキシマブ(リツキサン®)が、バセドウ病眼症(甲状腺眼症)に有効(J Clin Endocrinol Metab. 2013 Nov; 98(11):4291-9.)との意見がある一方、無効との意見もあります(J Clin Endocrinol Metab. 2015 Feb; 100(2): 422–431.)。

バセドウ病眼症(甲状腺眼症)に効くかどうかは別にして、バセドウ病抗体(TRAb)の産生を抑え、甲状腺機能亢進症/バセドウ病の寛解率を上げます(Eur J Endocrinol. 2008;159(5):609–615.)(Clin Endocrinol (Oxf). 2013;79(3):437–442.)。

エタネルセプト(エンブレル®)

関節リウマチでお馴染みのTNF-α阻害薬エタネルセプト(エンブレル®)は、炎症性サイトカインをブロックするため、ある程度効くかもしれません(Eye (Lond). 2005 Dec;19(12):1286-9.)。

ソマトスタチン誘導体

先端巨大症(成長ホルモン産生下垂体神経内分泌腫瘍)治療に使用されるソマトスタチン誘導体も、バセドウ病眼症(甲状腺眼症)への効果が報告されています(J Endocrinol Invest. 2004 Mar;27(3):281-7.)。

バセドウ病眼症(甲状腺眼症)において病態の中心は、インスリン様成長因子1[insulin-like growth factor (IGF)-I]による眼筋や眼窩内脂肪組織内の線維増殖・脂肪増殖です。ソマトスタチン誘導体は、IGF-I の産生を抑制します。

セレコキシブ(セレコックス®)

痛み止め、抗炎症剤セレコキシブ(セレコックス®);効くわけないと思いますが・・・

アトルバスタチン

LDL-コレステロール(悪玉コレステロール)値が114.8 -188.7 mg/dLの範囲内にある中等症~重症バセドウ病眼症(甲状腺眼症)患者に、メチルプレドニゾロン静脈注射とアトルバスタチン(コレステロール合成阻害薬)内服を併用すると奏効率が高まったとされます(Lancet Diabetes Endocrinol. 2021 Nov;9(11):733-742.)。(筆者は懐疑的です)

セレン(Se:selenium)

セレン(Se:selenium)は抗酸化作用や抗炎症作用により酸化ストレスを軽減させるため、軽症バセドウ病眼症(甲状腺眼症)患者に有用との報告があります[Hormones (Athens). 2020 Mar;19(1):31-39.][Ophthalmic Plast Reconstr Surg. 2018 Jul/Aug;34(4S Suppl 1):S105-S110.]。ただし、日本でのセレン欠乏症は稀なので、有効性は不明。

甲状腺関連の上記以外の検査・治療 長崎甲状腺クリニック(大阪)

長崎甲状腺クリニック(大阪)とは

長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査など]による甲状腺専門クリニック。大阪府大阪市東住吉区にあります。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,天王寺区,東大阪市,生野区も近く。

長崎甲状腺クリニック(大阪)


長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査等]施設で、大阪府大阪市東住吉区にある甲状腺専門クリニック。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,東大阪市近く

住所

〒546-0014
大阪府大阪市東住吉区鷹合2-1-16

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  • 大阪メトロ(地下鉄)谷町線「駒川中野駅」
    徒歩10分
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