甲状腺機能亢進症/バセドウ病と似ているセロトニン症候群,セント・ジョーンズ・ワート,セロトニン拮抗薬シプロヘプタジン(ペリアクチン)[長崎甲状腺クリニック]
内分泌代謝(副甲状腺・副腎・下垂体)専門の検査/治療/知見 長崎甲状腺クリニック(大阪)
甲状腺専門・内分泌代謝の長崎甲状腺クリニック(大阪府大阪市東住吉区)院長が海外・国内論文に眼を通して得た知見、院長自身が大阪市立大学 代謝内分泌病態内科学講座で得た知識・経験・行った研究、日本甲状腺学会で入手した知見です。
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長崎甲状腺クリニック(大阪)は甲状腺専門クリニックです。副甲状腺/副腎/下垂体の診療を行っておりません。
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(nt J Mol Sci. 2019 May 9;20(9):2288.より改変)
※長崎甲状腺クリニック(大阪)は、甲状腺専門クリニックです。セロトニン症候群、神経内分泌腫瘍(NET)、カルチノイド症候群の診療は行っておりません。
Summary
セロトニン症候群は①選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)②セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)③トリプタン系片頭痛治療薬にセント・ジョーンズ・ワート含有健康食品・ハーブティー併用による脳内セロトニン作用増強④カルチノイド症候群(甲状腺髄様癌も)⑤シビレタケ中毒。症状は精神不安定、発熱、発汗、高血圧、頻脈、振戦、下痢、意識障害で甲状腺機能亢進症/バセドウ病、甲状腺クリーゼ類似。治療はセロトニン作動薬中止、重症例はICU管理[体温冷却、高血圧・頻脈にニトロプルシド、エスモロール。セロトニン拮抗薬シプロヘプタジン(ペリアクチン®)。
Kwywords
セロトニン症候群,セロトニン,甲状腺髄様癌,甲状腺機能亢進症,バセドウ病,甲状腺,セント・ジョーンズ・ワート,症状,甲状腺クリーゼ,トリプタン
セイヨウオトギリソウ(弟切草,セント・ジョーンズ・ワート)含有食品でセロトニン症候群
セロトニン系の精神安定剤、抗うつ剤
- 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI);マレイン酸フルボキサミン(ルボックス®、デプロメール®)、塩酸パロキセチン(パキシル®)、塩酸セルトラリン(ジェイゾロフト®)
- セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI);デュロキセチン(商品名サインバルタ)、ミルナシプラン(トレドミン®)
- トリプタン系片頭痛治療薬;エレトリプタン(レルパックス®)、スマトリプタン(イミグラン®)、ゾルミトリプタン(ゾーミッグ®)、エレトリプタン(マクサルト®)、ナラトリプタン(アマージ®)
- トラマール®、ワントラム錠®(トラマドール塩酸塩)
に、
- セイヨウオトギリソウ(弟切草,セント・ジョーンズ・ワート)含有健康食品・ハーブティーを併用すると、脳内のセロトニン作用が増強され、服薬後24時間以内に
- 炭酸リチウム(リーマス®);を併用すると、脳内のセロトニン作用が増強され、
セロトニン症候群(serotonin syndrome)を起こします。
それ以外にも
- セロトニン等を産生する神経内分泌腫瘍 (NET)(カルチノイド症候群);甲状腺髄様癌でセロトニン症候群をおこした報告[Eur J Surg Oncol. 2001 Mar;27(2):219-22.]
- シビレタケ中毒
- 違法薬物の乱用
メチレンジオキシメタンフェタミン(MDMA)[BMJ Case Rep. 2019 Mar 7;12(3):e228404.]
やせ薬シブトラミン[Hum Exp Toxicol. 2012 Apr;31(4):414-7.]
などで起こります。
甲状腺機能亢進症/バセドウ病に、3,4-メチレンジオキシメタンフェタミンの薬物乱用によるセロトニン症候群を合併した報告があります。[BMJ Case Rep. 2019 Mar 7;12(3):e228404.]
セロトニン症候群の治療は、
- 全てのセロトニン作動薬を中止。軽症状ならベンゾジアゼピン系薬剤に変更
- 重症例ではICU管理;体温冷却、高血圧・頻脈にニトロプルシド、エスモロールなど。セロトニン拮抗薬のシプロヘプタジン(ペリアクチン®)投与。ミオクローヌスには抗てんかん薬クロナゼパム(リボトリール®・ランドセン®)
毒キノコのシビレタケを山菜採り(キノコ狩り)で持ち帰り食べると、シロシビンによるドーパミン分泌促進、セロトニン症候群(瞳孔散大、頻脈、高血圧、幻覚)が起こります。あたかも甲状腺中毒症、甲状腺クリーゼ のような紛らわしい症状です。
シビレタケ中毒の治療は活性炭投与
アマニタ属のキノコ中毒
アマニタ属のキノコは死の帽子(カサ)、破滅の天使と呼ばれ、その毒素であるアマトキシン中毒はアメリカで増加しています。アマニタ属のキノコ中毒で内分泌異常を生じ、糖代謝、カルシウム、甲状腺ホルモン系が障害されます。
- 中枢性甲状腺機能低下症
- インスリンとCペプチド濃度は上昇し低血糖
- 血清カルシトニン濃度上昇により低カルシウム血症と代償性の副甲状腺ホルモン濃度上昇
が起こります。(J Toxicol Clin Toxicol. 1987;25(1-2):21-37.)(J Toxicol Clin Toxicol. 1994;32(6):715-21.)
(写真 PLoS One. 2017 Aug 2;12(8):e0182131.)
甲状腺関連の上記以外の検査・治療 長崎甲状腺クリニック(大阪)
長崎甲状腺クリニック(大阪)とは
長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査など]による甲状腺専門クリニック。大阪府大阪市東住吉区にあります。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,天王寺区,東大阪市,生野区,浪速区も近く。