腎結石/腎臓結石(内分泌尿路結石)・水腎症・結石性急性腎盂腎炎[日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医 橋本病 バセドウ病 長崎甲状腺クリニック 大阪]
甲状腺:専門の検査/治療/知見① 橋本病 バセドウ病 甲状腺エコー 長崎甲状腺クリニック大阪
甲状腺専門・内分泌代謝の長崎甲状腺クリニック(大阪府大阪市東住吉区)院長が海外・国内論文に眼を通して得た知見、院長自身が大阪市立大学(現、大阪公立大学) 代謝内分泌内科(第二内科)で得た知識・経験・行った研究、日本甲状腺学会で入手した知見です。
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Summary
内分泌尿路結石(腎結石)は①ステロイド結石:クッシング症候群やステロイドホルモン(副腎皮質ホルモン)剤による骨破壊で溶け出したカルシウムとリンが尿中に過剰排泄されカルシウム結石に②原発性副甲状腺機能亢進症の高カルシウム血症。水腎症は①内分泌尿路結石による尿管閉塞②IgG4関連疾患の後腹膜線維症による尿管癒着。原発性高シュウ酸尿症I型は過剰なシュウ酸カルシウムが肝臓・腎臓・甲状腺・精巣などに沈着して多臓器障害。甲状腺機能低下症は甲状腺ホルモン剤(チラーヂンS)吸収障害のため大量投与を要す。
Keywords
尿路結石,腎結石,ステロイド,カルシウム結石,原発性高シュウ酸尿症,シュウ酸カルシウム,甲状腺,甲状腺機能低下症,クッシング症候群,水腎症
(下)腎結石: 内分泌尿路結石は
- ステロイド結石:ステロイドホルモン(副腎皮質ホルモン)は骨破壊を促進するため、血中にカルシウム(Ca)とリン(P)が溶け出して尿中に過剰排泄されます。その結果、カルシウム結石が生じます。副腎皮質ステロイドホルモンの1つコルチゾールが過剰に分泌されるクッシング症候群で(クッシング症候群の症状 )や甲状腺以外の病気(膠原病、ネフローゼ症候群など)で合成ステロイドホルモン剤を長期投与する場合などで。クッシング症候群の50%に腎結石症を認め、尿酸の尿中排泄(オッズ比=1.6、信頼区間=1.0-2.5)と全身動脈血圧(要するに収縮期血圧)(オッズ比=2.6、信頼区間=1.1-6.6)が独立した危険因子とされます。[J Clin Endocrinol Metab. 2003 May;88(5):2076-80.]
- 原発性副甲状腺機能亢進症による高カルシウム血症で(原発性副甲状腺機能亢進症の症状 )
腎結石で尿がうっ滞すると、甲状腺分化癌(乳頭癌・濾胞癌)全摘出後のI-131 放射線治療(放射性ヨウ素内用療法)で、うっ滞した尿にI-131が溜まり腎臓転移のように見えます(偽陽性)。[Clin Nucl Med. 2021 Apr 1;46(4):332-334.]
ほうれん草のアクの主成分はシュウ酸で、カルシウムと結合しやすく、体内でシュウ酸カルシウム結石を形成します。ほうれん草を茹でてアク抜きをすればシュウ酸含有量は減少します。
最近では品種改良が進み、シュウ酸含有量が少ないほうれん草もあるそうです。
ほうれん草は大した量ではありませんが、ヨウ素(ヨード)を含みます。甲状腺分化癌(乳頭癌・濾胞癌)全摘出後のI-131 放射線治療(放射性ヨウ素内用療法)を行う際の低ヨウ素食に、米、淡水魚、ほうれん草、大豆製品制限まで加えた超厳格低ヨウ素食は、治療効果を向上させません[Nucl Med Mol Imaging. 2012 Mar;46(1):34-40.]。
高尿酸血症
シスチン尿症は、遺伝的に尿細管でのシスチン(アミノ酸の1つ)再吸収が障害される病気です。
尿中シスチンの増加により尿路内シスチン結石が形成されます。
シスチン尿症の診断は
- 尿中シスチン測定;400 mg/日以上(正常は30 mg/日未満)
- 排石されれば、結石の成分分析
シスチン尿症の治療は
- 大量の水分負荷
- 尿のアルカリ化(クエン酸カリウム、重炭酸カリウム)
原発性高シュウ酸尿症I型
原発性高シュウ酸尿症I型(primary hyperoxaluria type 1:PH1)は、常染色体劣性遺伝性に肝臓ペルオキシソームのアラニン:グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼ(alanine:glyoxylate aminotransferase:AGT)が欠損し、グリオキシル酸が蓄積する病態。グリオキシル酸はシュウ酸の前駆物質のため、過剰なシュウ酸カルシウムが肝臓・腎臓・甲状腺・精巣・骨をはじめ全身臓器に沈着して多臓器障害をきたします(I型は重症型)。
具体的には、
- 多発性腎結石、両側性腎石灰化、腎不全
- 甲状腺機能低下症;おそらく甲状腺ホルモン剤(チラーヂンS)の吸収障害が生じるため、大量投与を要する。報告では300-400 μg/day(約4 μg/kg)(第66回 日本甲状腺学会 P12-7 原発性高シュウ酸尿症I型を併存症にもつバセドウ病に対する治療経験)
- 原発性性腺機能低下症
- 骨肉芽腫(シュウ酸カルシウム結晶による肉芽腫)→副甲状腺ホルモン関連蛋白(PTHrP)媒介性高カルシウム血症[腫瘍随伴体液性高カルシウム(Ca)血症(humoral hypercalcemia of malignancy: HHM)]
[Endocr Pract. 2017 Dec;23(12):1414-1424.][Hemodial Int. 2011 Oct;15(4):573-6.][J Pediatr. 2000 Feb;136(2):255-7.]
水腎症:写真は左腎の腎盂尿管が拡張していて、左尿管の狭窄・閉塞の可能性があります。
内分泌的には、
- 内分泌尿路結石がつまった可能性
- IgG4関連疾患の後腹膜線維症による尿管癒着
非内分泌的には、
- 尿管腫瘍
- 膀胱腫瘍による尿管開口部の閉塞
- 子宮・大腸癌などによる外部からの圧迫
が考えられます。
甲状腺機能亢進症/バセドウ病治療薬のプロピルチオウラシル(PTU、プロパジール・チウラジール)では胎児奇形がおこらないとされます。一方、妊娠初期の甲状腺機能亢進症妊婦で、プロピルチオウラシル(PTU)誘発性の
- 顔面および頸部の先天性欠損症[鰓裂洞、先天性耳瘻孔、耳介嚢胞(耳介のう胞)];調整ハザード比4.92(95%CI 2.04-11.86)
- 泌尿器系における先天性欠損症[単一の腎嚢胞(腎のう胞)、水腎症];調整ハザード比2.73(95%CI 1.22-6.07)、生殖器の先天性欠損症も合併
が生じるとの報告があります。ただし、メルカゾールによる胎児奇形に比べると遥かに軽症です[Thyroid. 2014 Oct;24(10):1533-40.]
自然治癒する無症候性先天性水腎症
超音波(エコー)所見以外に異常がない軽症の無症候性先天性水腎症は、尿路感染症をおこさない限り6 か月~3 年で9 割が自然改善します(自然治癒する無症候性先天性水腎症)。
無症候性先天性水腎症の原因は、
- 腎盂尿管移行部狭窄(最多)
- 膀胱尿管逆流(VUR);尿路感染症を合併しやすい
- 後部尿道弁;尿道内の弁状構造、主に男児
- 尿管膀胱移行部通過障害:尿管膀胱移行部
- 馬蹄腎
尿路結石がつまって生じる結石性急性腎盂腎炎、閉塞性腎盂腎炎、水腎症性腎盂腎炎は、高齢化に伴い急増しています。免疫の低下した高齢者では敗血症に至る危険性が高い。これらは、緊急に尿管ステントを留置する適応です(尿管ステント留置術)。ステント留置後は劇的に改善する場合が多い。結石が尿管に嵌頓(完全閉塞)しているとカテーテルが結石の横を通過しないので、緊急腎瘻造設術の適応。
結石性急性腎盂腎炎 水腎症 CT画像
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長崎甲状腺クリニック(大阪)とは
長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査など]による甲状腺専門クリニック。大阪府大阪市東住吉区にあります。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,東大阪市,生野区,天王寺区,浪速区も近く。