緊急承認されたゾコーバ錠®と甲状腺[日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医 橋本病 バセドウ病 甲状腺超音波エコー 長崎甲状腺クリニック 大阪]
甲状腺:専門の検査/治療/知見② 橋本病 バセドウ病 甲状腺エコー 長崎甲状腺クリニック大阪
甲状腺専門の長崎甲状腺クリニック(大阪府大阪市東住吉区)院長が海外・国内論文に眼を通して得た知見、院長自身が大阪市立大学附属病院 代謝内分泌内科で得た知識・経験・行った研究、日本甲状腺学会で入手した知見です。
長崎甲状腺クリニック(大阪)以外の写真・図表はPubMed等で学術目的にて使用可能なもの、public health目的で官公庁・非営利団体等が公表したものを一部改変しています。引用元に感謝いたします。
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新型コロナウイルス感染症(COVID-19) の治療薬として、医薬品医療機器等法第14条の2の2に基づく緊急承認(期限・条件付きの承認)されたゾコーバ錠(エンシトレルビル フマル酸)。
緊急承認された医薬品は、最長2年間に有効性を確認するための臨床試験等を行い
- 有効性が確認されたら、再度承認申請
- 有効性が確認出来なかったら、承認取り消し
になります。
緊急承認の是非について賛否両論がありますが、新型コロナウイルス感染症の診療を行っていない当院で議論することではありません。
ゾコーバ錠(エンシトレルビル フマル酸)は、発症から速やか(3日以内)に投与することで重症化を抑える効果が期待されるものの、非常に多くの薬剤が「併用禁忌」「併用注意」になっています。
甲状腺および 内分泌代謝関連の薬に限定して「併用禁忌」「併用注意」に該当するか解説しています。
当院ではゾコーバ®錠は取り扱っておりません。
併用禁忌薬について当院の患者さん以外の相談は一切お断りしています。当院で直接処方した薬以外の相談は一切お断りします。
心配なら処方している医療機関に確認しましょう。
長崎甲状腺クリニック(大阪)は、甲状腺専門クリニックです。新型コロナウイルス感染症の診療、抗原検査、PCR検査は一切行っておりません。
新型コロナワクチンは取り扱っておりません。
Summary
緊急承認されたゾコーバ錠(エンシトレルビル フマル酸)の併用禁忌薬はR4.11の時点で36種類。甲状腺ホルモン剤(甲状腺機能低下症の治療薬)チラーヂンS錠、チラーヂンS散、レボサイロキシン、抗甲状腺薬(バセドウ病/甲状腺機能亢進症の治療薬)メルカゾール、プロパジール、チウラジール、補助薬ヨウ化カリウム(KI)、β(ベータ)ブロッカー[ビソプロロール(メインテート)、メトプロロール(セロケン)]は含まれない。原発性アルドステロン症治療薬エプレレノン(セララ)も併用禁忌。併用注意薬はデキサメタゾン、甲状腺眼症治療のメチルプレドニゾロン(ソルメドロール)。
Keywords
緊急承認,ゾコーバ,エンシトレルビル,併用禁忌,甲状腺,チラーヂンS,メルカゾール,プロパジール,チウラジール,ヨウ化カリウム
内分泌代謝関係の代表的な併用禁忌薬
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬として緊急承認されたゾコーバ錠®(エンシトレルビル フマル酸)と同時に飲んではいけない薬(併用禁忌薬)はR4.11.27の時点で36種類あります。その中に、
- 甲状腺ホルモン剤(甲状腺機能低下症の治療薬)のチラーヂンS錠®、チラーヂンS散®、レボサイロキシン ナトリウム「サンド」®
- 抗甲状腺薬(バセドウ病/甲状腺機能亢進症の治療薬)のメルカゾール®、プロパジール®、チウラジール®
- 抗甲状腺薬以外の補助薬、ヨウ化カリウム(KI)、β(ベータ)ブロッカー[ビソプロロール(メインテート®)、メトプロロール(セロケン®)]、
は含まれていません(R4.11.27の時点)。ただし、ゾコーバ錠®(エンシトレルビル フマル酸)と他の薬剤との相互作用は、すべての薬剤について検討されていないため、今後変わる可能性があります。
しかしながら、
- 原発性アルドステロン症、高アルドステロン性高血圧症の治療薬、エプレレノン(セララ®);高カリウム血症を誘発する危険
-
2型糖尿病を合併する慢性腎臓病に対するアルドステロン拮抗薬のフィネレノン(ケレンディア®);副作用が発現しやすくなる
- 副腎皮質ホルモン合成阻害剤で副腎皮質癌、手術適応とならないクッシング症候群の治療薬、ミトタン®(オペプリム);ゾコーバの作用が減弱
は併用禁忌です。
その他、内分泌代謝絡みで併用禁忌になっている主な薬は、
- 降圧薬のアゼルニジピン・オルメサルタン メドキソミル合剤(レザルタス®、これはオルメサルタンの問題でなく、アゼルニジピンが禁忌)
- 甲状腺機能亢進症/バセドウ病の心房細動(Af)治療に用いる抗凝固剤のリバーロキサバン(イグザレルト®);作用が増強され、出血の危険性が高まる
- ホモ接合体家族性高コレステロール血症治療薬のロミタピドメシル(ジャクスタピッド®)
- 高コレステロール血症治療薬のシンバスタチン(リポバス®);横紋筋融解症の危険
- 睡眠障害(不眠症)治療薬のベルソムラ錠®(スボレキサント);効き過ぎる危険性
- 腎機能又は肝機能障害のある痛風患者で、コルヒチンを投与中;コルヒチンの作用が増強
- 前立腺癌治療薬のアパルタミド(アーリーダ®);副作用が発現しやすくなる
- 男性のED治療薬のバルデナフィル(レビトラ®)
などです。心配なら処方している医療機関に確認しましょう。
当然ながら、 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には禁忌です。
内分泌代謝関係の代表的な併用注意薬
併用禁忌ではないが、併用注意薬として、
- バセドウ病/甲状腺機能亢進症の甲状腺全摘手術前コントロールに使用するデキサメタゾン;副作用が発現しやすくなる
- バセドウ病眼症(甲状腺眼症)の治療で使用するメチルプレドニゾロン(ソルメドロール®);副作用が発現しやすくなる
内分泌代謝関係の代表的な併用注意薬は、
- 神経内分泌腫瘍の治療薬(mTOR阻害薬)エベロリムス(サーティカン®);副作用が発現しやすくなる
- 高コレステロール血症治療薬のアトルバスタチン(リピトール®)、ロスバスタチン(クレストール®);横紋筋融解症の危険
- 降圧薬のニフェジピン(アダラート®);ニフェジピン(アダラート®)の作用が増強される
- 抗不整脈薬のベラパミル(ワソラン®);ベラパミル(ワソラン®)の作用が増強される
- 甲状腺機能亢進症/バセドウ病の心房細動(Af)治療に用いる抗凝固剤のアピキサバン(エリキュース®)、ダビガトラン(プラザキサ®)、ワルファリン;作用が増強され、出血の危険性が増大
- 抗不安薬のアルプラゾラム(ソラナックス®、コンスタン®)副作用が発現しやすくなる
などです。36種類の内で内分泌代謝に関係するものだけをピックアップしました。全て知りたい方は、塩野義製薬のWEBを確認ください。
甲状腺に対する副作用
ゾコーバ錠®(エンシトレルビル フマル酸)の甲状腺に対する副作用は、R4.11.27の時点で報告されていません。
甲状腺関連の上記以外の検査・治療 長崎甲状腺クリニック(大阪)
最後までお付き合いいただき、誠にありがとうございました。
- 甲状腺編
- 甲状腺編 part2
- 内分泌代謝(副甲状腺/副腎/下垂体/妊娠・不妊等
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長崎甲状腺クリニック(大阪)とは
長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査など]による甲状腺専門クリニック。大阪府大阪市東住吉区にあります。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,浪速区,生野区,天王寺区,東大阪市も近く。