クッシング病(ACTH産生下垂体腺腫) [日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医 橋本病 バセドウ病 甲状腺超音波(エコー)検査 長崎甲状腺クリニック(大阪)]
内分泌代謝(副甲状腺・副腎・下垂体)専門の検査/治療/知見 長崎甲状腺クリニック(大阪)
甲状腺専門・内分泌代謝の長崎甲状腺クリニック(大阪府大阪市東住吉区)院長が海外(Pub Med)・国内論文に眼を通して得た知見、院長自身が大阪市立大学 代謝内分泌内科で得た知識・経験・行った研究、日本甲状腺学会で入手した知見です。
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Summary
クッシング病はACTH(副腎皮質刺激ホルモン)産生する下垂体腺腫が原因。クッシング症候群とほぼ同じ症状だが、ACTH過剰による皮膚の色素沈着、下垂体腺腫による頭痛、視力障害が異なる。ACTHは正常~高値、DDAVP試験でACTH分泌促進、8mgデキサメサゾン試験で抑制、CRH試験でACTH増加、ダイナミックMRIの検出率60-80%、CRH負荷後選択的静脈洞血サンプリングで最終診断。精神病、アルコール多飲でも高ACTH高コルチゾール血症だが1mgデキサメサゾンで抑制され鑑別可。異所性ACTH産生腫瘍は小細胞肺がん、甲状腺髄様癌、褐色細胞腫などでbig ACTHが特徴。
Keywords
クッシング病,ACTH,副腎皮質刺激ホルモン,下垂体腺腫,デキサメサゾン試験,CRH試験,DDAVP試験,ダイナミックMRI,異所性ACTH産生腫瘍,big ACTH
クッシング病(ACTH産生下垂体腺腫)は、ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)産生する下垂体腺腫が原因です。過剰なACTH(副腎皮質刺激ホルモン)が副腎皮質を刺激し、副腎皮質ホルモン(コルチゾール)が無制御に産生されます。
副腎皮質ホルモン剤(ステロイド剤)による外因性クッシング症候群を除く内因性クッシング症候群の約70%がクッシング病(ACTH産生下垂体腺腫)です[Endocrinol Metab Clin North Am. 2008 Mar;37(1):135-49, ix.]。
ACTH産生下垂体微小腺腫における中枢性甲状腺機能低下症の罹患率は、微小プロラクチノーマや非機能性下垂体微小腺腫と比較して高いです。高コルチゾール血症により、視床下部-下垂体-甲状腺軸の調節が抑制されTSH分泌が低下するためです。[Clin Endocrinol (Oxf). 2012 Dec;77(6):871-6.]
クッシング病(ACTH産生下垂体腺腫)のACTHは正常~高値で抑制されないことが重要
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DHEA-S(デヒドロエピアンドロステロンサルフェート)はACTHに敏感に反応するので、(ACTH高値の)下垂体性クッシング病では高値、(ACTH低値の)副腎性クッシング症候群・サブクリニカル クッシング症候群(preclinical Cushing症候群)では低値
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DDAVP試験(デスモプレシン注4mg静注)デスモプレシンは、合成の抗利尿ホルモン剤で、正常人のACTH・コルチゾールは無反応です。下垂体ACTH産生腫瘍ではバゾプレシンV2受容体を介してACTH分泌が促進されます。30分毎に90分まで3回測定、ACTH値が前値の1.5倍以上
- 大量8mgデキサメサゾン試験で抑制される
- CRH(副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン)に反応してACTHが増加する(CRH試験:ACTH頂値が前値の1.5倍以上)
- 頭部造影MRI:1.5テスラのダイナミックMRIの検出率60-80%
- CRH負荷後選択的静脈洞血サンプリング:下垂体腺腫がみつからない時の最終手段
などの点で副腎性クッシング症候群と異なります。
うつなどの精神疾患、アルコール多飲などで視床下部~下垂体~副腎皮質が活性化され、高ACTH高コルチゾール(cortisol)血症となりますが、1mgデキサメサゾンで抑制され、クッシング病(ACTH産生下垂体腺腫)と鑑別できます。
異所性ACTH産生腫瘍とは
下垂体腺腫以外の腫瘍が副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)を産生する場合、異所性ACTH産生腫瘍と呼ばれます。異所性ACTH産生腫瘍もクッシング症候群を起こし、全クッシング症候群の3.6%とされます(厚生省特定疾患内分泌系疾患調査研究班「副腎ホルモン産生異常症」調査分科会, 平成10年度研究報告書. 1999: 11-55.)。
- 小細胞肺がん、気管支カルチノイドが過半数
- 胸腺腫
- 膵・消化管神経内分泌腫瘍
- 甲状腺髄様がん
- 褐色細胞腫
などです。
血中のbig ACTHの測定はクッシング病(ACTH産生下垂体腺腫)と異所性ACTH産生腫瘍の鑑別に有用です。big ACTHはACTHの前駆体で、下垂体ACTH産生細胞内ではプロセッシング酵素(prohormone convertase, PC1/3)によりACTHに変わります。前駆体なので生物学的活性が低い(ACTHとしての作用は弱い) のが特徴です。
異所性ACTH産生腫瘍では、プロセッシング酵素が無いため、big ACTHのまま分泌されます。血漿ACTH分画解析行い(実際、ほとんどの施設ではできませんが)big ACTHを測定すれば、クッシング病(ACTH産生下垂体腺腫)と鑑別できる事があります。たたし、1cm以上のACTH産生下垂体腺腫(macroadenoma)でもbig-ACTHが産生されます。(ACTH RELATED PEPTIDES (1340–4512)18巻Page 13–14(2007. 03) )
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- 甲状腺編
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長崎甲状腺クリニック(大阪)とは
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