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先天性心疾患[心房中隔欠損症(ASD)・動脈管開存症(PD)]と甲状腺   [甲状腺 専門医 橋本病 バセドウ病 長崎甲状腺クリニック(大阪)]

長崎甲状腺クリニック(大阪)は、甲状腺専門クリニックです。心臓疾患の診療は行っておりません。

甲状腺:専門の検査/治療/知見① 橋本病 バセドウ病 専門医 長崎甲状腺クリニック(大阪)

甲状腺の、長崎甲状腺クリニック(大阪市東住吉区)院長が海外論文に眼を通して得たもの、院長自身が大阪市立大学 代謝内分泌内科で行った研究、甲状腺学会で入手した知見です。

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Summary

40歳以降の先天性心疾患では心房中隔欠損症(ASD)が最多。甲状腺機能亢進症/バセドウ病、甲状腺機能低下症/橋本病でも一定の率で合併。甲状腺機能亢進症/バセドウ病に心房中隔欠損症(ASD)合併すると左心房→右心房短絡路(シャント)により心臓-肺を行き来する無効な循環血液が生じ心臓に負荷を掛け心不全・不整脈。肺高血圧悪化、肺炎に。先天性心疾患の中で最も、感染性心内膜炎おこし難い。動脈管開存症の予防投与を含めた新生児一過性甲状腺機能低下症に甲状腺ホルモン剤投与しても未熟児動脈管開存症の発症率に無関係。

Keywords

先天性心疾患,心房中隔欠損症,ASD,甲状腺機能亢進症,バセドウ病,甲状腺機能低下症,橋本病,動脈管開存症,予防投与,甲状腺ホルモン

心房中隔欠損症(ASD)

心房中隔欠損症(ASD)

全年齢で最多の心室中隔欠損症(VSD)は自然閉鎖するので、40歳以降の先天性心疾患では心房中隔欠損症(ASD)が最多。甲状腺機能亢進症/バセドウ病甲状腺機能低下症/橋本病でも一定の率で合併します。

甲状腺機能亢進症/バセドウ病に心房中隔欠損症(ASD)を合併すると、左心房→右心房への短絡路(シャント)により心臓-肺を行き来する無効な循環血液が生じ、心臓に余分な負荷を掛け、右心不全・不整脈・肺高血圧を悪化させ、肺炎を起こし易くします(第57回 日本甲状腺学会P2-038 心房中隔欠損症を合併し全身浮腫が診断の契機となったバセドウ病の1 例)。

さらに、妊娠により循環血液量が増えると更に心臓に負荷が掛かります。

先天性心疾患の中で最も、感染性心内膜炎 おこし難いです。

1990年代まで心房中隔欠損症(ASD)の治療は、人工心肺で心臓を停止させ開胸して直接欠損穴を塞ぐ侵襲の大きい外科手術が主体でした。2000年代になるとアンプラッシャー閉塞栓を使った低侵襲のカテーテル手術が主流になります。

アイゼンメンジャー症候群(肺動脈の不可逆的閉塞, 逆の右左シャント)になると心房中隔欠損閉鎖手術は禁忌です。心肺同時移植が必要となります。

動脈管開存症(PD)と甲状腺

動脈管開存症 Webloo辞書

動脈管開存症(PD)は、右心室→肺へ血液を送る肺動脈と、左心室→全身へ血液を送る大動脈が、動脈管という血管でつながったままの状態です。

胎内では動脈管が胎児の血液循環に必要ですが、出生後肺呼吸に切り替わると自然閉鎖しなければなりません。自然閉鎖しないのが動脈管開存症(PD)で、肺を介さず酸素を取り込めない肺動脈→大動脈直接シャントにより全身酸欠になります。十分な、循環血液量増加により心臓に負荷が掛かります。

また、菌に汚染された静脈血が肺というフィルターを通さず直接動脈血に混ざるので、感染性心内膜炎 おこす危険性があります。

(図 Webloo辞書より)

妊娠末期のロキソプロフェン(ロキソニン®)等の非ステロイド系抗炎症剤(NSAIDs)投与は、プロスタグラン(PG)産生を抑え、胎児の動脈管を収縮させるため禁忌です。一方、アセトアミノフェンの鎮痛作用は未だよく分かっておらず、中枢性の作用機序などが考えられており、末梢作用は弱く、動脈管への影響少ないため、禁忌ではありません。

動脈管への甲状腺ホルモン作用は明らかではありません(はっきり言って関係ないと思います)。甲状腺ホルモン製剤が未熟児動脈管開存症の発症に予防すると言う説がありますが、実際どうなのでしょうか。

  1. 動脈管開存症の予防投与を含めた新生児一過性甲状腺機能低下症に対する甲状腺ホルモン製剤投与;一過性甲状腺機能低下症の低出生体重児(1,250g以下で在胎25-28週の早産児)で、甲状腺ホルモン製剤を投与しても未熟児動脈管開存症の発症率は変化しない。(Cochrane Database Syst Rev. 2007;(1):CD005945.)
     
  2. 動脈管開存症に対する甲状腺ホルモン製剤の予防投与;在胎32週未満の早産児に甲状腺ホルモン製剤の予防的投与しても効果なかった。(Cochrane Database Syst Rev. 2007;(1):CD005948.)

単心室症

単心室症

単心室症は左右心室の片方ないか、非常に小さく、動脈血と静脈血が常に混ざり合うため、酸素欠乏状態・チアノーゼが持続する稀な先天性心疾患です。

成人の先天性心疾患に、内分泌疾患の合併は多くありません。単心室症に原発性副甲状腺機能亢進症と無脾症を合併した29歳男性の報告があります。若年発症なので多発性内分泌腺腫症1型(MEN1)、2型(MEN2) を疑いますが、発見時の年齢で甲状腺腫瘍下垂体腫瘍・膵臓内分泌腫瘍は無かったとの事です。(第44回 日本小児循環器病学会P-150 成人期に原発性副甲状腺機能亢進症を発症した無脾症の1例)

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