脳梗塞・カテーテル関連脳梗塞・起立性高血圧症[日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医 橋本病 バセドウ病 甲状腺エコー検査 長崎甲状腺クリニック(大阪)]
動脈硬化:専門の検査/治療/知見[橋本病 バセドウ病 エコー 長崎甲状腺クリニック大阪]
甲状腺専門・動脈硬化の長崎甲状腺クリニック(大阪府大阪市東住吉区)院長が海外・国内論文に眼を通して得た知見、院長自身が大阪市立大学附属病院 代謝内分泌内科(内骨リ科)で得た知識・経験・行った研究、日本甲状腺学会で入手した知見です。
長崎甲状腺クリニック(大阪)以外の写真・図表はPubMed等で学術目的にて使用可能なもの、public health目的で官公庁・非営利団体等が公表したものを一部改変しています。引用元に感謝いたします。
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脳は一千億個の細胞から成る最も複雑で、かつ脆い臓器です。
長崎甲状腺クリニック(大阪)は甲状腺専門クリニックです。脳梗塞の診療を行っておりません。
Summary
一過性脳虚血発作(TIA)は脳梗塞の前兆。ラクナ梗塞(穿通枝梗塞)は脳梗塞の約50%、日本人で最も多い。脳卒中の予防は血圧のコントロール。脳血管障害が疑われる場合はFASTを確認。脳動脈硬化による血栓、脳外からの塞栓は閉塞部位により多種の症状。視床前核梗塞は記憶障害、無気力など甲状腺機能低下症様症状。視床梗塞は手口・手足・手口足感覚症候群。カテーテル関連脳梗塞は心臓カテーテルの1.6%(症候性)、30%(無症候性)におこる。起立性高血圧症は高齢者の自律神経障害・無症候性脳梗塞でおこり、脳出血・脳梗塞・心筋梗塞リスク増大。
Keywords
甲状腺機能低下症,甲状腺,視床梗塞,動脈硬化,脳梗塞,一過性脳虚血発作,ラクナ梗塞,起立性高血圧症,カテーテル関連脳梗塞,FAST
一過性脳虚血発作(TIA)は脳梗塞の前兆で急性脳血管症候群(acute cerebrovascular syndrome;ACVS)に含まれる。一過性脳虚血発作(TIA)発症後の脳梗塞の約半数が48時間以内に生じています。
脳深部を灌流する細動脈(穿通枝)の小梗塞はラクナ梗塞と呼ばれます。ラクナ梗塞は、
- 脳梗塞の約50%、日本人で最も多い
- レンズ核(被殻・淡蒼球)に最も多く、橋、視床、尾状核、内包に起こり易い
- 高血圧による脂肪硝子変性や血管壊死がほとんど
- 夜間・早朝・安静時に発症し、数時間-数日かけて徐々に進行
- 診断には頭部MRI、拡散強調像で急性期には明瞭な高信号
視床前核梗塞は、海馬、乳頭体、視床前核から構成されるPapez回路の障害で記憶障害、無気力など甲状腺機能低下症様の症状、ホルネル症候群(同側)、対側片麻痺をおこします。
視床梗塞は、高齢者や高血圧患者に多い穿通枝領域の小梗塞(ラクナ梗塞)です。顔・手の感覚神経繊維は脊髄を上行し、視床を経由して大脳皮質感覚野に至ります。
視床梗塞の症状は、感覚障害が主で、病巣と反対側の顔面・半身の表在感覚・深部感覚が低下します。手口・手足・手口足感覚症候群と言われ、口のシビレと上肢、下肢のシビレが2つ以上、同時に起きます。例えば、突然、左上下肢のしびれのみがおきたのであれば、右視床の脳梗塞(あるいは脳出血)[pure sensory disturbance]。視床は感覚神経が密接しているため手・口・足の単独感覚障害は稀です。
手口・手足・手口足感覚症候群は軽微な場合、見逃されたり、頸椎症・手根幹症候群・末梢血行不全と間違えられる事も多い。
梗塞巣が内包に及べと運動麻痺を伴います。
視床梗塞の治療は内科的治療のみ。後遺症として、シビレなどの異常知覚、感覚鈍麻、強い痛み(視床痛)が残存する場合があります。
外国語様アクセント症候群(foreign accent syndrome:FAS)は、主に左中心前回の言語中枢の障害で、言葉のイントネーションが変化して外国語のような話し方になる病態です。
甲状腺機能亢進症/バセドウ病の放射線(アイソトープ)治療後に発症した自己免疫性脳炎で、外国語様アクセント症候群を認めた報告があります[Case Rep Neurol Med. 2019 Jun 18;2019:2961874.]。
半側空間無視は、左右いずれかの空間を認識できない状態です。脳梗塞部位の反対側、左半分か右半分が見えないため、障害物にぶつかったり、柵が無い所から落下したりします。 半側空間無視は右大脳半球損傷による場合が多く、腹側後頭葉と前頭葉を連絡する回路の障害が原因。
眼球運動は正常で、見えていないと言う自覚が無いため、生活上の危険は大きい。
症状の改善がなければ、常に首を見えていない側に振るなどの工夫が必要。
癌性髄膜脳炎で半側空間無視をおこした報告があります。肺癌が原発巣だったため、髄液の染色でTTF-1(甲状腺転写因子-1)が陽性。[J Clin Neurosci. 2013 Feb;20(2):299, 333.]
後頭葉障害は、病側と反対側の視野が両眼性に障害される同名半盲をおこします。
一方、下垂体腫瘍による視交叉下方からの圧迫では、視交叉の中央部にある鼻側由来の視神経が障害され、両眼の耳側視野が欠損(両耳側半盲)します。
他人の手徴候(エイリアンハンド症候群)は、片方の手が自分の意思に反して勝手に行動(物を投げる、つかみ掛かる、殴る、首を絞めるなど)する病態です。脳梁膝部・脳梁体部前半・右前頭葉内側面が責任病巣です。
[下記;他人の手徴候(エイリアンハンド症候群)MRI拡散強調画像 Exp Ther Med. 2016 Oct;12(4):2129-2135.]
閉じ込め症候群は、脳底動脈血栓症などによる橋底部の両側障害で、意識清明なのに、四肢麻痺、仮性球麻痺(しゃべれない)、両側顔面神経麻痺、外転神経麻痺(眼が外に向かない)になり、意志伝達が不可能な状態です。動眼神経のみ正常で眼球の上下運動と眼瞼挙上でコミュニケーションが可能です。
甲状腺機能亢進症/バセドウ病に間違えられる筋萎縮性側索硬化症(ALS)でも同じ様になります。
幻覚・幻視をおこし、鑑別を要するものは、
- 橋本脳症 (Acta Neurol Scand. 2017 Mar;135(3):285-290.)
- 自己免疫性脳炎 (Neurologist. 2007 May;13(3):140-7.)
- クロイツフェルト・ヤコブ病
- 重度の甲状腺機能低下症/橋本病(甲状腺ホルモン剤投与で幻視・幻聴が消失)(Cureus. 2020 Aug 28;12(8):e10100.)
- 粘液水腫性昏睡(J Psychiatr Pract. 2020 Sep;26(5):417-422.)
- 甲状腺機能亢進症/バセドウ病の精神異常(バセドウ精神病)(Neuro Endocrinol Lett. 2018 Mar;39(1):65-74.)
- 甲状腺クリーゼ (Case Rep Psychiatry. 2017;2017:7402923.)
小脳梗塞・椎骨脳底動脈系梗塞、Wallenberg症候群(ワレンベルグ症候群;延髄外側症候群)
回転性めまい:メニエールでなく動脈硬化が原因 を御覧ください。
チェーン・ストークス(Cheyne-Stokes)呼吸は、
「小さい呼吸から次第に大きな呼吸になり、今度は逆に小さくなっていき、最後は呼吸停止」
を繰り返す周期性呼吸です。脳血管障害以外に、髄膜炎、重症心不全でも起こります。意識障害下で、延髄の呼吸中枢が動脈血二酸化炭素分圧を感知し、呼吸量を調節するのが原因です。。
カテーテル関連脳梗塞は、心臓カテーテルの
- 1.6%:症候性脳梗塞
- 30%:無症候性脳梗塞
がおこります。そりゃ動脈硬化の強いガチガチの血管に針刺してカテーテル入れるのだから・・
脳卒中ガイドライン2009では非心原性脳梗塞の再発予防に抗血小板薬が推奨されています。
複数の抗血小板薬の併用は、急性期脳梗塞では効果ありますが、1年以上の慢性期では再発は大きく減少せず、逆に脳出血のリスクが高まります。
高齢の高血圧症で、
- 自律神経障害
- 無症候性の脳梗塞
があると起立性高血圧の頻度が高くなります。起立時、脳血流を保つ自律神経が過剰に反応し血管が収縮、血圧が上昇しすぎます。急激な血圧上昇は、脳出血・脳梗塞・心筋梗塞のリスクを増大させます。
甲状腺関連の上記以外の検査・治療 長崎甲状腺クリニック(大阪)
- 甲状腺編
- 甲状腺編 part2
- 内分泌代謝(副甲状腺/副腎/下垂体/妊娠・不妊等
も御覧ください
長崎甲状腺クリニック(大阪)
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