献血と甲状腺 [日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医 橋本病 バセドウ病 甲状腺機能低下症 甲状腺超音波(エコー)検査 長崎甲状腺クリニック 大阪]
甲状腺:専門の検査/治療/知見② 橋本病 バセドウ病 エコー検査 長崎甲状腺クリニック(大阪)
甲状腺専門の長崎甲状腺クリニック(大阪府大阪市東住吉区)院長が海外(Pub Med)・国内論文に眼を通して得た知見、院長自身が大阪市立大学 代謝内分泌内科で得た知識・経験・行った研究、日本甲状腺学会で入手した知見です。
長崎甲状腺クリニック(大阪)以外の写真・図表はPubMed等で学術目的にて使用可能なもの、public health目的で官公庁・非営利団体等が公表したものを一部改変しています。引用元に感謝いたします。
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Summary
甲状腺の病気で献血できない場合①甲状腺機能亢進症/バセドウ病で抗甲状腺薬(メルカゾール、プロパジール、チウラジール)服薬中(薬入りの血液になる)②甲状腺癌の経過観察中・治療中(癌細胞とサイトカイン入りの血液になる)③甲状腺癌治癒後5年未満(再発期間は最長43年)④甲状腺悪性リンパ腫の既往。献血可能な場合①甲状腺機能低下症/橋本病の治療薬チラーヂンS服薬中(チラーヂンSは不足分の甲状腺ホルモンを補っているだけなので)②甲状腺良性腫瘍(良悪性が確定しない濾胞性腫瘍は止めた方が良い)③亜急性甲状腺炎の既往(完全に治っている場合)。
Keywords
甲状腺,献血,バセドウ病,メルカゾール,プロパジール,チウラジール,甲状腺癌,甲状腺機能低下症,橋本病,チラーヂン
甲状腺の病気を持っていて、献血ができない場合があります。日本赤十字社のマニュアルに照らし合わせると、献血が不可能なのは、
- 甲状腺機能亢進症/バセドウ病の治療薬である抗甲状腺薬(メルカゾール、プロパジール、チウラジール)を飲んでいる人
- 甲状腺癌の診断を受けて経過観察中・治療中の方
- 甲状腺癌治癒後5年未満の方
- 造血器腫瘍の既往がある方、甲状腺悪性リンパ腫 が該当します
になります。
1.については、抗甲状腺薬(メルカゾール、プロパジール、チウラジール)入りの血液を輸血すれば、輸血された人の甲状腺ホルモン合成が抑えられるかもしれません。
2.4.については、癌細胞や癌細胞が産生するサイトカイン入りの血液を輸血すれば、輸血された人に大変な事が起こるかもしれません。
3.の「5年未満」については、甲状腺癌の再発期間は最長42年で、他の癌に比べるとかなり長いため、5年以上経っても治っているか不明です。「43年未満」と考えた方が良いでしょう(甲状腺乳頭癌再発)。
甲状腺の病気を持っていても献血可能な場合として、
- 甲状腺機能低下症/橋本病の治療薬チラーヂンSを飲んでいる人。甲状腺ホルモン剤のチラーヂンSは、献血者の不足分の甲状腺ホルモンを補っているだけなので、献血に際し、全く問題ありません。当然、献血当日に服用していてもかまいません。
- 甲状腺良性腫瘍;ただし、良悪性が確定していないグレーゾーンについては、明確な規定はありませんが、筆者は献血しない方が良いと思います。特に、手術しなければ良悪性が確定しない 濾胞性腫瘍は止めた方が良いと思います(あくまで、筆者の個人的な意見です)
- 亜急性甲状腺炎の既往(完全に治っている場合)
甲状腺以外の原因で献血ができない条件は、
- イギリスに①1996年まで通算1か月以上滞在した②1997年以降、通算6カ月以上滞在した場合;変異型クロイツフェルト・ヤコブ病に感染している可能性が否定できないため
-
医療機関等で、あるいは使い捨ての器具でピアスを開けて1カ月以内;細菌感染し菌血症をおこしている可能性のため安全ピンや針を共用して穴を開けて6カ月以内;エイズ、B型肝炎およびC型肝炎などのウイルスが感染している可能性のため口唇、口腔、鼻腔など粘膜を貫通したピアスをしている場合は献血不可;雑菌が血液中に入るため
- 動物に咬まれた傷が治癒してから3カ月間以内、人に咬まれた傷が治癒してから6カ月間以内;哺乳類の口腔内は雑菌でいっぱいです。中でも人に咬まれるのが、実は一番汚い。感染性心内膜炎など菌血症をおこしている可能性のため
- 動物に咬まれた後に狂犬病ワクチンを接種して1年以内
- 心臓病;脱血による循環動態の変化が心血管系に負荷を掛けるため
狭心症・心筋梗塞 急性大動脈解離・大動脈瘤
心のう液貯留,心臓弁膜症,心筋症,心筋炎,先天性心疾患,心膜炎,心臓腫瘍,感染性心内膜炎
治療を必要とする不整脈;心房細動(Af) 頻脈性不整脈 徐脈性不整脈
- 悪性腫瘍・癌(治療中、治癒後5年以内);甲状腺癌に関しては前述の通り
- けいれん;献血中にけいれん発作がおきると危険
- 血液疾患
甲状腺と再生不良性貧血 後天性血友病A/ 後天性von willebrand症候群 免疫性血小板減少性紫斑症(ITP) 血球貪食症候群 赤血球増加症 ・血小板増加症
悪性リンパ腫 成人T細胞白血病 慢性骨髄性白血病(CML)・骨髄異形成症候群(MDS) 骨髄癌腫症 ・骨髄線維症 多発性骨髄腫
- 気管支喘息 ;献血中に発作がおきると危険
- 脳卒中; 脳梗塞 など、脱血による循環動態の変化で脳血流が影響を受けるため
- 梅毒の既往;完治する病気ですが、完治しているかどうか医師の意見が分かれるため
- ネフローゼ症候群;脱血による腎血流の変化が悪影響を及ぼす
- アレルギー性疾患;飲んでいる薬の影響があるからでしょうか?
輸血後GVHD(Post-transfusion graft-versus-host disease、またはTransfusion associated graft versus host disease) は、血液製剤中の供血者(血をくれた人)リンパ球が、受血者(血をもらった人)の体を攻撃する病態です。供血者(血をくれた人)リンパ球は、受血者(血をもらった人)のHLAを異物と認識して増殖し、輸血後GVHDがおこります。日本人の非血縁者間における輸血後GVHDの確率は1%未満ですが、血縁者間では2%と高くなります。当然、新鮮血で起こりやすいく、輸血製剤の放射線照射が予防に有効です。供血者(血をくれた人)リンパ球の問題なので、輸血の回数とはあまり関係ありません。
輸血後GVHDは、輸血後1~2 週間後に発熱や紅斑で発症。
筆者が調べた限り、甲状腺との関連は無いようです。
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長崎甲状腺クリニック(大阪)とは
長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査など]による甲状腺専門クリニック。大阪府大阪市東住吉区にあります。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,天王寺区,東大阪市,生野区,浪速区にも近い。