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甲状腺と膀胱①(過活動性膀胱、尿閉、尿もれ/尿失禁)[橋本病 バセドウ病 甲状腺超音波エコー検査 甲状腺機能低下症 長崎甲状腺クリニック 大阪]

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甲状腺:専門の検査/治療/知見① 橋本病 バセドウ病 甲状腺エコー 長崎甲状腺クリニック大阪

甲状腺専門内分泌代謝長崎甲状腺クリニック(大阪府大阪市東住吉区)院長が海外・国内論文に眼を通して得た知見、院長自身が大阪市立大学 代謝内分泌内科(第二内科)で得た知識・経験・行った研究、日本甲状腺学会で入手した知見です。

長崎甲状腺クリニック(大阪)以外の写真・図表はPubMed等で学術目的にて使用可能なもの、public health目的で官公庁・非営利団体等が公表したものを一部改変しています。引用元に感謝いたします。

子宮筋腫による圧迫で過活動性膀胱 超音波(エコー)画像

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長崎甲状腺クリニック(大阪)は甲状腺専門クリニックです。膀胱の診療を行っておりません。

Summary

過活動膀胱治療薬、ミラベグロン(ベタニス®)はβ3以外のβ1,2アドレナリン受容体へも作用するため①動脈硬化を促進し狭心症/心筋梗塞の危険があるため甲状腺機能低下症甲状腺機能亢進症/バセドウ病に難②低カリウム性QT延長症、頻脈、血圧上昇をおこし甲状腺機能亢進症/バセドウ病が悪化。甲状腺機能低下症で尿閉。TSH値が高い程、残尿が多くなる。膀胱結石は①甲状腺機能亢進症/バセドウ病甲状腺機能低下症/橋本病で高尿酸血症による尿酸結石②ステロイド結石(クッシング症候群)③原発性副甲状腺機能亢進症による高カルシウム血症が原因。

Keywords

甲状腺,過活動膀胱,膀胱,甲状腺機能低下症,甲状腺機能亢進症,バセドウ病,ミラベグロン,膀胱結石,尿失禁,尿閉

尿もれ(尿失禁)

尿もれ(尿失禁)は、中高年の女性だけでなく20-30 代の女性にもみられ、甲状腺の病気と年齢層が重なります。男性の尿もれも珍しくありません。尿もれは、

  1. 腹圧性尿失禁(下記)
     
  2. 切迫性尿失禁;男女共通で、年齢とともに多くなります。尿がたまると膀胱が勝手に動き出してしまうため、急にトイレに行きたくなり、もれてしまう(過活動性膀胱など)
     
  3. 混合型

があります。

尿漏れ(尿失禁)

腹圧性尿失禁

腹圧性尿失禁は、女性に多く、骨盤の構造的な弱さや、加齢・出産・肥満により骨盤底筋群という外尿道括約筋を含んだ筋肉が緩むのが原因。男性では前立腺手術が原因のこともあります。

咳やくしゃみ、重い物を持ち腹に力を入れるなどの日常動作で腹圧が掛かると、尿道・膀胱が下がり失禁します。膀胱が充満すると、腹圧がかかりやすくなり、トイレへの移動・更衣の際にも尿失禁する可能性がある。

膀胱や尿道を支える筋肉を鍛える体操(骨盤底筋体操、骨盤底筋群トレーニング)が効果的。収縮、弛緩を繰り返す運動で筋力を強化する。膀胱が充満すると、腹圧がかかりやすくなるため、尿意を感じたら早めにトイレへ行く。重症なら尿道を支える手術。

過活動性膀胱

過活動性膀胱

過活動膀胱では膀胱が正常なコントロールを失い、尿が少ししか溜まっていない状態で、膀胱の筋肉が急に収縮し急な尿意を感じます。

過活動膀胱はトイレが近い状態になり、頻繁に尿意切迫(おしっこ漏れそう)・切迫性尿失禁(トイレが間に合わず漏れちゃった)が起こり、日常生活に多大な支障が出ます。

過活動性膀胱

過活動膀胱の原因として、加齢・精神的ストレス・膀胱内の尿量センサーの過敏・脳の排尿中枢の異常・排尿に関与する自律神経障害などがあります。

脳が関与しているためか、トイレのことを考えただけで尿意出現。トイレに向かう間に尿意は猛烈に強くなります。

(図;Urology Care Foundationより改変)

子宮筋腫による圧迫で過活動性膀胱 超音波(エコー)画像

子宮筋腫の圧迫による過活動性膀胱。膀胱が十分膨らまず、頻尿や切迫性尿失禁に至ります。子宮筋腫摘出手術で改善。[J Gynecol Obstet Hum Reprod. 2022 May;51(5):102355.]

過活動性膀胱と鑑別を要する疾患は

  1. 尿崩症
  2. 糖尿病
  3. 神経因性膀胱
  4. 二分脊椎、外性器や尿道の異常

過活動膀胱治療薬、ミラベグロン(ベタニス®)

過活動膀胱治療薬、ミラベグロン(ベタニス®)は選択的に膀胱のβ3アドレナリン受容体を刺激し、膀胱の平滑筋を弛緩させ、頻繁に膀胱が収縮(排尿)するのを防ぎます。

甲状腺機能低下症/潜在性甲状腺機能低下症/橋本病での投与

甲状腺機能低下症の過活動膀胱には短期的に有効です。問題はミラベグロン誘発性アテローム硬化症の可能性が報告されている事です。β3以外のβ1,2アドレナリン受容体へも作用し、褐色脂肪組織が活性化されると動脈硬化巣、プラークの発育が促進されます。(Proc Natl Acad Sci U S A. 2019 May 28;116(22):10937-10942.)

同時に、甲状腺機能低下症/潜在性甲状腺機能低下症/橋本病では動脈硬化が進行し、狭心症/心筋梗塞の発症率が上がります甲状腺と動脈硬化 )。これを考えると、これらの状態でもミラベグロン(ベタニス®)の投与はためらわれます。

甲状腺機能亢進症/バセドウ病での投与

甲状腺機能が正常化していない甲状腺機能亢進症/バセドウ病で使用するのは控えた方が良い。甲状腺機能が正常化した後のバセドウ病なら、甲状腺に関しては問題ない。

  1. ベタニスはQT延長症→心室性不整脈をおこす可能性があるので、甲状腺機能亢進症/バセドウ病低カリウム血症がある時は要注意(二次性QT延長症候群
  2. ベタニスはβ3以外のβ1,2アドレナリン受容体へも作用し
    ①血圧を上昇させるので、甲状腺機能亢進症/バセドウ病が原因の高血圧、頻脈を悪化させる危険
    ミラベグロン誘発性アテローム硬化症で狭心症/心筋梗塞の発症率が上がる。甲状腺機能亢進症/バセドウ病では心筋酸素需要が高まり、心筋虚血が増悪

甲状腺機能低下症で尿閉

甲状腺機能低下症で尿閉をおこす事があります。

  1. 膀胱内尿道口を中心に著明な粘膜浮腫で尿道口が狭窄
  2. 膀胱平滑筋の収縮障害
  3. 糖尿病などで神経因性膀胱を合併していると起こり易い(糖尿病性自律神経障害 )

内科へ入院した高齢女性の無症候性尿閉の発生率は14.4%で

  1. 身体活動性の低下(オッズ比= 0.7, 95%信頼区間0.6-0.9, P = 0.026)
  2. 甲状腺機能低下症(オッズ比= 2.4, 95%信頼区間1.0-5.8, P = 0.049)

が主な原因。さらに、TSH値が高い程、残尿が多くなります。[Neurourol Urodyn. 2017 Mar;36(3):794-797.]

膀胱尿管逆流(VUR:Vesicoureteral reflux)と甲状腺

乳幼児に繰り返しておこる、呼吸器症状のない発熱では尿路感染症が第一に考えられます。

急性腎盂腎炎などの尿路感染症を繰り返す小児は、膀胱尿管逆流(VUR:Vesicoureteral reflux)の可能性があります。

腎臓と膀胱をつなぐ尿管は、腎臓で作られた尿が膀胱へ流れるパイプです。正常では、膀胱から尿管へ尿が逆流しないような構造になっていますが、この逆流防止機能が弱いと膀胱尿管逆流(VUR)が起きます(尿管膀胱移行部で、膀胱壁内尿管のトンネル構造発達が不完全)。

膀胱尿管逆流(VUR)が起きると、膀胱内の細菌が腎臓に送られ、急性腎盂腎炎などの尿路感染症を繰り返します。その結果、腎実質の瘢痕化により、高血圧、慢性腎不全に至ります。

膀胱尿管逆流

膀胱尿管逆流(VUR)に伴う逆流性腎盂腎炎に甲状腺機能低下症を合併していて、実は甲状腺が原因の慢性腎不全だった報告があります(Arch Dis Child. 2000 Sep;83(3):251-2.)

膀胱尿管逆流(VUR)による逆流性腎盂腎炎で、慢性破壊的な間質性腎炎から甲状腺様病変が生じる場合があります(Pathol Res Pract. 1983 Mar;176(2-4):284-96.)。

膀胱尿管逆流(VUR)の診断は、排尿時膀胱造影で尿管への逆流を確認すると付きます。排尿時膀胱造影における甲状腺、精巣での放射線表面線量は比較的低いされます(Br J Radiol. 2007 Sep;80(957):731-7.)。

また、尿失禁でないのに、常に下着が濡れている場合、

  1. 尿管異所開口
  2. 重複尿管

の可能性も考えられるので、排泄性尿路造影が必要になります。

膀胱尿管逆流症
両側性膀胱尿管逆流

膀胱尿管逆流(VUR)が

  1. 軽度なら就学前に自然消失することもあるので、尿路感染症をおこしたら、まずは抗菌薬を投与し保存的治療を行う。
       
  2. 高度で尿路感染症を繰り返すものでは、将来的に逆流性腎症を発症して腎機能が廃絶するため、外科治療(膀胱尿管逆流防止術)の適応。

13番染色体症候群

13番染色体の異常で

  1. パニック障害(PD)
  2. 間質性膀胱炎
  3. 僧帽弁逸脱症(MVP)
  4. 偏頭痛
  5. 甲状腺疾患(8%);甲状腺機能亢進症甲状腺機能低下症=1:2

をおこす13番染色体症候群の家系が報告されています。(Biol Psychiatry. 2008 Mar 15;63(6):594-601.)(Arch Gen Psychiatry. 2004 Mar;61(3):273-9.)

膀胱結石と甲状腺

膀胱結石は成分別に

  1. 尿酸結石;赤レンガ色の結石。甲状腺機能亢進症/バセドウ病甲状腺機能低下症/橋本病で高尿酸血症(高尿酸血症と甲状腺
  2. シスチン結石
  3. ステロイド結石:ステロイドホルモンは骨破壊を増加、血中にカルシウムとリンが溶け出し、尿中に過剰に排泄され、結石が形成されます。副腎皮質ステロイドホルモンの1つコルチゾールが過剰に分泌されるクッシング症候群で(クッシング症候群の症状 )。
  4. 原発性副甲状腺機能亢進症による高カルシウム血症で(原発性副甲状腺機能亢進症の症状 )

があります。

膀胱結石は成因別に

  1. 腎臓の結石が膀胱まで落ちてきたもの
  2. 膀胱内で発生したもの;前立腺肥大症などによる排尿障害が原因で、膀胱内に結石の成分となる物質が停留し固まります。

膀胱結石の症状は

  1. 頻尿
  2. 排尿時の違和感
  3. 咳やくしゃみをした時の尿漏れ(腹圧性尿失禁)はない
  4. 排尿障害

膀胱結石の検査所見は

  1. 尿潜血陽性、尿沈渣で赤血球、白血球を認める
  2. 腹部超音波(エコー);結石が写る
  3. X線;結石が写る
  4. CT画像;結石が写る

膀胱異物(バルーンカテーテルの断片)、膀胱腫瘍が石灰化して膀胱結石のように見える事があります。

膀胱結石のX線写真

膀胱結石のX線写真

膀胱結石のCT画像

膀胱結石のCT画像

膀胱結石の治療は

  1. 尿のアルカリ化で尿酸結石やシスチン結石を溶けやすくする
  2. 砕石術

神経因性膀胱(糖尿病性自律神経障害 )

甲状腺関連の上記以外の検査・治療   長崎甲状腺クリニック(大阪)

長崎甲状腺クリニック(大阪)とは

長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査など]による甲状腺専門クリニック。大阪府大阪市東住吉区にあります。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,東大阪市,生野区,天王寺区,浪速区も近く。

長崎甲状腺クリニック(大阪)


長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査等]施設で、大阪府大阪市東住吉区にある甲状腺専門クリニック。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,東大阪市近く

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大阪府大阪市東住吉区鷹合2-1-16

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