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バセドウ病/甲状腺機能亢進症の検査[日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医 橋本病 バセドウ病 甲状腺超音波(エコー)検査  長崎甲状腺クリニック 大阪]

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甲状腺超音波(エコー)検査:下甲状腺動脈血流測定

甲状腺の基礎知識を初心者でもわかるように、長崎甲状腺クリニック(大阪府大阪市東住吉区)院長が解説します。

その他、甲状腺の基本的な事は甲状腺の基本(初心者用) 橋本病の基本(初心者用)を、高度で専門的な知見は甲状腺編 甲状腺編 part2 を御覧ください。

(左)甲状腺超音波(エコー)検査:下甲状腺動脈血流測定

バセドウ病で長崎甲状腺クリニック(大阪)を受診される方への注意

バセドウ病の治療開始(再開)後は、頻回の副作用チェックが必要なため①大阪市と隣接市の方に限定、②来院できず薬を自己中断する方をお受けできません。

※「バセドウ病」「バセドー病」どちらが正しいでしょうか?Basedow病なので"-ow"を発音して「バセドウ病」が正しいのです。

バセドウ病は、甲状腺ホルモンが過剰に作られる「甲状腺機能亢進症」の代表です。

バセドウ病の検査

Summary

バセドウ病は血液検査で①典型的に甲状腺刺激ホルモン(TSH)低値、甲状腺ホルモン(FT4, FT3)高値②甲状腺を刺激する自己免疫抗体(TSH受容体抗体:TRAb)高値③バセドウ病発症初期・軽いバセドウ病(潜在性甲状腺機能亢進症)はTRAb陰性の事があるため刺激型のTS-Ab(TSHレセプター抗体[刺激型])を測定。甲状腺超音波(エコー)検査では甲状腺内部の異常血管増殖と火炎状血流増加、下甲状腺動脈血流増加。アイソトープ検査[Tc-99m(テクネチウム)シンチグラフィー、I-123シンチグラフィー]高額・待ち時間長い(週~月単位)・放射線被曝あり。

Keywords

バセドウ病,検査,TSH受容体抗体,TRAb,TS-Ab,超音波,エコー,アイソトープ,テクネチウムシンチグラフィー,I-123シンチグラフィー

血液検査

まず最初に甲状腺機能亢進症/バセドウ病を疑うきっかけとなる血液検査項目は、

  1. 総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロールが分解され低値に(約50%の患者で)。以前の検査結果と比較することにより、発症あるいは顕性化の時期が推測されます。
  2. アルカリフォスファターゼ(ALP)上昇(3型骨由来)(約50%の患者で)。短期の甲状腺中毒症では上昇しないため、甲状腺ホルモンが多い期間が長いと推測されます。
  3. クレアチンキナーゼ(CK:CPK)低値;ただし、筋肉量の少ない高齢者・女性は甲状腺機能亢進症でなくても低い場合が多い。

甲状腺機能亢進症/バセドウ病を診断するのに必要な血液検査項目、

  1. 血中の甲状腺ホルモンを測定し、過剰になっているのを確認します。
    典型的には、甲状腺刺激ホルモン(TSH)低値、甲状腺ホルモン(FT4, FT3)高値ですが、例外は存在します(これは甲状腺専門医でなければ診断は難しいでしょう)。
     
  2. バセドウ病では、甲状腺を刺激する自己免疫抗体(TSH受容体抗体:TRAb)が正常値を超えます(>2.0)。
    しかし、TRAbが4未満であれば、バセドウ病でなく、無痛性甲状腺炎(一過性の甲状腺中毒症)のこともあります。
     
  3. ただし、TRAbはバセドウ病発症初期・軽いバセドウ病(潜在性甲状腺機能亢進症)では、陰性のことがあります。
    このような場合、刺激型のTS-Ab(TSHレセプター抗体[刺激型]) が陽性に出る事が多いです。(バセドウ病萎縮性甲状腺炎の特殊抗体

甲状腺機能亢進症/バセドウ病を診断するのに必要ではないが、抗サイログロブリン抗体(Tg抗体)抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(TPO抗体)のいずれかが79%で陽性です。[抗サイログロブリン抗体(Tg抗体)抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(TPO抗体)]

甲状腺超音波(エコー)検査

長崎甲状腺クリニック(大阪)が得意とする甲状腺超音波(エコー)検査により、安全・簡単・迅速にバセドウ病を診断。

  1. バセドウ病特有の甲状腺内部の異常血管増殖と火炎状血流増加(J Clin Ultrasound. 2005 Oct;33(8):381-5. doi: 10.1002/jcu.20157.)(Exp Clin Endocrinol Diabetes. 2013 Jan;121(1):1-5.)(AJR Am J Roentgenol. 1996 Jan;166(1):203-7.)
     
  2. 下甲状腺動脈血流速度(ITA-PSV)増加(長崎甲状腺クリニック(大阪)と大阪公立大学医学部附属病院(旧 大阪市立大学医学部附属病院) 骨内分泌科でのみ行っている検査です)
甲状腺機能亢進症 バセドウ病 超音波(エコー)画像

甲状腺機能亢進症/バセドウ病 超音波(エコー)画像;甲状腺内部に網目のような線状低エコー(無数のミミズのように見える)があり、バセドウ病特有の異常血管増殖

甲状腺機能亢進症 バセドウ病 火炎状血流増加

甲状腺機能亢進症/バセドウ病 火炎状血流増加

甲状腺超音波(エコー)検査:下甲状腺動脈血流測定

2. 甲状腺超音波(エコー)検査:下甲状腺動脈血流測定

バセドウ病 火炎状血流増加

2. 甲状腺超音波(エコー)検査:甲状腺内の異常血流増加(火炎状血流増加)のため、甲状腺組織が隠れてしまいます

正常な甲状腺 超音波(エコー)画像

正常な甲状腺 超音波(エコー)画像:バセドウ病と比べると甲状腺のサイズは小さく、内部は均一で、バセドウ病特有の血管の異常増殖は認めません。

標準的なバセドウ病 超音波(エコー)画像

標準的なバセドウ病 超音波(エコー)画像;甲状腺内の低エコー領域(黒いところ)は、異常増殖した血管と小濾胞によるものです。

標準的なバセドウ病 超音波(エコー)画像 ドプラー

標準的なバセドウ病 超音波(エコー)画像 ドプラー

橋本病合併バセドウ病 超音波(エコー)画像

橋本病合併バセドウ病超音波(エコー)像:変形した橋本病の甲状腺上に、異常増殖した血管が多数黒い横線として見えます。

橋本病合併バセドウ病 超音波(エコー)像 ドプラー

橋本病合併バセドウ病 超音波(エコー)像 ドプラー:異常増殖した血管に火炎状血流増加

アイソトープ検査

アイソトープ検査の特徴

アイソトープ検査は高額・待ち時間が長い(週~月単位)・放射線被曝するため、長崎甲状腺クリニック(大阪)では甲状腺超音波(エコー)検査で診断できない時のみ行います。[放射線施設のある大阪公立大学医学部附属病院(旧 大阪市立大学医学部附属病院)に依頼]

日本甲状腺学会が作成した「Basedow病の診断ガイドライン」では、「放射性ヨウ素(またはテクネシウム)甲状腺摂取率の測定やシンチグラフィ」を行わなければBasedow病の確定診断にならず、行わない場合は「確からしいBasedow病」にしかなりません。(すごい時代錯誤の診断基準やな・・・)

これはバセドウ病抗体(TR-Ab,TS-Ab)の精度が悪く、超音波(エコー)装置が発達していない時代に作られた、もはや過去の遺物です。現代では、精度の高いバセドウ病抗体や、フルデジタル化された超音波(エコー)診断装置が当たり前になり、アイソトープ検査は必要ない場合がほとんどです。

とは言っても、バセドウ病抗体と甲状腺超音波(エコー)検査だけでは診断に苦慮するケース、特に軽度の甲状腺中毒症ではアイソトープ検査が最後の砦になります。

I-123シンチグラフィーと99mTc(テクネチウム)シンチグラフィーの比較

I-123 シンチグラフィー

I-123シンチグラフィー:甲状腺全体に放射線ヨウ素が大量に集まれば、バセドウ病と診断します。

I-は甲状腺ホルモンの原料なので、甲状腺の機能(ホルモン合成能)評価に優れます。

検査7日前からヨード(ヨウ素)の多い食品を制限しないと、正確な診断ができません。

ただし、この厳格なヨード(ヨウ素)制限は、あくまで放射性ヨウ素検査または内用療法(アイソトープ検査)を行うためだけの低ヨウ素食で、甲状腺の病気がある人が日常行うヨウ素(ヨード)過剰摂取制限とは別のものです。(ヨウ素(ヨード)と甲状腺

I-123 経口投与後の3時間と24時間で撮像し、甲状腺摂取率を求めます。

放射性ヨウ素内用療法の低ヨウ素食の実施方法とレシピ集

99mTc シンチグラフィー(テクネチウムシンチグラフィー)

99mTc シンチグラフィー(テクネシウムシンチグラフィー)では、厳格なヨード(ヨウ素)制限不要と言う事になっています(※厳格な制限は必要ないが、下記のような場合は制限必要)。

短期間(20-30分)で結果が出ますが高価です。大学病院等では数か月待ちの検査。

過テクネシウム酸(99mTcO4-) はI-と同じ機構[細胞表面のNIS(Na+/I- symporter)から]により甲状腺に取り込まれます。

しかし、甲状腺ホルモン合成に関与しないため、甲状腺機能(ホルモン合成能)を反映しません。あくまで血流(取り込み能)評価です。ヨードシンチグラム(I-123 シンチグラフィー)のように甲状腺ホルモン合成能を調べる機能性検査ではありません。

すなはち、甲状腺機能亢進症/バセドウ病においては、甲状腺内の血流が増加しているため、必然的に99mTcO4-の取り込みが増加します。大抵の場合、バセドウ病では甲状腺内の血流増加≒甲状腺ホルモンの合成促進なので、簡便なアイソトープ検査として利用されますが、I-123シンチグラフィーとは原理が全く異なるのです。(Mol Imaging Radionucl Ther. 2014 Oct 5;23(3):96-100.)(Hell J Nucl Med. 2006 Sep-Dec;9(3):173-6.)

また、99mTc シンチグラフィー(テクネシウムシンチグラフィー)の難点として、潜在性甲状腺機能亢進症のような軽度バセドウ病の診断不可能です。

バセドウ病 Tc-99m(テクネチウム)シンチグラフィー

(医師用) 99mTc シンチグラフィー(テクネシウムシンチグラフィー)はヨード(ヨウ素)制限が全く不要ではない

99mTcO4-はI-と同じ機構により甲状腺に取り込まれるため、

  1. 多量のヨード(ヨウ素)摂取の影響を受けます。例えばバセドウ病でのKI(ヨウ化カリウム)30mg/日投与、あるいは乾燥コンブ一日16g摂取により甲状腺への99mTcO4-取り込みが阻害され、バセドウ病無痛性甲状腺炎と間違える可能性があります(偽陰性)。
     
  2. ヨード(ヨウ素)中止後に99mTcO4-取り込みが回復します。KI(ヨウ化カリウム)中止後1か月で、海藻類過剰摂取中止後10日程で回復します。

(第57回 日本甲状腺学会 P1-045 海藻類の大量摂取のためテクネシウム甲状腺摂取率が低値となったバセドウ病の1 例)

ヨード(ヨウ素)不足地域ドイツであっても、500マイクログラム/g・Crを超える尿中ヨウ素排泄値では99mTc シンチグラフィー(テクネシウムシンチグラフィー)の値は不正確になります。[Nuklearmedizin. 1998;37(6):202-7.]

無痛性甲状腺炎とバセドウ病との見分け方

甲状腺関連の上記以外の検査・治療   長崎甲状腺クリニック(大阪)


長崎甲状腺クリニック(大阪)とは

長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査など]による甲状腺専門クリニック。大阪府大阪市東住吉区にあります。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,天王寺区,東大阪市,天王寺区,生野区,浪速区も近く。

長崎甲状腺クリニック(大阪)


長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査等]施設で、大阪府大阪市東住吉区にある甲状腺専門クリニック。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,東大阪市近く

住所

〒546-0014
大阪府大阪市東住吉区鷹合2-1-16

アクセス

  • 近鉄「針中野駅」 徒歩2分
  • 大阪メトロ(地下鉄)谷町線「駒川中野駅」
    徒歩10分
  • 阪神高速14号松原線 「駒川IC」から720m

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