動脈硬化マーカーと甲状腺②アディポネクチン,トロンボモジュリン,クラミジア・ニューモニエIgG,超悪玉コレステロール,酸化LDL[長崎甲状腺クリニック 大阪]
甲状腺:専門の検査/治療/知見① 橋本病 バセドウ病 甲状腺エコー 長崎甲状腺クリニック大阪
甲状腺専門の長崎甲状腺クリニック(大阪府大阪市東住吉区)院長が海外・国内論文に眼を通して得た知見、院長自身が大阪市立大学(現、大阪公立大学) 代謝内分泌内科で得た知識・経験・行った研究、甲状腺学会で入手した知見です。
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血管壁に蓄積した脂肪の厚さ[総頚動脈内膜中膜肥厚度(CCA IMT)]
甲状腺機能低下症を甲状腺ホルモン剤[レボチロキシン(チラーヂンS)]で治療すればCCA IMTが改善することを、私、長崎俊樹が医学界で初めて証明しました。[Decrease in carotid intima-media thickness in hypothyroid patients after normalization of thyroid function. (Clinical Endocrinology)]
甲状腺疾患における動脈硬化は、私、長崎俊樹の長年にわたる研究テーマです。
Summary
甲状腺機能低下症において①脂肪細胞で産生され、抗動脈硬化作用を持つアディポネクチン(APN)は減少せず、甲状腺ホルモン剤[レボチロキシン(チラーヂンS)]治療で増加しない②プロテインCを活性化し、血栓を予防するトロンボモジュリン(TM)は増加せず、甲状腺ホルモン剤治療で減少しない事を、私、長崎俊樹が医学界で初めて論文報告。クラミジア ニューモニエ抗体と甲状腺機能低下症の関係は不明。潜在性甲状腺機能低下症・甲状腺機能低下症では超悪玉コレステロール(sdLDL-C)や酸化LDL値が高く、甲状腺ホルモン剤治療で低下しない。
Keywords
甲状腺機能低下症,動脈硬化,アディポネクチン,トロンボモジュリン,クラミジア ニューモニエ抗体,潜在性甲状腺機能低下症,超悪玉コレステロール,sdLDL-C,酸化LDL,甲状腺ホルモン剤
アディポネクチン(APN)は脂肪細胞で産生される善玉サイトカインで、
- 血管に作用し、動脈硬化を抑制
- 脂肪細胞のインスリン感受性を高める抗2型糖尿病作用
- 内臓脂肪のサイズを小さくする。脂肪燃焼作用も
内臓脂肪が増えれば血液中のアディポネクチン(APN)は減少します。
糖尿病患者でも血中アディポネクチン(APN)値が低く、インスリン感受性も低くなり、動脈硬化が高率に発現します。
甲状腺機能低下症においてアディポネクチン(APN)の減少は確認できず、甲状腺機能低下症を甲状腺ホルモン剤[レボチロキシン(チラーヂンS)]で治療してもアディポネクチン(APN)は増加しない事を、私、長崎俊樹が医学界で初めて報告しました。
運動・食事療法で内臓脂肪が減少すれば、アディポネクチン(APN)は増えます。
院長の論文
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Plasma levels of adiponectin and soluble thrombomodulin in hypothyroid patients with normal thyroid function following levothyroxine replacement therapy.(Biomedicine & Pharmacotherapy)
甲状腺機能低下症における治療前後のアディポネクチン変化と、トロンボモジュリンや動脈硬化との関係を医学界で初めて報告。
甲状腺機能低下症においてトロンボモジュリン(TM)の増加は確認できず、甲状腺機能低下症を甲状腺ホルモン剤[レボチロキシン(チラーヂンS)]で治療してもトロンボモジュリン(TM)は減少しない事を、私、長崎俊樹が医学界で初めて報告しました。
院長の論文
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Plasma levels of adiponectin and soluble thrombomodulin in hypothyroid patients with normal thyroid function following levothyroxine replacement therapy.(Biomedicine & Pharmacotherapy)
甲状腺機能低下症における治療前後のアディポネクチン変化と、トロンボモジュリンや動脈硬化との関係を医学界で初めて報告。
クラミジア ニューモニエ(肺炎クラミジア:chlamydia pneumoniae)は急性上気道炎、気管支炎、肺炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)急性憎悪の病原体です。最近では、血管に慢性感染して動脈硬化症や虚血性心疾患(心筋梗塞・狭心症)に関与するとされますが、甲状腺機能低下症との関係は不明です。
生きたクラミジアが血管の動脈硬化部分から見つかり、また、クラミジア ニューモニエ(肺炎クラミジア)抗体をもつ人は、もたない人の2~4倍も心筋梗塞や脳卒中の発生率が高くなります。
クラミジア抗体は感染防御力がなく、抗体があっても繰り返し感染する可能性があります。クラミジア ニューモニエ(肺炎クラミジア)を殺菌して動脈硬化が予防できるか調べるためマクロライド薬やニューキノロン薬による長期療法が試みられています。
[Cell Microbiol. 2004 Feb;6(2):117-27.][Semin Respir Infect. 2003 Mar;18(1):48-54.]
クラミジア ニューモニエ肺炎
クラミジア ニューモニエ肺炎は高齢者肺炎で、市中肺炎の5%を占めます。軽症肺炎が多く、診断にはクラミジア ニューモニエ IgM抗体は便利ですが、やや信頼性に問題があります。
悪玉コレステロール(LDLコレステロール)の中でも小型でかつ高比重のコレステロールは、動脈硬化を促進する作用が非常に強く、超悪玉コレステロール(small dense LDL-Cholesterol:sdLDL-C)と呼ばれます。超悪玉コレステロール(sdLDL-C)は、血中に長く滞在し、酸化されやすいため動脈硬化促進作用が強いのです。
甲状腺機能低下症においては通常の血液検査で高脂血症を認めなくても、超悪玉コレステロール(sdLDL-C)の値が高くなります。(J Clin Diagn Res. 2016 Jun;10(6):BC04-8.)
また、潜在性甲状腺機能低下症でも同様に超悪玉コレステロール(sdLDL-C)が高値になります(Rom J Intern Med. 2017 Sep 26;55(3):159-166.)。
厄介な事に、甲状腺ホルモン剤(レボチロキシン、チラーヂンS)を投与しても超悪玉コレステロール (sdLDL-C)は低下しません(Thyroid. 2016 Mar;26(3):365-72.)。
甲状腺機能低下症・潜在性甲状腺機能低下症においては通常の血液検査で高脂血症を認めなくても、酸化LDL(oxidized low density lipoprotein)の値が高くなります。(J Clin Diagn Res. 2016 Jun;10(6):BC04-8.)(Clin Endocrinol (Oxf). 2012 Apr;76(4):526-32.)
動脈硬化編 も御覧ください
甲状腺関連の上記以外の検査・治療 長崎甲状腺クリニック(大阪)
長崎甲状腺クリニック(大阪)とは
長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査など]による甲状腺専門クリニック。大阪府大阪市東住吉区にあります。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,天王寺区,東大阪市,生野区,浪速区も近く。