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大動脈炎症候群(高安動脈炎、脈なし病)、巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)と甲状腺[橋本病 バセドウ病 甲状腺超音波エコー検査 長崎甲状腺クリニック 大阪]

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甲状腺:専門の検査/治療/知見① 橋本病 バセドウ病 甲状腺エコー 長崎甲状腺クリニック大阪

大動脈炎症候群(高安動脈炎、脈なし病)

甲状腺専門長崎甲状腺クリニック(大阪府大阪市東住吉区)院長が海外(Pub Med)・国内論文に眼を通して得た知見、院長自身が大阪市立大学(現、大阪公立大学) 代謝内分泌内科で得た知識・経験・行った研究、日本甲状腺学会で入手した知見です。

長崎甲状腺クリニック(大阪)以外の写真・図表はPubMed等で学術目的にて使用可能なもの、public health目的で官公庁・非営利団体等が公表したものを一部改変しています。引用元に感謝いたします。尚、本ページは長崎甲状腺クリニック(大阪)の経費で非営利的に運営されており、広告収入は一切得ておりません。

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長崎甲状腺クリニック(大阪)は甲状腺専門クリニックです。大動脈炎症候群(高安動脈炎、脈なし病)、巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)の診療を行っておりません。

Summary

大動脈炎症候群(高安動脈炎、脈なし病)は若年女性に多くHLA-B52と相関。不明熱(亜急性甲状腺炎、急性化膿性甲状腺と鑑別)、腕頭/頸/椎骨動脈の狭窄、閉塞による鎖骨下動脈盗血症候群・脳虚血でめまい、失神、脳血栓塞栓。頚動脈の炎症は亜急性甲状腺炎と鑑別。腎血管性高血圧・心臓弁膜症・陰部潰瘍もおこす。抗甲状腺薬による無顆粒球症時のG-CSF(顆粒球コロニー形成刺激因子)製剤で薬剤誘発性大動脈炎。巨細胞性動脈炎は大動脈と主要分枝の肉芽腫性動脈炎で、50歳以上に発症。側頭動脈炎、複視、片側視力障害(失明の危険);片眼性甲状腺眼症・バセドウ病眼症と鑑別。

Keywords

大動脈炎症候群,高安動脈炎,脈なし病,甲状腺,巨細胞性動脈,側頭動脈炎,G-CSF,甲状腺機能亢進症,バセドウ病,亜急性甲状腺炎

大動脈炎症候群(高安動脈炎、脈なし病)と甲状腺

大動脈炎症候群(高安動脈炎、脈なし病)とは

大動脈炎症候群(高安動脈炎、脈なし病)は、甲状腺疾患と同じく若年女性に多く(90%女性、15-35歳が好発年齢)、HLA-B52との相関が知られます。大動脈炎症候群(高安動脈炎、脈なし病)は大動脈、その主要分枝、肺動脈、冠動脈に慢性炎症を起こします。

大動脈炎症候群(高安動脈炎、脈なし病)

大動脈炎症候群(高安動脈炎、脈なし病)には特異的な自己抗体がなく、自然寛解を繰り返すため、診断が遅れることがあります。

大動脈炎症候群(高安動脈炎、脈なし病)の症状は、

  1. 不明熱・全身倦怠感(体がだるい)・食欲不振(亜急性甲状腺炎 急性化膿性甲状腺炎と甲状腺膿瘍 と鑑別)
  2. 胸痛;
    炎症自体による場合
    冠動脈の炎症による場合→心筋梗塞;大動脈炎症候群(高安動脈炎)の10%に冠動脈病変[Cardiovasc Pathol. 2014 Sep-Oct;23(5):313-6.]
    橋本病(慢性甲状腺炎)との合併例で報告(Clin Nucl Med. 2008 May;33(5):377-9.)
     
  3. 炎症部位の痛み
  4. 腕頭動脈・鎖骨下動脈狭窄、閉塞による
    ①脈なし病、手の冷感、しびれ
    鎖骨下動脈盗血症候群、脳虚血によるめまい、失神
    ③脳血栓塞栓
     
  5. 頚動脈・椎骨動脈に炎症があると、
    ①脳血流不全によるめまい、失神
    ②脳血栓塞栓
    ③頚部痛;亜急性甲状腺炎 との鑑別必要です。
  6. 腎血管性高血圧
     
  7. 心臓弁膜症;大動脈弁閉鎖不全(AR)によるうっ血性心不全
  8. 解離性動脈瘤、動脈瘤破裂[Cardiovasc Pathol. 2014 Sep-Oct;23(5):313-6.]
  9. 陰部潰瘍

大動脈炎症候群(高安動脈炎、脈なし病)の画像所見は、

  1. 非造影CT;肥厚した動脈壁が高吸収。
  2. 造影CT;
    肥厚した壁の中心に比べて辺縁部(内膜、外側)が強く造影される(double ring enhancement)
    罹病期間が長いと動脈壁の石灰化、内腔の狭窄・拡張、動脈瘤を認める。
  3. FDG-PET;炎症部に集積。

(大動脈炎症候群 単純CT 東京レントゲンカンファレンス)

大動脈炎症候群 単純CT
大動脈炎症候群 造影CT

(大動脈炎症候群 造影CT 血管炎症候群の診療ガイドライン)

大動脈炎症候群 PET-CT

(大動脈炎症候群 FDG-PET Springerplus. 2014 Sep 9;3:509.)

大動脈炎症候群 造影CT 鎖骨下動脈狭窄

大動脈炎症候群 造影CT 鎖骨下動脈狭窄

大動脈炎症候群 造影CT 鎖骨下動脈狭窄

大動脈炎症候群 造影CT 鎖骨下動脈狭窄

大動脈炎症候群(高安動脈炎、脈なし病)と甲状腺の病気の合併

大動脈炎症候群(高安動脈炎、脈なし病)と甲状腺の病気の合併 FDG PET/CT

大動脈炎症候群(高安動脈炎、脈なし病)と甲状腺の病気の合併 FDG PET/CT [Eur J Hybrid Imaging. 2019 Jul 26;3(1):12.]

大動脈炎症候群(高安動脈炎)と甲状腺の病気を合併した報告は意外と少ない。

しかしながら、大動脈炎症候群(高安動脈炎)患者にFDG PET/CTを行うと、全体の17.8%で甲状腺に集積を認めた報告があります。甲状腺に集積を認めた内の7.7%が甲状腺乳頭癌、23.1%が甲状腺機能異常。それ以外は、甲状腺良性結節か甲状腺機能正常橋本病と考えられます。 [Eur J Hybrid Imaging. 2019 Jul 26;3(1):12.]

甲状腺疾患との合併報告は、

  1. 大動脈炎症候群(高安動脈炎)と橋本病(慢性甲状腺炎)の合併[Cardiovasc Pathol. 2014 Sep-Oct;23(5):313-6.]
    大動脈炎症候群(高安動脈炎)と橋本病(慢性甲状腺炎)・潰瘍性大腸炎・シェーグレン症候群の合併[Intest Res. 2017 Apr;15(2):255-259.]
    大動脈炎症候群(高安動脈炎)と橋本病(慢性甲状腺炎)1型糖尿病の合併[Clin Rheumatol. 2005 Apr;24(2):169-71.]
       
  2. 大動脈炎症候群(高安動脈炎)と甲状腺機能性結節による甲状腺機能亢進症・クローン病の合併[Scand J Gastroenterol. 2003 Aug;38(8):901-3.]
       
  3. 大動脈炎症候群(高安動脈炎)患者にFDG PET/CTを行うと、全体の17.8%で甲状腺に集積を認めた。甲状腺に集積を認めた内の7.7%が甲状腺乳頭癌、23.1%が甲状腺機能異常。 [Eur J Hybrid Imaging. 2019 Jul 26;3(1):12.]
       
  4. 大動脈炎症候群(高安動脈炎)と亜急性甲状腺炎の合併にHLA A24 と B52が関与する可能性があります。 [Intern Med. 2011;50(2):151-4.]
       
  5. 甲状腺刺激ブロック抗体(TSBAb)高値の萎縮性甲状腺炎と大動脈炎症候群の合併例に、プレドニゾロンを35mgより開始。徐々に投与量を減少させたところ、TSBAbも徐々に減少し3ヶ月後に正常になった報告があります。(J Endocrinol Invest. 1990 May;13(5):415-8.)
        
  6. 甲状腺超音波エコー検査の際に、①下甲状腺動脈から伸びた側副路、②壁肥厚と管腔内血流欠損を伴う狭小化した総頸動脈を認め、偶然、大動脈炎症候群(高安動脈炎)が見つかった。[Ultrasonography. 2014 Jul;33(3):222-5.]

甲状腺超音波エコー検査で見つかった大動脈炎症候群(高安動脈炎)
甲状腺超音波エコー検査で見つかった大動脈炎症候群(高安動脈炎) 造影CT画像

甲状腺超音波エコー検査で見つかった大動脈炎症候群(高安動脈炎) 造影CT画像;下甲状腺動脈から伸びた側副路

甲状腺超音波エコー検査で見つかった大動脈炎症候群(高安動脈炎) 造影CT画像2

甲状腺超音波エコー検査で見つかった大動脈炎症候群(高安動脈炎) 造影CT画像

G-CSF(顆粒球コロニー形成刺激因子)製剤で薬剤誘発性大動脈炎

甲状腺機能亢進症/バセドウ病治療薬、抗甲状腺薬(メルカゾール、プロパジール、チウラジール)の最も恐ろしい副作用、無顆粒球症(好中球という白血球が激減し免疫不全におちいる状態には、G-CSF(顆粒球コロニー形成刺激因子)製剤を投与します。G-CSF製剤に重大副作用に薬剤誘発性大動脈炎(薬剤誘発性大型血管炎)がり、大動脈炎症候群(高安病)と画像上似ており、鑑別を要します。(G-CSF(顆粒球コロニー形成刺激因子)製剤と甲状腺)(Mod Rheumatol Case Rep. 2020 Jan;4(1):74-78.)

(薬剤誘発性大型血管炎 造影CT画像 Sci Rep. 2020 Oct 29;10(1):18647.)

薬剤誘発性大型血管炎 造影CT画像
薬剤誘発性大型血管炎 造影CT画像

巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)と甲状腺

巨細胞性動脈炎は、大動脈または主要分枝の肉芽腫性動脈炎で、側頭動脈炎が最も有名。

若年者に発症する大動脈炎症候群(高安病)と異なり50歳以上に発症。

  1. 発熱(微熱~高熱の不明熱)(亜急性甲状腺炎 急性化膿性甲状腺炎と甲状腺膿瘍 と鑑別)
  2. 頭痛(約70%、側頭動脈の炎症)
  3. 側頭部に索状の腫脹と圧痛
  4. 複視、片側視力障害(失明の危険);視神経の虚血による(片眼性甲状腺眼症・バセドウ病眼症と鑑別)
  5. 顎跛行(食べる速度が低下し、栄養状態悪くなる)(甲状腺機能低下症の様)
  6. 乾性咳嗽(からせき、咳受容体の虚血により、肺を調べても異常ない)
  7. 大動脈瘤破裂、大動脈解離
  8. リウマチ性多発筋痛症合併

確定診断は側頭動脈生検だが、失明の危険がある場合、先にステロイド治療を開始。大動脈のみの病変もあり、胸部造影CTで大動脈の壁肥厚を認める。

巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)
巨細胞動脈炎 胸部造影CT

巨細胞動脈炎 胸部造影CTで、大動脈の壁肥厚を認めます(Radiographics. 2011 Sep-Oct;31(5)1271-86.)

橋本病(慢性甲状腺炎)に合併した大動脈の巨細胞性動脈炎

橋本病(慢性甲状腺炎)に合併した大動脈の巨細胞性動脈炎の報告があります。ステロイド投与で炎症が沈静化した後、上行大動脈の切除と人工血管への置換を必要としました。

病理組織では多核巨細胞を認めます。

(J Cardiothorac Surg. 2011 May 16;6:74.)

橋本病(慢性甲状腺炎)に合併した大動脈の巨細胞性動脈炎

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長崎甲状腺クリニック(大阪)


長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査等]施設で、大阪府大阪市東住吉区にある甲状腺専門クリニック。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,東大阪市近く

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