抗アレルギー薬、アレルギー治療と甲状腺[日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医 橋本病 甲状腺機能亢進症 バセドウ病 長崎甲状腺クリニック 大阪]
甲状腺:専門の検査/治療/知見① 橋本病 バセドウ病 甲状腺エコー 長崎甲状腺クリニック大阪
甲状腺専門の長崎甲状腺クリニック(大阪府大阪市東住吉区)院長が海外・国内論文に眼を通して得た知見、院長自身が大阪市立大学 大学院医学研究科 代謝内分泌病態内科で得た知識・経験・行った研究、甲状腺学会で入手した知見です。
長崎甲状腺クリニック(大阪)以外の写真・図表はPubMed等で学術目的にて使用可能なもの、public health目的で官公庁・非営利団体等が公表したものを一部改変しています。引用元に感謝いたします。
甲状腺・動脈硬化・内分泌代謝に御用の方は 甲状腺編 動脈硬化編 甲状腺以外のホルモンの病気(副甲状腺/副腎/下垂体/妊娠・不妊など) をクリックください。
医薬品医療機器総合機構(PMDA)が公開しているアレグラ®、フェキソフェナジンの添付文書(薬の説明書)には「重大な副作用」として無顆粒球症・白血球減少・好中球減少が明記されています。
抗甲状腺薬(メルカゾール、プロパジール、チウラジール)の最も恐ろしい副作用も無顆粒球症で、何十年服薬しようが、その可能性はゼロになりません。
できれば併用は避けたいものですが、当院のバセドウ病患者が、アレグラ®(フェキソフェナジン)を処方しようとした耳鼻咽喉科の医師にその旨を申したところ、「そんなこと聞いたことないわ🤬」とキレられたそうです。すべての耳鼻咽喉科医がそうだとは思いませんが、中には自分が処方する薬の副作用をロクに調べもしないで平然と処方している医師もおられるようです。
長崎甲状腺クリニック(大阪)は甲状腺専門クリニックです。アレルギー自体の診療を行っておりません。
Keywords
甲状腺,アレルギー性鼻炎,アレルギー性結膜炎,好酸球,花粉症,バセドウ病,再発,甲状腺機能亢進症,アレルギー,シックハウス
Summary
アレルギー性鼻炎治療薬アレグラ®(フェキソフェナジン)は眠気が少なく、自動車運転も制限されないが、白血球減少、好中球減少、無顆粒球症の副作用があるため抗甲状腺薬(メルカゾール、プロパジール、チウラジール)との併用は避けたい。ディレグラ配合錠はフェキソフェナジンとプソイドエフェドリンの合剤で甲状腺機能亢進症/バセドウ病の交感神経刺激作用を増強。長崎甲状腺クリニック大阪で勧める抗アレルギー薬はアレロック®(オロパタジン)、ジルテック®(セチリジン)、ザイザル®(レボセチリジン)。クラリチン®は授乳中の服薬可能。セレスタミン配合錠は副腎皮質ステロイド。
Summary
アレルギー性鼻炎,オロパタジン,甲状腺,メルカゾール,プロパジール,チウラジール,甲状腺機能亢進症,バセドウ病,抗アレルギー薬,セチリジン
長崎甲状腺クリニック(大阪)で、抗甲状腺薬(メルカゾール、プロパジール、チウラジール)服薬中の甲状腺機能亢進症/バセドウ病患者には絶対に使わないアレグラ®(フェキソフェナジン)。
アレルギー性鼻炎の治療薬アレグラ®(フェキソフェナジン)は、他の抗アレルギー剤と異なり眠気が少なく、服用後の自動車運転も制限されないのが利点です。
しかし、あまり抗アレルギー作用が強い印象は無く、抗アレルギー薬では極めて珍しく、添付文書(薬の説明書) [医薬品医療機器総合機構(PMDA)がネットでも公開]には白血球減少、好中球減少、命の危険:無顆粒球症(好中球という白血球が激減し免疫不全におちいる状態)の副作用が明記されています。(アレグラ錠®添付文書を参照されたい)。
抗甲状腺薬(メルカゾール、プロパジール、チウラジール)を飲んでいる以上、常に命の危険:無顆粒球症の副作用がおきる危険を持っています。実際にメルカゾール、プロパジール、チウラジールとアレグラ®(フェキソフェナジン)を併用し、無顆粒球症をおこした報告はありません(ひょっとすると、医者も気付かず、ただの無顆粒球症と処理されているだけかも・・)。そのような状況下で、アレグラ®(フェキソフェナジン)の併用は、可能なら避けたいものです。
当院のバセドウ病患者が、アレグラ®(フェキソフェナジン)を処方しようとした耳鼻咽喉科の医師にその旨を申したところ、「そんなこと聞いたことないわ🤬」とキレられたそうです。すべての耳鼻咽喉科医がそうだとは思いませんが、中には自分が処方する薬の副作用をロクに調べもしないで平然と処方している医師もおられるようです。ちなみに、アレグラ®、フェキソフェナジンの添付文書(薬の説明書)には「重大な副作用」として無顆粒球症・白血球減少・好中球減少が明記されています。
甲状腺機能低下症/橋本病に使用するのは問題ないと思います。
アレグラ® 添付文書(薬の説明書) [医薬品医療機器総合機構(PMDA)がネットでも公開]
無顆粒球症(頻度不明)、白血球減少(0.2%)、好中球減少(0.1%未満)。
果物ジュース(りんご・オレンジ・グレープフルーツジュース)で効果半減
アレグラ錠®(フェキソフェナジン)が他の抗アレルギー薬と異なる点は、果物ジュース(アップル・オレンジ・グレープフルーツジュース)で腸からの吸収が低下する事です。
アレグラ錠®(フェキソフェナジン)は小腸細胞膜のOATP(有機アニオントランスポーター)から体内に取り込まれます。果物ジュース(アップル・オレンジ・グレープフルーツジュース)はOATPを抑制するため、100%ジュースで服薬すると、アレグラ錠®(フェキソフェナジン)の血中濃度は半分程に低下します。
それだけではなく、食事の内容に関わらず、食後にアレグラ錠®(フェキソフェナジン)を飲むと、血中濃度は14%低下します。
ディレグラ配合錠®はアレルギー性鼻炎の治療薬アレグラ®(フェキソフェナジン)と塩酸プソイドエフェドリンの合剤。プソイドエフェドリンは元々、覚せい剤の原料です。
甲状腺機能が長期間安定している甲状腺機能亢進症/バセドウ病なら影響は少ないかもしれません。しかし甲状腺ホルモンが正常化していない状態で使うと危険です。プソイドエフェドリンはα交感神経刺激作用で鼻粘膜血管を収縮し、鼻ずまりを抑えますが、甲状腺機能亢進症/バセドウ病の交感神経刺激作用(発汗、動悸、体重減少、不眠など)も増強します。ディレグラ配合錠®の添付文書(薬の説明書)[医薬品医療機器総合機構(PMDA)がネットでも公開]にも明記されています。
またプソイドエフェドリンは全身血管を収縮、心臓も刺激し心臓の負担を増し、心臓病 (心臓弁膜症,心筋症,先天性心疾患) 肺高血圧症、心房細動(Af)、頻脈性不整脈、 高血圧、狭心症・心筋梗塞、急性大動脈解離・大動脈瘤を悪化させます。さらに眼房水排出を抑制するため狭隅角緑内障で眼圧上昇する危険性があり、バセドウ病眼症を悪化させます。
日本でもディレグラ配合錠®の2週間以上の投与に警告が出ています。長期服用で安全性が確立されていないためです。血液―脳関門を通過し、中枢を興奮させる作用は、本来のエフェドリンより弱いとは言え存在します。当然、依存性の可能性もある訳です。
前述のプソイドエフェドリンの元、エフェドリンを主成分とする麻黄(マオウ)を含みます。
漢方薬の小青龍湯はアレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎に保険適応がありますが、漢方薬だからと侮ってはいけません。
甲状腺機能が長期間安定している甲状腺機能亢進症/バセドウ病の方が服用しても影響は少ないでしょう。しかし甲状腺ホルモンが正常化・安定化していない状態で使うと危険です。
小青龍湯には前項のディレグラ配合錠®でも述べたプソイドエフェドリンの元、エフェドリンを主成分とする麻黄(マオウ)が含まれます。麻黄(マオウ)はα交感神経刺激作用で鼻粘膜血管を収縮し、鼻詰まりを抑えますが、甲状腺機能亢進症/バセドウ病の交感神経刺激作用(発汗、動悸、体重減少、不眠、手の震え、高血圧など)も増強します。小青龍湯®の添付文書にも明記されています。
また、甲状腺機能亢進症/バセドウ病では低カリウム血症を合併している場合があり(甲状腺と低カリウム血症)、最悪、①心室頻拍(VT)など致死性不整脈に移行するQT延長症候群や②筋肉が融解し腎不全を来す横紋筋融解症に至ります。
小青龍湯には低カリウム血症[偽性アルドステロン症(偽アルドステロン症)]をおこす甘草(カンゾウ、主成分グリチルリチン)も含まれ、甲状腺機能亢進症/バセドウ病の方には要注意。
ちなみに、これらのことは小青龍湯の添付文書(薬の説明書)に明記されており、医薬品医療機器総合機構(PMDA)がネットでも公開しています。
長崎甲状腺クリニック(大阪)で勧める抗アレルギー薬は、
- アレロック®(オロパタジン塩酸塩):効果強く、眠気あり(鎮静作用で甲状腺機能亢進症/バセドウ病の活動性を下げ、イライラ・不眠も改善)
肝腎機能障害に慎重投与 - ジルテック®(セチリジン塩酸塩):アレロック®同様
- ザイザル®(レボセチリジン塩酸塩):効果強く、眠気少ない[ジルテック®(セチリジン塩酸塩)の光学異性体]
- アレジオン®(エピナスチン塩酸塩):効果やや劣るが、眠気少ない
肝機能障害に慎重投与
ザイザル®(レボセチリジン塩酸塩)は、腎機能低下の影響を受けやすいため、eGFRが低下している場合、1回量を2.5mgに減量するなどの配慮が必要。
ジルテック®(セチリジン塩酸塩)、ザイザル®(レボセチリジン塩酸塩)、タリオン®(ベポタスチンベシル酸塩)はピペリジン/ピペラジン系、アレロック®(オロパタジン塩酸塩)、アレジオン®(エピナスチン塩酸塩)、デザレックス®(デスロラタジン)、ルパフィン®(ルパタジンフマル酸塩)は化学構造の異なる三環系抗ヒスタミン薬なので、効力が同じとされても作用機序が異なります。
効きがいまひとつなら、別の作用機序のものに変えて試してみるのも良いでしょう。
ルパフィン®(ルパタジンフマル酸塩)は抗PAF(血小板活性化因子)作用も有するため、鼻閉に対して有効な場合があります
授乳中のみ勧める抗アレルギー薬
クラリチン®(ロラタジン)もアレグラ®(フェキソフェナジン)同様、眠気もないが、たいして効きもしません。しかも、抗生剤クラリス®/クラリスロマイシンと類似の化学構造のため、風邪・気管支炎・扁桃炎の時、それらと同時に飲めません。免疫抑制剤プログラフ®(タクロリムス)も同じマクロライド骨格を持つ構造類似体ですので、競合阻害により、血中濃度が上昇し、副作用が出る危険があります。
唯一、クラリチン®(ロラタジン)が優れている点は、授乳中であっても服薬可能(授乳L1表示の太鼓判付き)な点です。
眠気を起こす抗アレルギー薬
眠気を起こす抗アレルギー薬は、ただでさへ眠気が起こる甲状腺機能低下症の方、特に車を運転する方には使い難いです。高齢者では、眠気増強に伴う転倒、嚥下障害、摂食量低下を来たさないよう注意が必要。
しかし、甲状腺機能亢進症/バセドウ病は
- 睡眠相後退症候群で眠れない人多く
- 眠気で精神興奮を抑えた方がストレスが軽減され、バセドウ病の活動性が低下、抗甲状腺薬(メルカゾール、プロパジール、チウラジール)の効きが良くなる(甲状腺機能亢進症/バセドウ病と精神的ストレス )
ため、長崎甲状腺クリニック(大阪)では、車を運転する方以外に、敢えて眠気を起こす抗アレルギー薬を処方する事にしています。
ただ、抗アレルギー薬の内服継続すると、だんだん眠気が軽減してくる場合があるので、少し様子を見ても良いと思います。
パイロット(航空操縦士)には抗アレルギー薬の制限がある
航空法により、パイロット(航空操縦士)・航空機乗組員は眠気が少ない抗アレルギー薬、デザレックス®(デスロラタジン)、クラリチン®(ロラタジン)、ビラノア®(ビラスチン)、アレグラ錠®(フェキソフェナジン)以外の抗アレルギー薬を服薬した場合、通常投与間隔の2倍の時間が経たないと航空業務に従事できません。
- 1日1回投与のジルテック®(セチリジン塩酸塩)、ザイザル®(レボセチリジン塩酸塩)、アレジオン®(エピナスチン塩酸塩)、ルパフィン®(ルパタジンフマル酸塩)は48時間以上
- 1日2回投与のタリオン®(ベポタスチンベシル酸塩)、アレロック®(オロパタジン塩酸塩)は24時間以上
になります。
ちなみに、甲状腺の病気に関して、「航空機乗組員の使用する医薬品の取扱いに関する指針」では「甲状腺疾患でホルモン補充療法中の場合、薬剤の用法用量が一定した後、指定医又は乗員健康管理医による少なくとも1ヶ月間の経過観察期間を経て、FT3、FT4が安定て推移し、かつ、無症状であることが確認されなければならない。」とあります。
同時に、「甲状腺疾患の既往歴があるか、又はその疑いがある場合は、甲状腺機能検査を実施すること。」「甲状腺機能亢進症で、術後又はアイソトープ治療後、FT3、FT4が少なくとも1ヶ月間安定して経過し、かつ、無症状のものは適合とする。」
腎機能障害のある患者(特に高齢者)への投与
ジルテック®(セチリジン塩酸塩)、ザイザル®(レボセチリジン塩酸塩)、アレロック®(オロパタジン塩酸塩)は、長崎甲状腺クリニック(大阪)で最もよく使う抗アレルギー剤ですが、腎機能障害のある患者(特に高齢者)では分解・排泄が悪くなり、血中濃度が上がり過ぎる可能性があるため、投与量に気を付けています。
甲状腺機能低下症でも使い易いデザレックス®(デスロラタジン)
デザレックス®(デスロラタジン)はザイザル®、ジルテック®(セチリジン塩酸塩)と同程度の効果ですが、眠気が少なく、甲状腺機能低下症でも使い易い薬です。新薬なので薬代がやや高い(薬価62.4円/1錠、ザイザル®82.5円、ジルテック®65.50円、セチリジン11.70〜31.50円).
また、エリスロマイシン(抗生物質)、ケトコナゾール(抗真菌薬)との併用注意になっています。
妊活中の女性に対する投与
妊活中の女性に対して抗アレルギー薬のほとんどは、おそらく大丈夫だろうけれども、妊娠中の安全性が保障されている訳でもないため、ステロイド点鼻薬なら良いと考えます。点鼻薬は血液中に移行する薬効成分量が少なく、安全性は高いと思われます。
長崎甲状腺クリニック(大阪)で勧められない抗アレルギー薬
長崎甲状腺クリニック(大阪)で勧め難い抗アレルギー薬
新薬ビラノア®(ビラスチン)は長崎甲状腺クリニック(大阪)で勧め難い抗アレルギー薬の一つです。確かに眠気は少ないですが、理由は
- 空腹時に飲まないと吸収率が低下し、効果が減弱します。甲状腺機能低下症の治療薬、チラーヂンSも吸収障害あり(チラーヂンS錠が下痢/食事/薬で吸収されない? )。食後だと吸収量が約40%低下し、血中濃度は60%低下します。
- あくまで筆者の経験上ですが空腹時に飲んだとしても、アレグラ錠®(フェキソフェナジン)程度の弱い効果しかない。
- ジルテック®(セチリジン塩酸塩)、ザイザル®(レボセチリジン塩酸塩)、ルパフィン®(ルパタジンフマル酸塩)は、効果不十分なら成人通常用量を増やしても良いが、ビラノア®(ビラスチン)は増量が認められていない。
- 新薬なので薬代がやや高い(薬価71.3円/1錠、セチリジン11.70〜31.50円/1錠)
気管支喘息を合併している場合、鼻閉(鼻詰まり)が強い場合、眠気に弱い場合にお勧めのロイコトリエン受容体拮抗薬
ロイコトリエン受容体拮抗薬は
-
プランルカスト(オノン®);気管支喘息、アレルギー性鼻炎に保険適応
-
モンテルカスト(キプレス®、シングレア®);気管支喘息のみに保険適応
で、
- 抗アレルギー薬と作用機序が異なるため、併用が可能。強力にアレルギーを抑え、甲状腺機能亢進症/バセドウ病の活動性が上がるのを防ぐため
- 鼻閉(鼻詰まり)にロイコトリエンが関与しているため、それらが強い場合
- 眠気がかなり少ない
- 気管支喘息にも有効
また、モンテルカストとセチリジンの併用投与は、軽度-中等度の甲状腺眼症:バセドウ病眼症の眼窩内うっ血・炎症に有効との報告があります(Ophthalmic Plast Reconstr Surg. 2008 Jul-Aug;24(4):257-61.)
OTC医薬品は薬局・ドラッグストアなどで処方せん無しに購入できる医薬品(いわゆる市販薬)です。そのため、間違った使い方をするとトンデモナイことになる場合があります。医療機関で処方されるアレルギー性鼻炎の点鼻薬は、抗アレルギー薬あるいは副腎皮質ステロイド単独であり、OTC医薬品(市販薬)の一部も同じです。例えば、
- ナザールAR、コンタック鼻炎スプレー、パブロン鼻炎アタックJL、フルナーゼ点鼻薬、エージーアレルカットEXcはステロイド薬(ベクロメタゾンプロピオン酸エステル)単独
- ザジテンAL点鼻スプレー、パブロン点鼻Zは抗アレルギー薬(ケトチフェンフマル酸塩)単独。
※ナザール「スプレー」、パブロン点鼻Sは下記の血管収縮薬を含むので注意
等ですが、実はOTC医薬品(市販薬)のごく少数なのです。問題はOTC医薬品(市販薬)の大多数を占めるアドレナリン作動薬(血管収縮薬)を含むもの)で、血管収縮薬(テトラヒドロゾリン、ナファゾリン)は鼻づまりに対して即効性があります(確かに非常に良く効く)が、
- 長期連用により反応性の低下(効きが悪くなる)や局所粘膜の二次充血(かえって鼻粘膜が腫れる薬剤性鼻炎)
- 体内にも吸収され高血圧症の悪化(慎重投与)
- 体内にも吸収され冠動脈疾患(狭心症、心筋梗塞)の悪化(慎重投与)
- 体内にも吸収され糖尿病の悪化(慎重投与)
- 体内にも吸収され甲状腺機能亢進症/バセドウ病の悪化(慎重投与);甲状腺機能が長期間安定している甲状腺機能亢進症/バセドウ病なら影響は少ないかもしれません(ここは慎重投与でよい)が、甲状腺ホルモンが安定していない、正常化して間もない、あるいは正常化していない甲状腺機能亢進症/バセドウ病の交感神経刺激症状(発汗、頻脈、動悸、体重減少、手のふるえ、不眠など)が増強します(この状態はどう考えても禁忌だろ)。
をおこす危険性があります。敢えて血管収縮薬(テトラヒドロゾリン、ナファゾリン)含有点鼻薬の商品名は書きませんが、甲状腺ホルモンが安定していない、正常化して間もない、あるいは正常化していない甲状腺機能亢進症/バセドウ病の方はくれぐれも成分を確認した上で購入してください。
スギ花粉症のアレルゲン免疫療法(減感作療法)は、アレルゲンとなるスギ花粉を舌下(シダトレン®→販売中止でシダキュア®に変更)あるいは皮下に、3~5年年間投与します。体の免疫系が、スギ花粉をアレルゲンと認識しない様にするのが目的です。でも、余程、時間に余裕がある人でないと不可能な治療です。
某学会の作成したガイドラインによると、スギ花粉症治療の第一選択は、春先に限定した抗アレルギー薬中心の対症療法ではなく、アレルゲン免疫療法(減感作療法)だそうです(頭おかしんじゃない?)。
寛解していたバセドウ病にアレルゲン免疫療法(減感作療法)目的でスギ花粉(シダトレン®)を投与し、甲状腺機能亢進症/バセドウ病を再発させた報告があります(第52回 日本小児内分泌学会学術集会 206 スギ花粉症に対するアレルゲン免疫療法(シダトレン®)の併用によりバセドウ病が再燃した1例)
甲状腺機能亢進症/バセドウ病の患者にアレルゲン免疫療法(減感作療法)を行うのは如何なものかと思います。
その他、アレルゲン免疫療法(減感作療法)が行えないのは、
- 重症気管支喘息患者;喘息発作を誘発したら窒息死
- β遮断薬(ベータブロッカー)服薬中;喘息発作を誘発する危険[ベータブロッカー(β-blocker)投与で気管支喘息が増悪]
- 65歳以上の高齢者;別に65歳以上でも良いと思うのですが
- 妊婦、授乳婦
- ステロイド薬を服薬中;全身性エリテマトーデス(SLE)、ネフローゼ症候群
- 悪性腫瘍;甲状腺癌も含まれるよね
甲状腺がん全摘術の既往歴がある患者に、季節性アレルギーに対するアレルゲン免疫療法注射を行った翌日、急性帯状疱疹をおこした報告があります[Med Acupunct. 2021 Dec 1;33(6):443-446.]。 - 自己免疫疾患;当然、橋本病・バセドウ病も。
- 免疫不全患者;甲状腺機能が正常化していない甲状腺機能低下症(甲状腺機能低下症と免疫力低下)
日本小児アレルギー学会の「鶏卵アレルギー発症予防に関する提言」では、
- 鶏卵アレルギー発症予防を目的として、医師の管理のもと、生後6か月から 鶏卵の微量摂取を開始することを推奨する。
- 鶏卵の摂取を開始する前に、アトピー性皮膚炎を寛解させることが望ましい。
- 乳児期早期発症のアトピー性皮膚炎,特に重症例では、この提言を実行するにあたりア レルギー専門医( 小児科,皮膚科) や乳児期アトピー性皮膚炎や食物アレルギーの管理に精通している医師による診療を受けることを推奨する。
- 鶏卵の感作のみを理由とした安易な鶏卵除去を指導することは推奨されない。
となっています。
耳鼻咽喉科などで、抗アレルギー剤として処方されている薬には、セレスタミン配合錠®という副腎皮質ステロイド(ベタメタゾン)を含有する、トンデモナイものが混じっている事があります。短期間で使用する場合、問題ありませんが、長期に服用すると、
- 副腎皮質ステロイドの過剰状態になり、ステロイドホルモン作用が全身に現れる医原性クッシング症候群
- 自身の副腎が廃用萎縮して副腎皮質ホルモンを産生できなくなる副腎皮質機能低下症(慢性副腎不全)。セレスタミン配合錠無しでは生きていけなくなり、セレスタミン配合錠を中止すると、急性副腎不全(副腎クリ-ゼ)。
- ステロイドホルモンがケガの功名で、その免疫抑制作用により自己免疫性甲状腺疾患(橋本病/バセドウ病)を抑えていますが、急にセレスタミン配合錠を中止すると、自己免疫がリバウンドし甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症が進行、無痛性甲状腺炎が発症したりします。
(P1-08-03 副腎皮質ホルモン中止後に心不全を発症し診断されたバセドウ病の1例)
甲状腺関連の上記以外の検査・治療 長崎甲状腺クリニック(大阪)
長崎甲状腺クリニック(大阪)とは
長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査など]による甲状腺専門クリニック。大阪府大阪市東住吉区にあります。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,東大阪市,生野区,天王寺区,浪速区も近く。