甲状腺機能亢進症/バセドウ病に似た発達障害・ADHD(注意欠陥/多動性障害) ・自閉症スペクトラム障害(ASD)[橋本病 長崎甲状腺クリニック 大阪]
甲状腺:専門の検査/治療/知見② 橋本病 バセドウ病 甲状腺エコー 長崎甲状腺クリニック大阪
甲状腺専門の長崎甲状腺クリニック(大阪府大阪市東住吉区)院長が海外・国内論文に眼を通して得た知見、院長自身が大阪市立大学(現、大阪公立大学) 代謝内分泌内科で得た知識・経験・行った研究、甲状腺学会で入手した知見です。
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長崎甲状腺クリニック(大阪)は甲状腺専門クリニックです。発達障害・ADHD(注意欠陥/多動性障害) ・自閉症スペクトラム障害(ASD)の診療を行っておりません。
発達障害・ADHD(注意欠陥/多動性障害) ・自閉症スペクトラム障害(ASD)はバセドウ病と極めてよく似ていますが、似ているだけで全くの別物(無関係の病気)です。
非常に紛らわしいです。
Summary
ADHD(注意欠陥/多動性障害)は発達障害で多動性、衝動性、不注意など小児甲状腺機能亢進症/バセドウ病のような症状が大人におこる。一方、甲状腺機能亢進症/バセドウ病が精神科でADHDと間違えられ、精神安定剤で治療されている事も。妊娠中に母親が未治療の甲状腺機能亢進症なら子供のADHDリスク増加。新生児(特に女児)期のTSH値が低ければADHDリスク増加。自閉症スペクトラム障害(ASD)も発達障害で社会性・対人関係・コミュニケーション障害。妊娠中に母親が甲状腺機能低下症なら子供のASDリスク増加。甲状腺ホルモン剤で治療してもリスクは軽減されない。
Keywords
甲状腺機能亢進症,バセドウ病,注意欠陥/多動性障害,発達障害,ADHD,甲状腺,自閉症スペクトラム障害,甲状腺ホルモン,甲状腺機能低下症,ASD
ADHD(注意欠陥/多動性障害:attention deficit hyperactivity disorder)は、精神科/神経科/心療内科で扱われる発達障害で約70%が遺伝性とされます。ノルアドレナリンなどの脳内の神経伝達物質の機能障害が原因とされます。
ADHD(注意欠陥/多動性障害)の症状は、
- 多動性:落ち着きがなく、貧乏ゆすりをする、しゃべり出すと止まらず、他のことを忘れて自分のことばかりしゃべる。順番待ちが苦手。
- 衝動性:思ったことをすぐに口にする・衝動買いをする。注意されると感情を爆発させ、手を出してしまうこともある。
- 不注意:
・仕事などでケアレスミスを連発(自閉症スペクトラム障害に比べて高頻度)・忘れ物が多い・約束/時間を守れない・計画性がない
など、小児甲状腺機能亢進症/バセドウ病のような症状が大人におこる病気です。甲状腺機能亢進症/バセドウ病が、精神科/神経科/心療内科でADHDと間違えられ、精神安定剤で治療されている事があります。
また、難病指定された甲状腺ホルモン不応症(レフェトフ症候群)の可能性もあり、いずれにせよ甲状腺ホルモンを測定する必要があります。
妊娠中に母親が未治療の甲状腺機能亢進症なら、子供のADHD(注意欠陥/多動性障害)のリスクが増加します。(BJOG. 2014 Oct;121(11):1365-74.)
新生児(特に女児)期のTSH値が低ければ、ADHD(注意欠陥/多動性障害)になるリスクが増加します。(Paediatr Perinat Epidemiol. 2020 Sep;34(5):590-596.)
ADHD(注意欠陥/多動性障害)児のTSH値は有意に低く、FT3値は有意に高くなります。(Sci Rep. 2020 Oct 26;10(1):18285.)
甲状腺ホルモン不応症(レフェトフ症候群)では、幼児期にADHD(注意欠陥/多動性障害)を呈する事があります。
ADHD(注意欠陥/多動性障害)の治療は、発達障害と治療。
自閉症スぺクトラム障害(ASD)[自閉スペクトラム症]は、社会性、コミュニケーション、イマジネーションの三つの障害とされ、
- 言語発達の障害を伴う古典的自閉症(Kanner 型自閉症)
- 言語発達の障害がなく、知的能力も平均的か、それを上回るAsperger 症候群
を合わせた疾患概念です。
甲状腺機能亢進症/バセドウ病に似ている自閉症スペクトラム障害(ASD)[自閉スペクトラム症]は、発達障害の1つで、
- 男児は女児の4倍、2~3 歳頃から発症
- 知的障害・運動障害なく、身辺が自立し一見正常
- 感覚刺激に対する敏感さ、または鈍感さ
- 落ち着いて座っていられない、自分が興味のあることだけを一方的に話す(社会性・対人関係・コミュニケーション障害)
- 物事に対するこだわりが強い
- 他の発達障害との合併が多い[ADHD(注意欠陥/多動性障害)]
で甲状腺機能亢進症/バセドウ病を疑ってしまいます。
妊娠中に母親が甲状腺機能低下症なら、子供の自閉症スペクトラム障害(ASD)のリスクが増加します。しかし、甲状腺ホルモン剤で治療しても、リスクは軽減されません。甲状腺ホルモンの直接的な影響ではないようです。(Epidemiology. 2020 May;31(3):409-417.)(BJOG. 2014 Oct;121(11):1365-74.)
新生児の甲状腺機能と自閉症スペクトラム障害(ASD)の関連は認められませんでした。(Autism Res. 2017 Apr;10(4):585-592.)
自閉症スペクトラム障害(ASD)男児のTSH値は有意に低くなります。(J Neuroinflammation. 2017 Jun 2;14(1):113.)
甲状腺機能亢進症/バセドウ病に似ている発達障害は、先天的な中枢神経障害で、全人口の10%と、かなりの患者が存在します。
発達障害は、
- ADHD(注意欠陥/多動性障害)
- 自閉症スペクトラム障害(ASD)
-
学習障害;文字の読み書きや計算が困難。知的な遅れが原因ではない
などが該当し、単独の場合、複数が合併する場合があります。
先天的な中枢神経障害なので、必ずしも親の育て方や、愛情不足、本人の性格が原因ではありません。しかし、馴染めない環境が症状を悪化させます。幼稚園などで集団生活する年齢になると、多動やコミュニケーションの苦手さが目立つようになり、発達障害に周囲が気づきます。
また、親のストレスから虐待に発展する事もあります。
チック(チック症)は幼少期から小児期にかけて発症する発達障害の一つです。
チック(チック症)には
- 素早い瞬目
- 首を左右に振る動作
- 非律動的に顔をしかめる
などを繰り返す(運動チック)。睡眠中にはみられず、リラックスしている時に多く出現。短時間であれば、自分で抑制可能。
- うなり
- 汚言、卑猥な言葉
などの音声チックがあります。
トゥレット症候群は、音声チックと複数の運動チックが、1年以上持続する病態。
いずれも神経学的な異常を認めません。10代後半になると症状は軽快することが多い。
母親が自己免疫性甲状腺疾患を持っていると、子供はチック(チック症)やトゥレット症候群を発症しやすくなるとの報告があります。[Dev Med Child Neurol. 2019 Aug;61(8):984-988.]
チック(チック症)を伴う12歳男児の橋本脳症の報告があります。[Indian J Pediatr. 2014 Oct;81(10):1105-7.]
甲状腺ホルモン不応症に合併したトゥレット症候群の報告があります。[J Neuropsychiatry Clin Neurosci. 2013 Fall;25(4):E09-10.]
甲状腺関連の上記以外の検査・治療 長崎甲状腺クリニック(大阪)
- 甲状腺編
- 甲状腺編 part2
- 内分泌代謝(副甲状腺/副腎/下垂体/妊娠・不妊等
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長崎甲状腺クリニック(大阪)とは
長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査など]による甲状腺専門クリニック。大阪府大阪市東住吉区にあります。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,東大阪市,生野区,浪速区も近く。