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腺腫様甲状腺腫(腺腫様結節) [日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医 橋本病 バセドウ病 甲状腺エコー検査 甲状腺機能低下症 長崎甲状腺クリニック 大阪]

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腺腫様甲状腺腫 気管圧排

甲状腺の基礎知識を初心者でもわかるように、長崎甲状腺クリニック(大阪府大阪市東住吉区)院長が解説します。

高度で専門的な知見は甲状腺編 甲状腺編 part2 を御覧ください。

長崎甲状腺クリニック(大阪)以外の写真・図表はPubMed等で学術目的にて使用可能なもの、public health目的で官公庁・非営利団体等が公表したものを一部改変しています。引用元に感謝いたします。

Summary

腺腫様甲状腺腫は破壊と増殖(過形成)で生じる腺腫様結節の集合体で、原因は橋本病バセドウ病、遺伝性甲状腺ホルモン合成障害、薬剤性、ヨード(ヨウ素)過剰摂取、家族性など何でも良い。症状は甲状腺の腫れ、甲状腺機能低下症機能性甲状腺腫、気管を圧排し呼吸困難、食道を圧迫して嚥下障害、閉塞性睡眠時無呼吸症候群腺腫様結節に混ざって甲状腺癌が発生。穿刺細胞診で採取される濾胞細胞は多く、シート状、濾胞状、樹枝状、乳頭状で重積あるが細胞異型が無い。癌が疑われる場合や、甲状腺機能亢進症をおこす機能性甲状腺腫は手術適応。TSH抑制療法は行わない。

Keywords

腺腫様甲状腺腫,過形成,腺腫様結節,原因,症状,甲状腺機能低下症,手術,検査,穿刺細胞診,甲状腺

腺腫様甲状腺腫とは

腺腫様甲状腺腫の概要

腺腫様甲状腺腫は、どのようにして生じるか?

  1. まず、破壊と変性(甲状腺の組織が壊れる):出血、嚢胞変性(組織が溶ける)、線維化、石灰化、炎症
  2. 2次的に、甲状腺の正常細胞が増殖(過形成:正常細胞が過度に増殖)→結節(しこり)を形成[非腫瘍性結節、腺腫様結節、腫瘍の様な結節、要するに「腫瘍もどき、偽物の腫瘍」]
  3. 腺腫様結節が多発する→腺腫様甲状腺腫

つまり、腺腫様甲状腺腫破壊と増殖による甲状腺の結節(しこり、腺腫様結節)の集合体

※甲状腺癌取り扱い規約では、難しい言葉になりますが「甲状腺が非腫瘍性・結節性増殖により腫大する多発性病変」。

破壊と増殖の原因は、何であっても良く、

  1. 橋本病
  2. バセドウ病
  3. 先天性甲状腺機能低下症の中でも遺伝性甲状腺ホルモン合成障害
  4. 薬剤性
  5. ヨード(ヨウ素)過剰摂取(海外ではヨウ素(ヨード)欠乏
  6. 家族性腺腫様甲状腺腫 (遺伝性)
  7. 先端巨大症;成長ホルモン(GH)による細胞増殖刺激と細胞自然死(アポトーシス)抑制により、76%に腺腫様甲状腺腫

など全て該当します。

腺腫様甲状腺腫

ただし、甲状腺結節を病理組織のみで、非腫瘍性(腺腫様結節)か腫瘍性(濾胞性腫瘍)か鑑別するのは困難なため、2022年甲状腺腫瘍WHO分類第5版では「Thyroid follicular nodular disease(TFND)」と言う名称が新設されました。

またもや、病理屋さん特有の発想で、病理組織から甲状腺癌と診断できない結節すべてを含んでしまうため、腫瘍分類の意味がありません。

腺腫様甲状腺腫の症状

腺腫様甲状腺腫の症状は、

  1. 甲状腺腫の腫れ
  2. 破壊性変化が優位だと、甲状腺ホルモンを作る細胞が減り、甲状腺機能低下症
  3. 腺腫様結節が遺伝子変異し、甲状腺ホルモンを作る刺激信号に制限が掛からなくなり、甲状腺機能亢進症をおこす機能性甲状腺腫(バセドウ病の抗体が陰性の甲状腺機能亢進症---機能性甲状腺腫/甲状腺機能性結節
     
  4. 腺腫様結節に混ざって甲状腺癌が発生/
    伊藤病院の報告では、腺腫様甲状腺腫として手術した301例中18例(6.0%)に甲状腺癌がみつかったとされます。[日本臨床外科医学会雑誌.1997; 58(4):729-34]
    野口病院の報告では、組織学的に腺腫様甲状腺腫と診断された患者の30.7%に甲状腺がん(10mm以下が約54%、10mm以上が約46%)を認めた。発見された甲状腺がんの石灰化の頻度は10mm以下で約57%、10mm以上で約84%。[Surg Today. 1997;27(6):495-9.]
     
  5. 気管を圧排し、呼吸困難、閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)
腺腫様甲状腺腫に甲状腺乳頭癌が発生1

腺腫様甲状腺腫甲状腺乳頭癌が発生1

腺腫様甲状腺腫に甲状腺乳頭癌が発生2

腺腫様甲状腺腫甲状腺乳頭癌が発生2

腺腫様甲状腺腫に甲状腺乳頭癌が発生3

腺腫様甲状腺腫甲状腺乳頭癌が発生1

腺腫様甲状腺腫 気管圧排  超音波(エコー)画像

腺腫様甲状腺腫 気管圧排 超音波(エコー)画像

橋本病を基盤とする腺腫様甲状腺腫

橋本病は自己免疫による甲状腺組織の破壊です。破壊されれば、当然、修復するための組織増生(細胞増殖、線維化)が起こりますが、元通りの形(甲状腺特有の濾胞構造)にはなりません。乳頭状、シート状など無秩序に増殖した過形成細胞jは、一部に出血、壊死を伴い腺腫様結節になります。

橋本病を基盤とする腺腫様甲状腺腫(水平断)

橋本病を基盤とする腺腫様甲状腺腫 (水平断);黒い低エコーなところは橋本病の炎症・破壊性変化。大小多数の白い粒状の結節は腺腫様結節

橋本病を基盤とする腺腫様甲状腺腫(垂直断)

橋本病を基盤とする腺腫様甲状腺腫 (垂直断)

橋本病を基盤とする腺腫様甲状腺腫

橋本病を基盤とする腺腫様甲状腺腫;黒い低エコーなところは橋本病の炎症・破壊性変化。大小多数の白い~やや白い粒状の結節は腺腫様結節

橋本病を基盤とする腺腫様甲状腺

橋本病を基盤とする腺腫様甲状腺腫 (水平断);黒い低エコーなところは橋本病の炎症・破壊性変化。大小多数の白い粒状の結節は腺腫様結節

橋本病を基盤とする腺腫様甲状腺2

橋本病を基盤とする腺腫様甲状腺腫 (垂直断)

橋本病を基盤とする腺腫様甲状腺腫

橋本病を基盤とする腺腫様甲状腺腫;右葉は腺腫様結節の集合体。左葉は橋本病の破壊性変化のみ。

橋本病を基盤とする腺腫様甲状腺腫

橋本病を基盤とする腺腫様甲状腺腫;右葉は腺腫様結節の集合体。左葉は橋本病の破壊性変化のみ。

バセドウ病を基盤とする腺腫様甲状腺腫

バセドウ病ではバセドウ病抗体 TRAb(TSHレセプター抗体)・TSAb(TSHレセプター抗体[刺激型]が甲状腺濾胞細胞を刺激し、甲状腺ホルモン産生を促すと同時に、過形成も促進します。過形成した甲状腺濾胞細胞は血管内皮細胞増殖因子(VEGF)を産生し、血管増殖が活発になります。(Eur Thyroid J. 2018 Jun;7(3):111-119.)(Hum Pathol. 2001 Jan;32(1):10-7.)

バセドウ病を基盤とする腺腫様甲状腺腫 超音波(エコー)画像
バセドウ病を基盤とする腺腫様甲状腺腫

バセドウ病を基盤とする腺腫様甲状腺腫;大小多数の白い粒状の結節は腺腫様結節

バセドウ病を基盤とする腺腫様甲状腺腫

バセドウ病を基盤とする腺腫様甲状腺腫

バセドウ病を基盤とする被膜付きの腺腫様結節

バセドウ病を基盤とし、被膜を有する腺腫様結節

バセドウ病を基盤とする被膜付きの腺腫様結節 ドプラーモード

バセドウ病を基盤とし、被膜を有する腺腫様結節 ドプラーモード

バセドウ病を基盤とする被膜付きの腺腫様結節(拡大)

バセドウ病を基盤とし、被膜を有する腺腫様結節 (拡大)。

さらに詳しいエコー上の腺腫様甲状腺腫と甲状腺乳頭癌との鑑別(専門的過ぎます、医療関係以外の方は無視してください)

超音波(エコー)画像上、腺腫様結節甲状腺乳頭癌の鑑別は甲状腺専門医でも難しい場合がある。辺縁粗雑でなくとも、辺縁不整、内部不均質、石灰化著明な腫瘍は、穿刺細胞診を行う他ない。縦横比(D/W)が1.0以上なら悪性の可能性が高い。エラストグラフィーで硬ければ甲状腺癌、軟らかいなら良性甲状腺結節の可能性が高い。複数回細胞診して良性判定でも、完全に悪性を否定できない。超音波(エコー)画像上、甲状腺髄様癌に見える場合もある。上に凸で、腫瘤が前方被膜を押し上げているため甲状腺乳頭がんを疑われたが、穿刺細胞診の結果は腺腫様結節のケースもある。

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 超音波(エコー)画像上における腺腫様結節甲状腺乳頭癌の鑑別は甲状腺専門医でも難しい場合があります。写真の様に、辺縁不整、内部不均質、石灰化著明な腫瘍は、どちらであってもおかしくありません。ここは、穿刺細胞診を行う他ありません。

穿刺細胞診を行い腺腫様結節ではなく甲状腺乳頭癌だったケース

腺腫様結節(乳頭癌の鑑別難)

縦横比(D/W;depth width ratio)が参考に

一般的に腫瘍の縦横比(D/W;depth width ratio)が大きい(Taller than wide finding、1.0以上)と悪性の可能性が高くなります。

1.0をカットオフ値とした縦横比(D/W)のTaller than wide findingは、

  1. 悪性が疑われる任意の断面;感度(68%)、陰性予測値(87.7%)、最も正確で高感度
  2. 横断面;感度低いが特異度83.5%
  3. 縦断面;感度低いが特異度94.5%

(Thyroid. 2011 Nov;21(11):1249-53.)

石灰化した腺腫様結節(乳頭癌・髄様癌との鑑別要)

腺腫様結節(甲状腺乳頭癌髄様癌との鑑別要)

石灰化した腺腫様結節(乳頭癌・髄様癌との鑑別要)ドプラーモード

腺腫様結節(甲状腺乳頭癌髄様癌との鑑別要)ドプラーモード

腺腫様甲状腺腫と甲状腺乳頭癌との鑑別難

甲状腺乳頭癌との鑑別難だが腺腫様結節

エラストグラフィーが役に立つことも

悪性腫瘍は硬いため、超音波(エコー)プローブによる圧迫で縮まないと考えられています(AJR Am J Roentgenol. 2010 May;194(5):W420-4.)。皮膚の上から甲状腺腫瘍の直上を超音波(エコー)プローブで圧迫して、どれくらい縮んだか[歪(ひずみ)の程度]を測定すれば、甲状腺腫瘍の硬さが分かります。硬ければ甲状腺癌、軟らかいなら良性甲状腺結節の可能性が高くなります。それを調べるのがエラストグラフィーです。[エラストグラフィー(甲状腺癌などの硬さを瞬時に診断)]

ケース①

腺腫様結節(乳頭癌の様にも見える)

腺腫様結節(縦横比(D/W)>1.0、不整型、低エコー、辺縁粗雑、微細石灰化を伴い甲状腺乳頭癌の様にも見える)

腺腫様結節(エラストグラフィーで鑑別)

腺腫様結節エラストグラフィーでは、軟らかいために見えます。)

ケース②

甲状腺乳頭癌が疑われるが5回以上細胞診しても良性

腺腫様結節(低エコー、微細石灰化が著明で甲状腺乳頭癌の様にも見える);甲状腺乳頭癌を疑われたが、5回以上、細胞診しても良性判定。

甲状腺乳頭癌が疑われるが5回以上細胞診しても良性 エラストグラフィー

腺腫様結節エラストグラフィーで鑑別;甲状腺乳頭癌を疑われたが、5回以上、細胞診しても良性判定。エラストグラフィーでは緑色で硬くない(最も、それだけでは悪性を完全に否定できないが)。

ケース③

腺腫様甲状腺腫と甲状腺乳頭癌の鑑別 エラストグラフィーが役に立った

腺腫様甲状腺腫甲状腺乳頭癌の鑑別 エラストグラフィーが役に立った;境界不明瞭、微細石灰化著明で甲状腺乳頭癌を疑った。

腺腫様甲状腺腫と甲状腺乳頭癌の鑑別 エラストグラフィーが役に立った2

エラストグラフィーで軟らかく、穿刺細胞診でも良性所見

腺腫様甲状腺腫と甲状腺乳頭癌の鑑別 エラストグラフィーが役に立った3

腺腫様甲状腺腫甲状腺乳頭癌の鑑別 エラストグラフィーが役に立った;境界不明瞭、微細石灰化著明で甲状腺乳頭癌を疑った。

腺腫様甲状腺腫と甲状腺乳頭癌の鑑別 エラストグラフィーが役に立った4

エラストグラフィーで軟らかく、穿刺細胞診でも良性所見

穿刺細胞診しないと分からない

穿刺細胞診しないと分からない(甲状腺乳頭癌 or 腺腫様結節)

形状は整、等エコー、tumor in tumorだが、微細石灰化を伴い甲状腺乳頭癌の可能性も否定できない。穿刺細胞診しないと決着しません。

穿刺細胞診しないと分からない(甲状腺乳頭癌 or 腺腫様結節)ドプラーモード

穿刺細胞診しないと甲状腺乳頭癌の可能性を否定できない結節。ドプラーモード。

乳頭癌に見えるが腺腫様結節

低エコー、多発性の微細石灰化を有し、甲状腺乳頭癌に見えます。しかし、何度細胞診しても良性で腺腫様結節(最も、それだけでは悪性を完全に否定できないが)

腺腫様結節 甲状腺乳頭癌との鑑別難

等エコーながら多発性の微細~斑状石灰化を有し、甲状腺乳頭癌に見えます。前方被膜が一部不明瞭に見えますが、被膜浸潤はありません。また、一部境界不明瞭ですが粗雑と言うほどではありません。

甲状腺乳頭癌・髄様癌に見えるが腺腫様結節

境界不明瞭、低エコーで多発性の粗大石灰化を有し、甲状腺乳頭癌あるいは甲状腺髄様癌に見えます。しかし、血清カルシトニン正常、何度細胞診しても良性で腺腫様結節

腺腫様結節 乳頭癌との鑑別難

境界不明瞭、多発性の粗大石灰化を有し、甲状腺乳頭癌あるいは甲状腺髄様癌に見えます。しかし、血清カルシトニン正常、何度細胞診しても良性で腺腫様結節

甲状腺乳頭癌のような微細石灰化だが腺腫様結節

甲状腺乳頭癌のような微細石灰化を有し、境界不明瞭だが腺腫様結節;穿刺細胞診しないと分かりません。

甲状腺乳頭癌のような微細石灰化だが腺腫様結節(拡大)

甲状腺乳頭癌のような微細石灰化を有し、境界不明瞭だが腺腫様結節(拡大)

甲状腺乳頭癌を疑う石灰化だが腺腫様結節

線状石灰化だけでなく、甲状腺乳頭癌のような微細石灰化を伴うが、4回穿刺細胞診しても腺腫様結節(最も、それだけでは悪性を完全に否定できないが)。

甲状腺乳頭癌に見えるが腺腫様結節

辺縁粗雑ではないが、不整形、低エコー、微細石灰化を伴い甲状腺乳頭癌に見える。穿刺細胞診では腺腫様結節

甲状腺乳頭癌に見えるが腺腫様結節(拡大)

辺縁粗雑ではないが、不整形、低エコー、微細石灰化を伴い甲状腺乳頭癌に見える。しかし、腺腫様結節(拡大)

甲状腺乳頭癌に見えるが腺腫様結節 2-1

辺縁粗雑ではないが、不整形、低エコー、微細石灰化を伴い甲状腺乳頭癌に見える。穿刺細胞診では腺腫様結節。いや、例え「正常または良性」の判定が出ても疑わしい見え方です。

甲状腺乳頭癌に見えるが腺腫様結節(拡大) 2-1

辺縁粗雑ではないが、不整形、低エコー、微細石灰化を伴い甲状腺乳頭癌に見える。穿刺細胞診では腺腫様結節。(拡大)

甲状腺乳頭癌に見えるが腺腫様結節 エラストグラフィー

甲状腺乳頭癌に見えるが腺腫様結節 エラストグラフィー;非常に軟らかいために見えます。(最も、それだけでは悪性を完全に否定できないが)。

上に凸なので甲状腺がんが疑われたが腺腫様結節

上に凸なので甲状腺がんが疑われたが腺腫様結節

上に凸で、腫瘤が前方被膜を押し上げているため甲状腺乳頭がんを疑われたが、穿刺細胞診の結果は腺腫様結節

上に凸なので甲状腺がんが疑われたが腺腫様結節 ドプラーモード

上に凸なので甲状腺がんを疑われたが腺腫様結節 ドプラーモード

上に凸なので甲状腺がんが疑われたが腺腫様結節(拡大)

上に凸なので甲状腺乳頭がんを疑われたが腺腫様結節(拡大)

上に凸なので甲状腺がんが疑われたが腺腫様結節 エラストグラフィー

上に凸なので甲状腺がんを疑われたが腺腫様結節 エラストグラフィー;非常に軟らかいために見えます。

腺腫様結節に見えるが甲状腺のう胞腺腫(甲状腺嚢胞腺腫)

甲状腺のう胞腺腫(甲状腺嚢胞腺腫)内部の粘稠な液体(コロイド様物質)が、実質(生きた組織)の様に見えて、腺腫様結節と間違える場合があります。生きた組織ではないため、ドプラーモードにて内部血流を認めません。

腺腫様結節に見えるが甲状腺のう胞(拡大)

腺腫様結節に見えるが甲状腺のう胞腺腫(甲状腺嚢胞腺腫)(拡大)

腺腫様甲状腺腫の細胞像

甲状腺の細胞が増殖しただけ(過形成結節)の腺腫様甲状腺腫の細胞像は、細胞の異型性が乏しい濾胞性腫瘍良性濾胞腺腫濾胞癌)と類似しているため、両者を鑑別するのは難く、エコー所見と合わせて診断しなければなりません。(写真;バーチャル臨床甲状腺カレッジより)

(以下の細胞診の所見は、医療関係者以外の方は無視してください。写真のみご覧になり、「こんなものか」と思っていただければ十分です。)

  1. 採取される濾胞細胞は多く、シート状、濾胞状、樹枝状、乳頭状(甲状腺乳頭癌と鑑別)とあらゆる配列があります。ただし、変性部分、壊死部分から採取した場合、「細胞数少数」、「濾胞細胞を認めず。赤血球のみ」との結果になります。
  2. 濾胞細胞が多いため、甲状腺癌のように細胞集団の重積も見られますが、配列は整然としています。
  3. 核は小型が多いが大小不同あり、核形の不整は少なく、核内クロマチンは細顆粒状で目立ちません。
  4. 甲状腺癌と紛らわしい所見;濾胞細胞は多様、細胞の大小不同、好酸性細胞が認められます。
  5. 背景にはコロイド、泡沫細胞、間質細胞が存在します。
腺腫様結節 細胞診

腺腫様甲状腺腫の治療

腺腫様甲状腺腫の治療は、

  1. 原則、経過観察。甲状腺組織の破壊と増殖おこす原因の除去(例えば、ヨード(ヨウ素)過剰摂取制限など)。急激に増大する結節、石灰化を伴う結節あれば甲状腺癌を疑い精査。
  2. 甲状腺機能低下症を伴えば、甲状腺ホルモン剤(チラーヂン)補充
  3. 手術:①癌と確定できない、または癌ではない甲状腺腫瘍の手術適応甲状腺機能亢進症をおこす機能性甲状腺腫

はるか昔は、腺腫様甲状腺腫を縮小させる目的で、TSH抑制療法[甲状腺ホルモン剤(チラーヂン)を投与して、潜在性甲状腺機能亢進症(軽い甲状腺機能亢進症)を作り出す]が行われていましたが、不整脈・狭心症・心筋梗塞、骨粗鬆症を起こすため、現在では行われません。

甲状腺関連の上記以外の検査・治療    長崎甲状腺クリニック(大阪)

長崎甲状腺クリニック(大阪)とは

長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査など]による甲状腺専門クリニック。大阪府大阪市東住吉区にあります。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,天王寺区,東大阪市,生野区,浪速区も近く。

長崎甲状腺クリニック(大阪)


長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査等]施設で、大阪府大阪市東住吉区にある甲状腺専門クリニック。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,東大阪市近く

住所

〒546-0014
大阪府大阪市東住吉区鷹合2-1-16

アクセス

  • 近鉄「針中野駅」 徒歩2分
  • 大阪メトロ(地下鉄)谷町線「駒川中野駅」
    徒歩10分
  • 阪神高速14号松原線 「駒川IC」から720m

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