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2016.12.01

乱用される『メルカゾール』と『チラーヂン』の併用

乱用される『メルカゾール』と『チラーヂン』の併用

甲状腺(橋本病,バセドウ病,甲状腺エコー等)・動脈硬化内分泌代謝 専門の長崎甲状腺クリニック(大阪)からのお知らせです。甲状腺専門医として甲状腺機能低下症,橋本病,甲状腺機能亢進症,バセドウ病,内分泌などのホットな話題をお届けします。

乱用される『メルカゾール』と『チラーヂン』の併用(Block and Replacement Therapy)

『メルカゾール』と『チラーヂン』の併用(Block and Replacement Therapy)は、メルカゾール単独では、頻回に再発を繰り返す極めて不安定な甲状腺機能亢進症/バセドウ病において、甲状腺ホルモンを安定させるのに有効な(ある意味最終)手段の一つです。(その他の最終手段は、甲状腺全摘出術、131-I放射線内照射)

バセドウ病寛解率を高めることを目的とした方法でないため、半永久的に続きます(そりゃあ甲状腺ホルモンを下げるだけ下げて、下げた分を補充してりゃ永遠に終わらんわな)。バセドウ病の活動性が高過ぎ、半永久的にメルカゾールを切れない方にこそ有用な治療と言えます。

非常に残念なのは、

  1. 頻回に再発を繰り返している訳ではない初回発症の甲状腺機能亢進症/バセドウ病
  2. 加えて、さほど甲状腺が大きくなく、甲状腺ホルモン・バセドウ病抗体(TR-Ab, TS-Ab)も言うほど高くない
  3. ストレス・タバコ・アレルギーなどバセドウ病の活動性を上げる増悪因子に乏しい

患者に、最初からBlock and Replacement Therapyを使用される事です。普通にメルカゾールのみで治療していれば、何年あるいは何十年後には寛解し、薬が必要なくなる可能性を最初から奪い去ってしまいます。

さらに悪い事に、機序は解明されていませんが、甲状腺内の内部血流が低下しない(バセドウ病の活動性が消えないためか、強力に甲状腺ホルモン合成を抑えた事に対する生体の代償性防御反応か)事がほとんどです。このような患者さんに甲状腺腫瘍があり、穿刺細胞診が必要になっても、針を刺せば大出血と気道閉塞の危険あるため不可能です。

長崎甲状腺クリニック(大阪)では、このような患者さんに対して、可能なら『メルカゾール』と『チラーヂン』を同比率で減らし、『メルカゾール』単独でコントロールしようと試みます。私見ですが、Block and Replacement Therapyを長期間続けると、寛解しない状態が固定化し、『メルカゾール』と『チラーヂン』を同比率で減らそうとしても、もはや減らせなくなってしまう例が多くあります。

『プロパジール/チウラジール』と『チラーヂン』の併用も同じ事です。

詳しくは、 乱用される『メルカゾール』と『チラーヂン』の併用 を御覧ください。

今日は「乱用される『メルカゾール』と『チラーヂン』の併用(Block and Replacement Therapy)」の話でした。

文責:長崎甲状腺クリニック(大阪)院長 日本甲状腺学会認定専門医 長崎俊樹

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