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甲状腺機能低下症と精神神経病・うつ病 [甲状腺 専門医 橋本病 バセドウ病  甲状腺超音波(エコー)検査 内分泌 長崎甲状腺クリニック(大阪)]

甲状腺:専門の検査/治療/知見② 橋本病 バセドウ病 専門医 長崎甲状腺クリニック(大阪)

甲状腺の、長崎甲状腺クリニック(大阪市東住吉区)院長が海外論文に眼を通して得たもの、院長自身が大阪市立大学 代謝内分泌内科で行った研究、甲状腺学会で入手した知見です。

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抗うつ剤による甲状腺機能低下症 超音波(エコー)画像

炭酸リチウム(商品名リーマス)は、甲状腺と関連の深い薬です。うまく使えば治療になるし、精神神経科・心療内科で漫然と長期間投与され、甲状腺障害をおこすこと多々あります。

長崎甲状腺クリニック(大阪)は、甲状腺専門クリニックにつき、精神神経病・うつ病 自体の診療は行っておりません。

また、待合室で叫ぶ方、暴れる方、被害妄想で他の患者さんに暴言を吐く方は、当院では手に負えません。精神科と内分泌内科のある総合病院を受診して下さい。

Summary

甲状腺機能低下症では、うつ病や神経症の一部は脳内セロトニンの低下、甲状腺ホルモン投与で、縫線核領域のセロトニン(5-HT2)受容体の感受性が改善、うつ症状を改善させると推論される。選択的セロトニン再取込み阻害剤(SSRI)は、甲状腺機能低下症で効果無いとする論文もあり、選択的セロトニン再取込み阻害剤(SSRI)自体が甲状腺機能低下症おこす事も。うつ薬デュロキセチン(サインバルタ)はノルアドレナリン再取込み阻害薬で、甲状腺機能低下症のうつ症状を改善する可能性あり。精神科の薬を複数飲んで、「しゃべりにくい・だるい・眠い・太る」など甲状腺機能低下症/橋本病の様な症状に。

Keywords

甲状腺機能低下症,うつ病,神経症,セロトニン,甲状腺ホルモン,選択的セロトニン再取込み阻害剤,SSRI,抗うつ薬,サインバルタ,セロトニン受容体

甲状腺機能低下症の精神障害

甲状腺機能低下症を伴う橋本病の50-70%に精神症状を認めるとされます(精神科治療学 21(増):16-19,2006)。甲状腺ホルモン補充療法で身体症状は改善しても、精神症状の改善は遅れる事があります。

ただし、これらには、一部、粘液水腫性昏睡橋本脳症 が含まれる可能性があります。

甲状腺機能低下症の精神症状の原因として、脳神経細胞の代謝が低下、カテコラミン感受性の低下が考えられます。

甲状腺機能低下症とうつ病---セロトニンが関与?

甲状腺機能低下症とうつ病

セロトニン甲状腺機能低下症

セロトニンは人間の精神活動に影響し、うつ病や神経症の原因の一部は脳内セロトニンの低下です。

甲状腺機能低下症では、脳の低下したセロトニン反応が甲状腺ホルモン補充療法によって改善したとの報告があります。甲状腺ホルモン投与により、縫線核領域のセロトニン(5-HT2)受容体の感受性が改善、うつ症状を改善させると推論されます。

甲状腺機能低下症のうつ症状

甲状腺機能低下症のうつ症状は、一般的なうつ病の症状と同じで、

  1. 気分が落ち込む、やる気が起こらない
  2. 思考力が低下、仕事の能率が落ちる、覚えられない、人が何を言っているかすぐ理解できない
  3. 睡眠障害(脳の問題以外に閉塞性睡眠時無呼吸症候群 (OSAS)  もあります)
  4. 食欲低下
  5. 体がだるい、疲れが取れない

甲状腺機能低下症の妄想

甲状腺機能低下症のうつ病に伴う妄想も二次妄想で、第三者がある程度理解できる内容(心臓は悪くないが「動悸がする」など)です。統合失調症の一次妄想(「自分は火星人だ」など)とは異なります。

例外もあり、急激な幻覚幻聴妄想状態になり、精神科で統合失調症と診断された甲状腺機能低下症の報告があります。42歳の女性、主訴は「頭とお腹が急に締め付けられ4人くらいの人と会話している」 と支離滅裂なもので、最初に甲状腺機能低下症を疑う医者はいないでしょう。

入院時ルーチン検査で、TSH 644.4 lU/ml、FT3 0.9pg/ml、FT4 0.3ng/dlの重症甲状腺機能低下症が見つかりました。しかし、意識障害から精神症状おこす粘液水腫性昏睡 の診断基準は満たしていないようです。

甲状腺ホルモン補充療法で症状が改善したため、統合失調症でなく、甲状腺機能低下症による器質性妄想性障害(ICD-10 FO6.2)(要するに原因のある2次的な精神障害)です。

通常、甲状腺機能低下症そのものが原因でなく、橋本脳症 と考えるのが甲状腺専門医の常套ですが、橋本脳症は甲状腺ホルモン補充しても治まりません。

統合失調症と甲状腺機能低下症の違い
比較統合失調症と甲状腺機能低下症の精神症状比較

統合失調症と甲状腺機能低下症は共に妄想を起こしますが、甲状腺機能低下症の約25%に幻視がある点が異なります。幻視は、いないはずの人の顔、姿が見えたりするものです。(ただし、事故物件に住んでいる甲状腺機能低下症の方は含まれません)

(Jpn J Psychosom Med 53:1120−1124,2013)(医学と薬学 12:381-86,1984)(臨床精神医学 22: 1599-1605,1993)

選択的セロトニン再取込み阻害剤(SSRI)で甲状腺機能低下症のうつは改善するか?

選択的セロトニン再取込み阻害剤(SSRI)は、一見、脳内セロトニンを増やして甲状腺機能低下症のうつ症状を改善させると考えるのが自然です。しかし、選択的セロトニン再取込み阻害剤(SSRI)は、甲状腺機能低下症のうつ症状に効果が無いとする論文もあり真偽は不明です。

選択的セロトニン再取込み阻害剤(SSRI)は、同時に閉経後女性の大腿骨頸部骨密度(BMD)を低下させるという報告もあります(Bone. 2016 Aug;89:25-31.)。

デュロキセチン(商品名サインバルタ)は甲状腺機能低下症/潜在性甲状腺機能低下症のうつ症状を改善するか?

うつ薬デュロキセチン(商品名サインバルタ)は、セロトニンノルアドレナリン再取込み阻害薬で、脳内のセロトニンノルアドレナリンが上昇し、甲状腺機能低下症/潜在性甲状腺機能低下症のうつ症状を改善する可能性あります。

しかし、血中のセロトニンノルアドレナリンも上昇し、甲状腺機能低下症/潜在性甲状腺機能低下症により動脈硬化が進行していると、狭心症/心筋梗塞を誘発する危険があります。

抗うつ剤;塩酸セルトラリン(ジェイゾロフト®)で薬剤性甲状腺機能低下症

抗うつ剤;塩酸セルトラリン(ジェイゾロフト®)は、選択的セロトニン再取込み阻害剤(SSRI)です。

  1. 甲状腺機能低下症
  2. 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)低ナトリウム血症
  3. 高プロラクチン血症

など、内分泌系の副作用があります。選択的セロトニン再取り込み阻害により神経終末に増加したセロトニンが、なぜ甲状腺機能低下症を引く起こすのか不明です。

脳内のセロトニンが視床下部のTRH(TSH放出ホルモン)分泌を抑制するのが一因と言われます(Horm Metab Res. 1983 Jul;15(7):346-9.)。

しかし、甲状腺機能低下症患者に選択的セロトニン再取込み阻害剤(SSRI)を投与しても影響ないとの報告もあります。(Thyroid. 2009 Jul;19(7):691-7.) 

また、どう言う訳か選択的セロトニン再取込み阻害剤(SSRI)投与時のTSHが低い程、うつ病の改善度が大きいとされます。(J Psychiatry Neurosci. 2004 Sep; 29(5): 383–386. )

抗うつ剤による甲状腺機能低下症 超音波(エコー)画像

抗うつ剤による甲状腺機能低下症の超音波(エコー)所見は、

  1. 甲状腺腫無し
  2. 甲状腺内部の破壊性変化なし
  3. 甲状腺内部は低エコー輝度

甲状腺機能低下症/橋本病の心理テスト

甲状腺機能低下症 橋本病 バウムテスト

甲状腺機能低下症/橋本病の心理テスト(投影法:バウムテスト)の結果を、臨床心理士の方が報告されていました。「貧弱でいびつな樹」で、全身の代謝が低下した低活動性・低意欲を反映します。抑うつ・神経症に通ずるものです。

「臨床心理士のための甲状腺疾患入門」より

甲状腺機能低下症は心的外傷後ストレス障害(PTSD)起こし易い

PTSD(Post Traumatic Stress Disorder;心的外傷後ストレス障害)は、強いショック・恐怖・精神的ストレスがトラウマ(心の傷)となり、フラッシュバック・悪夢・不眠症、頭痛・めまい・吐き気おこします。脳の帯状回の血流低下が病態と考えられています。

甲状腺機能低下症は心的外傷後ストレス障害(PTSD)の独立した危険因子です。すなわち、甲状腺機能低下症は心的外傷後ストレス障害(PTSD)起こし易いです。一方、甲状腺機能亢進症/バセドウ病と心的外傷後ストレス障害(PTSD)に関連はありませんでした。(Psychol Med. 2019 Nov;49(15):2551-2560.)

その一方、

  1. 心的外傷後ストレス障害(PTSD)の重症度と甲状腺ホルモン値(FT3)の正の相関も報告されています。(Psychosom Med. 1995 Jul-Aug;57(4):398-402.)
  2. 心的外傷後ストレス障害(PTSD)患者のTSHは低いとされます(Psychoneuroendocrinology. 2006 Nov;31(10):1220-30.)
眼球運動による脱感作と再処理療法

PTSD(Post Traumatic Stress Disorder;心的外傷後ストレス障害)の薬を使わない治療は、EMDR;眼球運動による脱感作と再処理療法。眼を小刻みに動かせる事によりレム睡眠に近い状態を誘発、記憶の整理と取捨選択を誘導する科学的な精神療法です。

しゃべりにくい・だるい・眠い・太る、甲状腺機能低下症じゃないよ!精神科の薬が原因

精神科の薬を複数飲んでいて、「しゃべりにくい・だるい・眠い・太る」などの症状から甲状腺機能低下症/橋本病を疑い、長崎甲状腺クリニック(大阪)を受診される方がおられます。

甲状腺超音波(エコー)検査しても軽度の破壊性変化(橋本病性変化)のみで、甲状腺ホルモンも正常範囲内。「しゃべりにくい・だるい・眠い・太る」などの症状は、甲状腺が原因ではありません。

よこよく精神科の薬を確認すると、なんと強力な向精神薬がズラリ!ベゲタミン・エビリファイ・セロクエール・セレネース等々・・、これが原因です。

  1. 「しゃべりにくい」と言うより「ろれつが回らない」と言った方がよいでしょうか。統合失調症の方に処方される「抗精神病薬」一部の「抗うつ薬、気分安定薬」の副作用です。確かに甲状腺機能低下症から声帯がむくんで(浮腫になり)、しゃべりにくいのと良く似ています。
  2. 「だるい・眠い」。精神科の薬は、「抗うつ薬」ですら、ある程度の鎮静作用(脳を抑制する作用とも言えます)があります。脳を抑制するのですから、「だるい・眠い」は当たり前なのです。甲状腺機能低下症も脳の新陳代謝が低下するので同じような症状に見えます。
  3. 「体重増加・太る」は、成程、甲状腺機能低下症で脂肪の代謝・分解が低下するのと良く似ています。しかし、最近の精神科の薬の副作用で「体重増加・血糖上昇」するもが、やたら増えています。

「体重増加・血糖上昇」する精神科の薬

MARTA(多元受容体標的抗精神病薬)

  1. セロクエル(成分名:クエチアピンフマル酸塩)
  2. クロザリル(成分名:クロザピン)
  3. ジプレキサ(成分名:オランザピン)
  4. リスパダール(成分名:リスペリドン)
  5. エビリファイ(成分名:アリピプラゾール)肥満への影響が少ないと言われますが、これで肥満になった患者を知っています。
  6. ロナセン(成分名:ブロナンセリン)

は、ヒスタミン(H1)受容体・セロトニン(5HT2c)受容体を遮断、

  1. 脂肪組織の増大
  2. 食欲増進作用のあるグレリンの分泌促進

定型抗精神病薬

コントミン・ウインタミン(成分名:クロルプロマジン塩酸塩)

NaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)

レメロン/リフレックス(成分名:ミルタザピン)

は、ヒスタミン(H1)受容体を遮断。

SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)

パキシル(成分名:パロキセチン)

四環系抗うつ薬

ルジオミール(成分名:マプロチリン塩酸塩)

三環系抗うつ薬

  1. トリプタノール(成分名:アミトリプチリン)
  2. トフラニール(成分名:イミプラミン)
  3. アナフラニール(成分名:クロミプラミン)

高齢者の甲状腺機能低下症を精神疾患と誤認し向精神薬の多量投与で粘液水腫性昏睡

高齢者の甲状腺機能低下症を精神疾患と誤認し、向精神薬の多量投与で粘液水腫性昏睡おこす危険性があります。精神神経科にて統合失調症、うつ病と診断を受け、中枢神経を抑制する向精神薬の多量投与すれば、命に係わる液水腫性昏睡の危険な状態になります。(第53回 日本甲状腺学会 P14 抗精神病薬を大量に投与されていた粘液水腫性昏睡の1 例)

転換性障害:甲状腺機能低下症のような心の病気

転換性障害は、転換性ヒステリーと呼ばれていた精神の病気です。筋力低下・立てない歩けない(クララの足)、話せない、嚥下困難・咽頭部に球状の物がつまる感じ(ヒステリー球)など甲状腺機能低下症のような症状ですが、体の異常は一切ありません。もちろん、甲状腺ホルモンも異常なく、甲状腺超音波(エコー)検査も異常ありません。心療内科、精神科、神経科へ行かれるのが良いでしょう。

甲状腺関連の上記以外の検査・治療      長崎甲状腺クリニック(大阪)

長崎甲状腺クリニック(大阪)とは

長崎甲状腺クリニック(大阪)は甲状腺(橋本病,バセドウ病,甲状腺エコー等)専門医・動脈硬化・内分泌・糖尿病の大阪市東住吉区のクリニック。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,東大阪市,生野区も近く。

長崎甲状腺クリニック(大阪)

甲状腺(橋本病,バセドウ病,甲状腺エコー等)専門医・動脈硬化・内分泌・糖尿病の長崎クリニック(大阪市東住吉区)(近く に平野区、住吉区、阿倍野区、松原市)
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