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妊娠/出産/授乳と甲状腺    [甲状腺 専門医 橋本病 バセドウ病 動脈硬化 甲状腺超音波(エコー)検査の長崎甲状腺クリニック(大阪)]

甲状腺の基礎知識を、初心者でもわかるように、長崎甲状腺クリニック(大阪市東住吉区)院長が解説します。

妊娠/出産/授乳と甲状腺

妊娠/出産/授乳と甲状腺の病気は、不妊症とともに現在もっともホットな話題の1つです。しかし、一般内科医はもちろんのこと、内分泌代謝専門医と称する人達でさえ、その重要性と正しい知識を知らないのには驚きます。むしろ、不妊クリニックの先生の方が、彼らより詳しいようです。

「この分野こそ甲状腺専門医の腕の見せどころ」と強調しておられた浜田昇先生の言葉が頭に残ります。

高度で専門的な知見は甲状腺編 甲状腺編 part2 甲状腺編 part3 を御覧ください。

Sunnary

甲状腺機能亢進症/バセドウ病甲状腺機能低下症/橋本病など甲状腺の病気と妊娠/出産/授乳を解説。母体の甲状腺ホルモンのサイロキシン(T4)とバセドウ病抗体(TSHレセプター抗体:TR-Ab)は、胎児の血中に入り胎児バセドウ病が発症。甲状腺機能低下症妊娠では、胎児の脳神経の発達が悪くなり、流早産の確率が増えるため、適切な甲状腺ホルモン(T4)製剤補充が必要。

正常妊娠中の甲状腺ホルモン

正常妊娠初期:甲状腺刺激ホルモン(TSH)

HCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)は、妊娠が成立した際に胎盤でつくられるホルモンです。HCGは甲状腺刺激ホルモン(TSH)と構造が非常に類似し、TSHの代わりに甲状腺を刺激し甲状腺ホルモン分泌を促すします。よって、TSHの分泌は、あまり必要でないため、妊娠初期の血液検査でTSHの数値は低下します。

にもかかわらず、TSHが高値になるとすれば、妊娠を維持するのに必要な甲状腺ホルモンが不足している(甲状腺機能低下症)ため、早急に甲状腺ホルモン補充が必要です。

正常妊娠中のホルモン変化

正常妊娠中~後期:甲状腺ホルモン(FT4, FT3)

妊娠中~後期、TSHは非妊娠時の基準値内(検査キットにより0.5-5.0, 0.4-4.0, それ以外の事あり)に戻りますが、甲状腺ホルモン(FT4, FT3)は低値になります(ただし測定キットによりその程度はバラつきがあります)。

これは、(女)性ホルモン結合タンパクと同時に、甲状腺ホルモン結合グロブリン(TBG)が増え、結合していない遊離型甲状腺ホルモン(FT4, FT3)が減るためです。

正常妊娠中のTSHと甲状腺ホルモン(FT4)
正常妊娠中の甲状腺ホルモン変化率

よって、FT4, FT3が低下しても、TT4(総甲状腺ホルモン必要量)は変化しないため、甲状腺ホルモン不足にならないのです。

(Maternal and fetal thyroid function. N Engl J Med. 1994;331:1072-1078.)(Journal of the Japan Thyroid Association. 2015; 6(2) 99-103)

胎盤を通過し、胎児へ行くもの

甲状腺機能亢進症/バセドウ病妊娠

バセドウ病抗体(TR-Ab)胎盤通過
  1. 甲状腺ホルモンのサイロキシン(T4):母体のT4は、胎児の血中に入り胎児バセドウ病が増悪。
  2. バセドウ病抗体(TSHレセプター抗体:TR-Ab):母体のTR-Abは胎児の甲状腺を刺激し、胎児バセドウ病が発症。
    母体から入ってきたTR-Abが出産後約3カ月は、新生児の体内に残り新生児バセドウ病が持続。
  3. 抗甲状腺薬:母体の甲状腺機能亢進症/バセドウ病のみならず、胎児バセドウ病の治療も兼ねます。プロパジールは安全なのですが、メルカゾールは胎児奇形が問題になります。
    ただし、プロパジールは胎児奇形はおこさないものの、無顆粒球症・劇症肝炎(重篤な肝障害)の頻度はメルカゾールより高く、妊娠数か月前よりプロパジール服薬し妊娠中に劇症肝炎おこし死亡した例も報告されています。(Ann Pharmacother 37:224-228, 2003)
  4. ヨード:妊娠母体の甲状腺機能亢進症/バセドウ病胎児バセドウ病の治療に無機ヨード(ヨウ化カリウム)を使用する機会が多いです。ヨードは母親の口から入ると100%吸収され、母子の甲状腺ホルモン合成分泌を抑えます。

甲状腺機能低下症妊娠

胎児の視床下部-下垂体-甲状腺の制御システムは未発達で、わずかな甲状腺ホルモンしか作れないため、母体から胎盤を経由して来る甲状腺ホルモン[サイロキシン(T4)]が命綱です。

  1. 甲状腺ホルモンのサイロキシン(T4):母体のT4は、特に胎児の脳神経の発達に不可欠。
    甲状腺機能低下症妊娠では、胎児の脳神経の発達が悪くなり、流早産、胎盤早期剥離、子癇前症、周産期死亡の確率が増えます。
  2. 甲状腺ホルモン剤[レボチロキシン(チラーヂンS)]:甲状腺機能低下症妊娠でサイロキシン(T4)の不足を補います。
  3. ヨードヨードは母親の口から入ると100%吸収され、母子の甲状腺ホルモン合成分泌を抑え、甲状腺機能低下症を悪化させます。妊娠中ヨードを含む食品を過剰に取ると甲状腺ホルモン不足により、胎児の脳神経の発達が悪くなり、流早産、胎盤早期剥離、子癇前症、周産期死亡の確率が増えます。
    詳しくは、ヨードと甲状腺 を御覧下さい。

胎盤を通過しないもの

  1. トリヨードサイロニン(T3):少量だけ胎盤を通過
  2. 甲状腺刺激ホルモン(TSH):胎盤を通過しません

妊娠/出産とバセドウ病

妊娠前の注意

甲状腺機能亢進症/バセドウ病が未治療、あるいは治療途中で、甲状腺ホルモン過剰の不安定な状態で妊娠すると、流産や早産の危険が高くなります。母体・子供とも安全な妊娠・出産するには、妊娠前に甲状腺ホルモン濃度を正常に保っておかねばなりません。

詳しくは、

  1. バセドウ病/甲状腺機能亢進症妊娠
  2. 胎児・新生児バセドウ病

妊娠時の注意

抗甲状腺薬のメルカゾールは妊娠初期に服用すると、胎児奇形おこす危険があり、妊娠15週くらいまでは別の抗甲状腺薬(チウラジールやプロパジール)やヨウ化カリウム丸に変更します。(抗甲状腺薬メルカゾールによる胎児奇形

バセドウ病抗体(TRAbやTSAb)は妊娠週数が進むと低下し、バセドウ病の活動性が沈静化していくことが多いです。これは、胎盤がつくる女性ホルモンがバセドウ病の自己免疫を抑えるためです。

バセドウ病抗体が妊娠期間中も高い場合、バセドウ病抗体が胎盤を通過し、胎児の甲状腺を刺激

出産後バセドウ病再発

産後にバセドウ病が悪化します。妊娠中は女性ホルモンの影響でバセドウ病の活動性が沈静化しますが、出産後に女性ホルモンが急激に低下すると反動で再発します。抗甲状腺薬の再開、増量が必要です。チウラジール(プロパジール)や少量のメルカゾールを内服ならば授乳も可能です。

さらに

  1. 出産後PTU(プロパジール、チウラジール)肝障害

授乳とバセドウ病

PTU(チウラジール, プロパジール)は6錠/日、メルカゾールは2錠/日までなら、授乳可能です。甲状腺機能亢進症/バセドウ病の活動性が高く、止む得えずそれ以上の抗甲状腺薬を飲まねばならぬ場合、服薬後8時間経てば問題ないとされます。

詳しくは、

  1. 授乳と抗甲状腺薬(メルカゾール、プロパジール、チウラジール)

妊娠/出産と甲状腺機能低下症/橋本病

妊娠前の注意

甲状腺機能低下症が不妊・流早産の原因

そもそも甲状腺機能低下症が不妊・流早産の原因であり、無事出産しても児の脳に障害が出たり、知能指数が低くなるとの報告も多数あります。

妊娠の可能性のある人は、妊娠前から血中甲状腺ホルモン値を、TSH<2.5にしておく必要があります。すなはち、甲状腺専門医による適切な治療が必要不可欠なのです。

最近では、習慣性流産、不妊症の10数%に、ごく軽度の潜在性甲状腺機能低下症が存在すると報告されます。厚生労働省の統計では、日本人女性の流産率は13%ですが、上條甲状腺クリニックの上條桂一先生によると、TSH≧2.5の流産率は30%以上とされます。

そして、甲状腺ホルモン剤[レボチロキシン(チラーヂンS)]補充治療により無事出産できた症例も報告されています。韓国の甲状腺研究者の報告では、治療による出産率は50%とされます。

詳しくは、不妊症/習慣性流産と甲状腺 を御覧ください。

妊娠時の注意

甲状腺ホルモン剤[レボチロキシン(チラーヂンS)]補充

妊娠期間中は甲状腺ホルモン剤[レボチロキシン(チラーヂンS)]の用量を変更するため、甲状腺専門医による厳格な管理が必要不可欠です。

妊娠中の母体の甲状腺機能低下症は、脳神経形成をはじめ、児の発育遅延をもたらします。妊娠中は母体の甲状腺ホルモンの必要量が30~50%増加するため、甲状腺ホルモン剤[レボチロキシン(チラーヂンS)]の用量を1.3-1.5倍にせねばなりません。

米国甲状腺学会ガイドライン2011に準じて

  1. 妊娠前期(13週まで):甲状腺刺激ホルモン(TSH) 0.1~2.5μU/ml
  2. 妊娠中期(14週~27週):                〃        0.2~3.0μU/ml
  3. 妊娠後期(28週~41週):                〃        0.3~3.0μU/ml

なるように甲状腺ホルモン剤[レボチロキシン(チラーヂンS)]の量を調整します。

補充量が不十分だと、胎児の脳神経の発達が悪くなり、流早産、胎盤早期剥離、子癇前症、周産期死亡の確率が増えます。特に妊娠前期が重要で、甲状腺ホルモン補充量が不十分だと流産率が上がります。

ヨード制限

ヨードは母親の口から入ると100%吸収され、母子の甲状腺ホルモン合成分泌を抑え、甲状腺機能低下症を悪化させます。妊娠中ヨードを含む食品を過剰に取ると甲状腺ホルモン不足により、胎児の脳神経の発達が悪くなり、流早産、胎盤早期剥離、子癇前症、周産期死亡の確率が増えます。
詳しくは、ヨードと甲状腺 を御覧下さい。

詳しくは、 橋本病/甲状腺機能低下症妊娠 を御覧ください。

出産後甲状腺炎

出産後甲状腺炎をごらんください

授乳と甲状腺機能低下症

甲状腺ホルモン剤[レボチロキシン(チラーヂンS)]を服用しながらの授乳は全く問題ありません。

妊娠/出産と甲状腺機能正常橋本病

甲状腺ホルモンが正常であっても、橋本病の自己抗体[自分の甲状腺を破壊する抗体;抗サイログロブリン抗体(Tg抗体)抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(TPO抗体)]が高い女性は習慣性流産/出産後甲状腺炎おこす確率が高く、抗体価を減らせるような生活習慣の改善が必要になります。

一方で関係ないとの意見もありますが、抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(TPO抗体)]陽性妊婦では、妊娠が進むにつれ、甲状腺ホルモン低下か顕著になり、流産の危険は増していきます。

長崎クリニック(大阪)では、得意の甲状腺超音波(エコー)検査で事前に甲状腺の破壊の程度を評価し、どのくらい甲状腺ホルモンをつくる予備力があるか(妊娠中に必要な、非妊娠時の1.3-1.5倍の甲状腺ホルモンをつくる能力があるか)予測します。

  1. グレースケール解析(甲状腺内部の新たな評価法)
  2. 橋本病(慢性甲状腺炎)の破壊の程度を評価

甲状腺関連の上記以外の検査・治療    長崎クリニック(大阪)

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長崎クリニック(大阪)は甲状腺(橋本病,バセドウ病,甲状腺エコー等)専門医・動脈硬化・内分泌・糖尿病の大阪市東住吉区のクリニック。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,東大阪市,天王寺区,生野区も近く。

長崎甲状腺クリニック(大阪)

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