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バセドウ病と間違える無痛性甲状腺炎      [甲状腺 専門医 橋本病 バセドウ病 甲状腺超音波(エコー)検査 動脈硬化の長崎甲状腺クリニック(大阪)]

甲状腺:最新・専門の検査/治療/知見④甲状腺専門医 橋本病 バセドウ病 長崎クリニック(大阪)

甲状腺の、長崎甲状腺クリニック(大阪市東住吉区)でしかできない検査/治療・当院ホームページでしか得られない情報が満載です。これらは、院長が最新の海外論文に眼を通して得たもの、院長自身が大阪市立大学 代謝内分泌内科で行った研究、甲状腺学会で入手した知見です。

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無痛性甲状腺炎 超音波(エコー)

甲状腺の病気は一見、首だけのローカルな病気と誤解されますが、実は全身に影響し、他臓器の病気にかかわることが多いのです。

Summary

甲状腺機能亢進症/バセドウ病と間違える無痛性甲状腺炎を解説します。無痛性甲状腺炎バセドウ病の違いや見分け方,無痛性甲状腺炎の分類,原因,症状,治療,再発予防,ヨードとの関係を説明します。

バセドウ病と間違える無痛性甲状腺炎

無痛性甲状腺炎バセドウ病の違い

甲状腺ホルモンの値が高く、甲状腺機能亢進症/バセドウ病とよく間違える無痛性甲状腺炎があります。橋本病(慢性甲状腺炎)に、過剰なヨード摂取・ストレス(精神的・手術・出産など)が引き金になっておこる事が多く、バセドウ病の寛解期(活動性が収まっている時期)にもおき、再発と間違えることがあります。甲状腺機能亢進症/バセドウ病が持続的に甲状腺ホルモンが高値であるのに対して、無痛性甲状腺炎の甲状腺ホルモン上昇は一過性で、1-3か月の甲状腺ホルモン変化をみればおのずと診断がつきます。ただし薬剤性の無痛性甲状腺炎(特に不整脈の薬のアミオダロン、アンカロン®)は最長4年におよぶものもあり注意が必要です。

無痛性甲状腺炎の分類

無痛性甲状腺炎には、

  1. 甲状腺ホルモンが上昇した後、正常化する型(40%)
  2. 甲状腺ホルモンが上昇した後、低下する型(60%)→10%は永続的甲状腺機能低下症に移行

があります。

無痛性甲状腺炎の原因

  1. 橋本病(慢性甲状腺炎)
  2. 甲状腺機能亢進症/バセドウ病の寛解期(活動性が収まっている時期):再発と間違えることがあります。
  3. 甲状腺の抗体がない場合でも
  4. 甲状腺に病気のない女性の出産後(出産後甲状腺炎)

に、

  1. 過剰なヨード摂取
  2. ストレス(精神的・手術/外傷・妊娠/出産など)
  3. 薬剤[リチウム剤・インターフェロン・スニチニブ・GnRH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)作動薬・抗てんかん薬・アミオダロンなど]

が引き金になっておこる事が多いです

甲状腺機能亢進症/バセドウ病の寛解期におこる無痛性甲状腺炎

甲状腺機能亢進症/バセドウ病の寛解期(活動性が収まっている時期)に無痛性甲状腺炎が起きると、バセドウ病の再発と間違えることがあります。バセドウ病の寛解期といえども、バセドウ病抗体(TR-Ab, TS-Ab)が正常化していない場合、鑑別は極めて困難です。最終的には放射線アイソトープ検査の99mTc(テクネチウム)シンチグラフィーまで必要になる事があります。(第54回 日本甲状腺学会 P075 バセドウ病に亜急性甲状腺炎が合併した症例と無痛性甲状腺炎が合併した症例の甲状腺機能の相違)

無痛性甲状腺炎の症状

  1. 破壊期:甲状腺ホルモンが上昇し、甲状腺機能亢進症/バセドウ病と同じ症状
  2. 回復期:甲状腺ホルモンが低下し、甲状腺機能低下症と同じ症状

無痛性甲状腺の超音波(エコー)像

無痛性甲状腺炎 超音波(エコー)画像

無痛性甲状腺炎(炎症のフォーカス)

無痛性甲状腺炎の超音波(エコー)像は、

  1. 軽い~程度が強い無痛性甲状腺炎では、炎症部が無血流の黒い(低エコー)領域に見えます(炎症のフォーカス)(写真)
  2. 非常に軽い無痛性甲状腺炎では、超音波(エコー)上、何の変化もありません

無痛性甲状腺炎(軽度)急性期 超音波(エコー)画像

無痛性甲状腺炎(軽度) 超音波(エコー)画像

無痛性甲状腺炎(軽度)急性期 超音波(エコー)画像

無痛性甲状腺炎(軽度) 超音波(エコー)画像

無痛性甲状腺炎(軽度)急性期 超音波(エコー)ドプラー画像:甲状腺内部血流は減少

無痛性甲状腺炎(重度)超音波画像

無痛性甲状腺炎(重度)超音波画像:甲状腺全体に低エコー(真っ黒)

無痛性甲状腺炎(重度)ドプラー

無痛性甲状腺炎(重度)ドプラー:甲状腺内に血流を感知しない

無痛性甲状腺炎(橋本病末期に発症)ドプラー

無痛性甲状腺炎橋本病末期に発症):甲状腺全体が低エコー(黒い)ので判り難いです。

無痛性甲状腺炎(橋本病末期に発症)ドプラー

無痛性甲状腺炎橋本病末期に発症)ドプラー:無痛性甲状腺炎の炎症のフォーカス部分は血流に乏しいです(ただし、急性期)。

無痛性甲状腺炎の下甲状腺動脈の血流(ITA-PSV)

無痛性甲状腺炎ITA-PSV

無痛性甲状腺炎の下甲状腺動脈の血流(ITA-PSV)は、正常~低下します。甲状腺機能亢進症/バセドウ病の下甲状腺動脈の血流(ITA-PSV)が正常~高値になるのとは対照的です。

無痛性甲状腺炎甲状腺機能亢進症/バセドウ病との見分け方

無痛性甲状腺炎甲状腺機能亢進症/バセドウ病との見分け方は、

  1. 無痛性甲状腺炎は破壊により甲状腺内の甲状腺ホルモンが血中へ流出するだけなので、FT3/FT4が同程度に上昇します。甲状腺機能亢進症/バセドウ病ではT4→T3への変換を促進する1型脱ヨード酵素が活性化され、fT3/fT4比が大きくなります。FT3/FT4比が2.5以上であれば、甲状腺機能亢進症/バセドウ病の可能性が高いと言えます。
  2. 甲状腺機能亢進症/バセドウ病の原因であるTSHレセプター抗体(TSH Receptor Antibody:TR-Ab)が無痛性甲状腺炎でも現れることが多々あります。
    上條甲状腺クリニックの報告によると、明らかな甲状腺中毒症で、TRAb(ECLIA)が3.0IU/l以上なら、99%以上の確率で甲状腺機能亢進症/バセドウ病と診断できますが、1%以下の確率で無痛性甲状腺炎のことがあります。
    TRAb(ECLIA)0.8IU/l以下は100%無痛性甲状腺炎です)。
  3. %vascularityまたはvascular index(血流指数)または血管密度:甲状腺内の血流を測定
    甲状腺機能亢進症/バセドウ病では、著明な血管増殖のため甲状腺内の血流が増加します。
    無痛性甲状腺炎では、逆に甲状腺内の血流は低下します。
    (しかし、甲状腺機能亢進症バセドウ病でも血流低下、無痛性甲状腺炎でも血流が増加する場合もあり、絶対的なものではありません)
  4. 無痛性甲状腺炎の急性期の下甲状腺動脈血流(ITA-PSV)は、正常~低値です。下甲状腺動脈血流(ITA-PSV)が異常増加する甲状腺機能亢進症/バセドウ病と区別するのに有用です。
  5. 99mTc(テクネチウム)シンチグラフィー:甲状腺へのヨードの取り込みをしらべる検査で
    甲状腺機能亢進症/バセドウ病では、過剰な甲状腺ホルモン産生のため、甲状腺ホルモンの減量であるヨードの取り込みが増加、99mTc取り込みは正常から増加。
    無痛性甲状腺炎では破壊により甲状腺内の甲状腺ホルモンが血中へ流出するだけなので、ヨードの取り込みは増加せず、99mTc取り込みは低下します。
    99mTc(テクネチウム)シンチグラフィーの正常範囲は0.4-3%と教科書に書いていますが、無痛性甲状腺炎甲状腺機能亢進症/バセドウ病を鑑別する数値基準はあいまいです。京都大学の報告では、0.74%が鑑別のカットオフ値(感度96.9%、特異度87.5%)との事です。つまり、0.75%-3%の正常範囲内でも甲状腺機能亢進症/バセドウ病と診断できる訳です。(第58回 日本甲状腺学会 P1-2-2 甲状腺中毒症の鑑別における99mTcO4-摂取率の有用性の検証と診断能向上の試み)
TSHレセプター抗体(TSH Receptor Antibody:TR-Ab)

無痛性甲状腺炎甲状腺機能亢進症/バセドウ病のTSHレセプター抗体(TSH Receptor Antibody:TR-Ab)

vascular index(血流指数)

無痛性甲状腺炎甲状腺機能亢進症/バセドウ病の%vascuralityまたはvascular index(血流指数)または血管密度

99mTc(テクネチウム)シンチグラフィー

99mTc(テクネチウム)シンチグラフィー

無痛性甲状腺炎 ITA-PSV

無痛性甲状腺炎の急性期の下甲状腺動脈血流(ITA-PSV)は、正常~低値です。下甲状腺動脈血流(ITA-PSV)が正常~異常高値の甲状腺機能亢進症/バセドウ病と区別するのに有用です。

99mTc(テクネシウム)シンチグラフィーの難点

99mTc(テクネシウム)シンチグラフィーは

  1. 20-30分で結果出ますが、高価です。また、用時オーダーで作られる放射性同位元素なのでキャンセル利きません。大学病院等でも数か月待ちなので、そのころには甲状腺ホルモンの変動から無痛性甲状腺炎バセドウ病の鑑別がついていて、もはや被曝してまで行う意味がありません。
  2. ヨード制限不要ですが、多量のヨード摂取[甲状腺機能亢進症/バセドウ病でのKI(ヨウ化カリウム)一日30mg投与、あるいは乾燥コンブ一日16g摂取]で甲状腺への取り込みが阻害され、甲状腺機能亢進症/バセドウ病無痛性甲状腺炎と間違える可能性あります(偽陰性)。(ヨード中止後1か月で取り込みが回復)。
  3. 潜在性甲状腺機能亢進症のような軽度の甲状腺中毒症の診断、無痛性甲状腺炎の鑑別は不可能です。

無痛性甲状腺炎の治療

破壊期→回復期と甲状腺ホルモンが変動するので、対症療法のみ行い無痛性甲状腺炎が沈静化するのを待つしかありません。(動悸がすれば脈を抑えるベータブロッカーなど)

β(ベータ)ブロッカー

β(ベータ)ブロッカーは本来、高血圧・頻脈性不整脈・心不全・狭心症の薬です。甲状腺ホルモンが過剰な状態では、高血圧・頻脈性不整脈・心不全・狭心症が起こりやすく、それを防ぐ目的で使用されます。

β1非選択性βブロッカーは、心臓以外にもブロック作用があり、.気管支喘息悪化、高血糖(逆に低血糖)などの危険があるため、心臓に選択的に作用するβ1選択性βブロッカーの方が良いです。

長崎クリニック(大阪)ではβ1選択性βブロッカー

  1. ビソプロロールフマル酸塩(商品名:メインテート);ほどよい効果。ただ降圧薬でもあるため、低血圧のひとでは少量投与になります。血圧下がり過ぎると、ふらつきが起こります。腎臓悪い方には使用できません。
  2. メトプロロール酒石酸塩(商品名:セロケン):腎臓悪い方にも使用できます。徐放剤(商品名:セロケンL)は、甲状腺ホルモン値の低下に伴う心拍数の変化に対応して減量するのが難しいため、通常剤を使用します。

長崎クリニック(大阪)で使用しないβブロッカーは、

  1. プロプラノール塩酸塩(商品名:インデラル);β1非選択性βブロッカーであり、しかも添付文書には無顆粒球症の副作用が記載されています。ただでさへ抗甲状腺薬[MMI(メルカゾール)、PTU(プロパジール、チウラジール)]を飲んでいる限り、常に無顆粒球症の副作用の危険があるのに・・・。
  2. アテノロール(商品名:テノーミン):β1選択性βブロッカーであるのは良いが、あまりにも強力過ぎて使い難いです。筆者の経験では、甲状腺ホルモン値が少し低下するだけで、心拍数が下がり過ぎ、正直怖いです。

無痛性甲状腺炎はその後どうなるの?

無痛性甲状腺炎は、

  1. 一度おこすと、誘因が除去されない限り、何度も繰り返します。その時の破壊の強さにより、症状が強く出る場合、ほとんど自覚症状なく血液検査で軽い異常のみの場合まで、さまざまです。
    複数の施設が公表しているデータでは、2年に3回以上が多いですが、ごく軽いものまでカウントすれば、それ以上であろうとされます。
  2. 甲状腺機能亢進症/バセドウ病に移行することがあります。
  3. 何度も大きなのを繰り返すと、そのたびにダメージが蓄積され、永続的な甲状腺機能低下症になります。回復期にエコー輝度が低い(黒い)部分が残る場合、甲状腺内に血流増加がない場合、永続的な甲状腺機能低下症になります。

無痛性甲状腺炎の再発予防

無痛性甲状腺炎の再発を予防するには、

  1. 過剰なヨード摂取を制限
  2. ストレスの除去・除去できないストレスには精神安定剤・抗うつ剤
  3. 原因薬剤中止

非常に困った無痛性甲状腺炎

短期間(10~14日)で再燃する無痛性甲状腺炎

無痛性甲状腺炎も短期間(10~14日)で再発を繰り返すと、ほとんどバセドウ病と同じような状態です。このような症例には、無痛性甲状腺炎を起こさないような予防策を講じ、効果無ければ甲状腺全摘手術するしかありません。(第54回 日本甲状腺学会 P218 短期間に頻回の再燃、改善を繰り返した無痛性甲状腺炎の一症例から考えるチアマゾール内服、外科的治療の有効性について)

無痛性甲状腺炎おこすたびに低カリウム性周期性四肢麻痺

無痛性甲状腺炎おこすたびに低カリウム性周期性四肢麻痺になる症例が報告れています。筆者自身は見たことありませんが、低カリウム性周期性四肢麻痺の原因が、甲状腺ホルモンによるNa-K ATPaseの活性化による、細胞外から細胞内へのカリウム移動であれば説明つきます(低カリウム血症)。(第54回 日本甲状腺学会 P216 低カリウム性周期性四肢麻痺を頻回に繰り返す無痛性甲状腺炎の一例)

無痛性甲状腺炎と鑑別を要する無痛性の亜急性甲状腺炎・無痛性の橋本病急性増悪

無痛性の橋本病急性増悪

橋本病急性増悪の発症機序には不明な点が多いです。

本来の橋本病急性増悪は、

  1. 発熱:大抵37℃台で、高熱とは言えませんが、38℃になる事も。
  2. 前頚部痛:亜急性甲状腺炎のように移動しません
  3. 甲状腺中毒バセドウ病無痛性甲状腺炎と同じくらい甲状腺ホルモンが高値になります。
  4. 抗サイログロブリン抗体(Tg抗体)が異常高値(≧4000)、抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(TPO抗体)は高値の事も陰性の事も
  5. 亜急性甲状腺炎と同じく、WBC上昇、CRP軽度陽性
  6. 甲状腺超音波(エコー)検査で甲状腺はびまん性に腫大、全体が粗雑で低エコー
  7. 亜急性甲状腺炎と異なりステロイド抵抗性、甲状腺全摘出になる事あります。
  8. 永続性甲状腺機能低下症に移行
  9. 再発・遷延例の報告も多く
    (第54回 日本甲状腺学会 P145 抗サイログロブリン抗体が強陽性を呈し、穿刺吸引細胞診にて診断に至った橋本病急性増悪の3例)(第55回 日本甲状腺学会 P2-08-07 関節リウマチの治療中に発症した橋本病急性増悪の一例)

甲状腺関連の上記以外の検査・治療      長崎クリニック(大阪)

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