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高血圧・糖尿病・メタボ、実は副腎の病気/副腎腫瘍(クッシング症候群)、アレルギー性鼻炎薬で副腎の病気に? [甲状腺 専門医 橋本病 長崎甲状腺クリニック(大阪)]

内分泌代謝(副甲状腺・副腎)/痛風/肥満/禁煙等:最新・専門の検査/治療/知見 長崎クリニック(大阪)

甲状腺内分泌代謝の、長崎甲状腺クリニック(大阪市東住吉区)でしかできない検査/治療・当院ホームページでしか得られない情報が満載です。これらは、院長が最新の海外論文に眼を通して得たもの、院長自身が大阪市立大学 代謝内分泌内科で行った研究、甲状腺学会で入手した知見です。

クッシング症候群

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Summary

副腎皮質ステロイドホルモン、コルチゾールが過剰に分泌されるクッシング症候群。初期は糖尿病、高血圧、高脂血症、骨粗鬆症など、メタボリック症候群/生活習慣病と区別付かず、動脈硬化も進行(プレクリニカル クッシング・サブクリニカル クッシング)。ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)産生する下垂体腺腫による下垂体クッシング病小細胞肺癌など異所性ACTH産生腫瘍のこともあります。セレスタミンなど副腎皮質ホルモン剤の長期服用で医原性クッシング症候群になります。クッシング症候群腫瘍摘出後、自己免疫性甲状腺疾患(バセドウ病橋本病無痛性甲状腺炎)がおこることあります。

副腎腫瘍について

副腎腫瘍

副腎は左右2個、腎臓の上にあり、さまざまなホルモンを分泌します。副腎の腫瘍は、

  1. ホルモンを作らない非ホルモン産生性腫瘍
  2. ホルモンを過剰に産生する腫瘍

に分かれます。このホルモン異常が、糖尿病や高血圧、高脂血症、骨粗鬆症、タボリック症候群動脈硬化の原因となります。

副腎偶発腫

腹部超音波検査やCTで偶然(1-5%、高齢者10%)副腎腫瘍を発見される事があり、副腎偶発腫瘍(インシデンタローマ)と呼ばれます。50%はホルモンを作らない非機能性副腎皮質腺腫ですが、3cm以上の場合、副腎癌(副腎原発1%/転移性5%)の事があります。

ホルモンを作る機能性副腎腫瘍はクッシング症候群10%・褐色細胞腫10%原発性アルドステロン症5%です。

副腎偶発腫 腹部超音波(エコー)検査画像

副腎偶発腫 腹部超音波(エコー)検査画像

副腎癌 腹部超音波(エコー)検査画像

副腎癌 腹部超音波(エコー)検査画像

褐色細胞腫は、 高血圧・糖尿病、実は副腎の病気/副腎腫瘍(褐色細胞腫) を御覧ください。

原発性アルドステロン症は 高血圧、実は副腎の病気/副腎腫瘍(原発性アルドステロン症) を御覧ください。

メタボと思っていても実は!?----クッシング症候群

クッシング症候群とは

副腎皮質ステロイドホルモンの1つ、コルチゾールが過剰に分泌される病気をクッシング症候群といいます。初期は典型的なクッシング徴候を認めず、コルチゾールの自律性分泌を認める病態で、糖尿病や高血圧、高脂血症、骨粗鬆症で、タボリック症候群/生活習慣病と区別が付かず、動脈硬化も進行しますプレクリニカル クッシング・サブクリニカル クッシング

クッシング症候群の原因

  1. 副腎腺腫:結節性過形成と同じくPRKACA、GNAS遺伝子変異があるとコルチゾールの自律産生能が高い
  2. 副腎過形成:結節性過形成でcAMP-プロテインキナーゼ(PKA)系を恒常的に活性化させるPRKACA、PDE8B遺伝子変異
  3. 副腎癌
  4. 下垂体性(クッシング病
  5. 異所性ACTH産生腫瘍
  6. 医原性:ステロイド剤の長期使用で起こります。

医原性クッシング症候群

  1. セレスタミン配合錠[抗アレルギー剤、耳鼻咽喉科・内科などで簡単に出されますが実はステロイド]
  2. 経口副腎皮質ステロイド剤:膠原病・ネフローゼ症候群・気管支喘息などで使用されますが、それらの治療が最優先です。

クッシング症候群の症状

腕や下肢の皮膚が薄くなり、毛細血管が透けて皮下出血しやすくなり、お腹が出ている割に手足が細くなります(中心性肥満)。顔もむくんだ赤ら顔になり(ムーンフェイス)、多毛、にきび、腹部や臀部に赤いスジができます。ナトリウムの体内貯留が亢進し、内分泌性浮腫もおこります。精神的にも不安定になり、ステロイド精神病といわれます。免疫力が低下、感染症おこしやすく、敗血症で亡くなることあります。子供で発症すると骨の発育が止まり低身長になります。

クッシング症候群の骨粗鬆症・尿路結石

クッシング症候群の骨粗鬆症・尿路結石は、コルチゾールなどの糖質コルチコイドにより

  1. 破骨細胞(骨を壊す細胞)が増え
  2. 骨芽細胞(骨を作る細胞)が減り、骨形成因子のオステオカルシン分泌が抑制され
  3. 腸からカルシウム吸収が抑えられ
  4. 腎臓からカルシウムが再吸収が抑えられ、尿中のカルシウムが増える

ために起こります。

クッシング症候群の診断

  1. 血中コルチゾール・ACTH(脳下垂体から出る副腎皮質刺激ホルモン)を測定
  2. 尿中遊離コルチゾール(UFC)(基準範囲20〜100μg/Cr=24時間)を測定
  3. 負荷試験(デキサメサゾン抑制試験)で診断。[デキサメサゾン1mg抑制試験は長崎甲状腺クリニック(大阪)で可能]
  4. 血中コルチゾールを朝夕測定し、ほぼ同じ値であれば正常なコルチゾール日内変動が消失。
    コルチゾールは午前8時頃ピークになりますが、この時間の採血は不可能なので午前9時頃採血します。
    真夜中以降最も低いコルチゾールになりますが、この時間の採血は不可能なので午後6時頃採血します)
  5. コルチゾールを産生する副腎腫瘍(ほとんど良性副腎腺腫、時に副腎癌)、ACTH産生下垂体腺腫自体を画像診断で見つけ出し、手術で摘出。

DHEA-S:副腎性男性ホルモンで、血中半減期が長いため(約10時間)、血中濃度の変動が小さく、副腎皮質ホルモンの血中濃度を正確に、かつ間接的にACTHの分泌機能を反映します。クッシング症候群、先天性副腎過形成などホルモン産生性の副腎腫瘍で高値になります。しかし、ホルモンを作らない副腎皮質腫瘍で高値の場合、副腎癌が考えられます。

クッシング症候群の治療

副腎腫瘍が原因のクッシング症候群は、副腎腫瘍の摘出です。

  1. 大阪市立大学医学部附属病院でも腹腔鏡手術が主流です。
  2. 副腎腫瘍が大きく、腹腔鏡手術では安全な摘出が困難な方、副腎癌が疑われる方は、開腹手術による副腎腫瘍の摘出です。

副腎腫瘍切除後は、副腎皮質ホルモンの補充を行います(下記)。

下垂体腺腫が原因のクッシング病の場合も、下垂体腺腫を切除します。目安としては1年~2年程度であるといわれています。

両側性副腎腫瘍によるクッシング症候群

両側性副腎腫瘍によるクッシング症候群種類

両側性副腎腫瘍によるクッシング症候群の種類は、

  1. 両側副腎皮質腺腫:両側の単発腫瘤,腫瘤が被膜で覆われる,非腫瘍性副腎組織に著明な萎縮
  2. 両側副腎皮質大結節性過形成[Primary macronodular adrenal hyperplasia (PMAH)]:結節部は被膜で被われず,副腎全体が様々な皮質結節で非結節性の皮質はほとんど無い
  3. 原発性色素性結節性副腎疾患(primary pigmented nodular adrenocortical disease:PPNAD):若年発症/家族性発症が多く,副腎は腫大しない

Basic & Clinical endocrinology.5th ed, pp. 343-358, Appleton & Lange,Stamford, 1997.

非常に稀なPrimary macronodular adrenal hyperplasia (PMAH)

Primary macronodular adrenal hyperplasia (PMAH): ACTH非依存性の大結節性副腎過形成で、非常に稀なクッシング症候群の一つです。Primary macronodular adrenal hyperplasia (PMAH)の遺伝子変異に、ARMC5変異があり、腫瘍抑制遺伝子であろうと言われます。ただ、ARMC5変異は、ステロイド合成を低下させるとされ、クッシング症候群との関係は明らかではありません(N Engl J Med 2013; 369:2105-2114)。

両側性副腎腫瘍によるクッシング症候群の治療

両側性副腎腫瘍によるクッシング症候群(最初から両側性の場合、あるいは片側性の副腎腫瘍を摘出した後に、残りの副腎に発生した場合)は、両側の副腎を摘出すれば生きれないため、

  1. 下記の薬物治療をおこないます。
  2. 副腎腫瘍核出術で、副腎腫瘍だけを取り出し、最低1個副腎を残します。ただし、副腎皮質腺腫に限る

クッシング症候群腫瘍摘出後

腫瘍が過剰分泌した副腎皮質ホルモンにより、

  1. 腫瘍がない側の副腎が著しく抑制され萎縮(廃用萎縮)しています。腫瘍摘出後も回復しないため低血圧、脱力、倦怠感、食欲不振など副腎不全をおこすため、術中からステロイド製剤を補充投与します。その後もコルチゾール10-20mg/日(感染症・ストレス時レスキュー量として倍量)服用続けます(ステロイドカバー)。
  2. 本来発症するはずの自己免疫性甲状腺疾患(バセドウ病橋本病無痛性甲状腺炎)が抑制されており、腫瘍摘出後、副腎皮質ホルモンが低下すると発症。

プレクリニカル クッシング(サブクリニカル クッシング)

副腎腺腫からのコルチゾールの自律性分泌(下垂体からの制御を受けない分泌)は認めるものの、上記クッシング徴候にまで至らない病態はサブクリニカルクッシング症候群と呼ばれます。クッシング症候群より高齢、クッシング症候群への移行は稀で、クッシング症候群とは別物と考えられています。症状はメタボリック症候群の各症状のみで、、生活習慣病・メタボリック症候群と診断されている中に混じってる可能性があります(厚生労働省 難治性疾患克服研究事業,平成22 年度研究報告書.2011, 139―146.)。

下垂体クッシング病

ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)産生する下垂体腺腫。

ACTHは正常~高値で抑制されないことが重要

  1. DDAVP試験(デスモプレシン注4mg静注)
    デスモプレシンは、合成の抗利尿ホルモン剤で、正常人のACTH・コルチゾールは無反応です。下垂体ACTH産生腫瘍ではバゾプレシンV2受容体を介してACTH分泌が促進されます。
    30分毎に90分まで3回測定、ACTH値が前値の1.5倍以上
  2. 大量8mgデキサメサゾンで抑制される
  3. CRH(副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン)に反応してACTHが増加する(CRH試験:ACTH頂値が前値の1.5倍以上)
  4. 頭部造影MRI:1.5テスラのダイナミックMRIの検出率60-80%
  5. CRH負荷後選択的静脈洞血サンプリング:下垂体腺腫がみつからない時の最終手段

などの点で副腎性クッシング症候群と異なります。

うつなどの精神疾患、アルコール多飲などで視床下部~下垂体~副腎皮質が活性化され、高ACTH高cortisol血症となりますが、1mgデキサメサゾンで抑制され鑑別できます。

治療は、ACTH産生下垂体腺腫の切除です。海綿静脈洞に浸潤するもの・1cmを超えるものは完全切除難です。腫瘍が取りきれなかった場合、放射線治療が追加されます

異所性ACTH産生腫瘍

異所性ACTH産生腫瘍として、小細胞肺癌が代表的です。小細胞肺癌の詳細は ホルモンを作る小細胞肺癌・神経内分泌大細胞癌 を御覧ください。異所性ACTH産生小細胞肺癌は、通常の小細胞肺癌と比べ治療抵抗性といわれます。(日呼外会誌2008;46:210-215.)

ACTH産生褐色細胞腫

褐色細胞腫でありながらACTH産生し、クッシング症候群を呈するACTH産生褐色細胞腫が報告されています。(第113回日本内科学会 P77 POMC promoterのメチル化解析によるACTH産生褐色細胞腫発症機構の解析)

クッシング症候群の薬物治療

  1. メチラポン(販売名:メトピロンカプセル):11β-hydroxylase阻害, 手術前のクッシング症候群コントロール・外科手術できないクッシング症候群(高齢など)
  2. トリロスタン(販売名:デソパン錠):3β-hydroxysteroid脱水素酵素を阻害, 外科手術できないクッシング症候群
  3. ミトタン(販売名:オペプリム):抗がん剤に分類され殺虫剤DDTによく似た構造。副腎皮質ホルモン合成阻害し、副腎皮質を破壊。クッシング症候群をおこす副腎癌、ホルモン産生しない副腎癌にも使用。副作用は頻度の多い肝障害・副腎不全の他、血栓症(心筋梗塞や脳梗塞)・嘔吐・好中球減少など多彩です。大抵、副作用のため減量し、有効血中濃度(5μg/ml)に到達しません、[第113回日本内科学会 P85 副腎皮質癌に対するミトタン(オペプリム)投与における多彩な副作用の検討]

アレルギー性鼻炎薬セレスタミン・整形外科の関節注射でクッシング症候群・中止で副腎不全

セレスタミンは、抗ヒスタミン剤とステロイド(副腎皮質ステロイドホルモン)の合剤で、アレルギー性鼻炎・風邪・蕁麻疹・湿疹に使用されます。副腎皮質ホルモンなので長期服用すると医原性クッシング症候群になります。また長期服用で体内の副腎は廃用萎縮し副腎皮質ホルモンを作れなくなります。セレスタミンを中止すると副腎不全になり命にかかわります。

同様に整形外科のトリアムシノロン(ステロイド)関節注射でも医原性クッシング症候群・中止で副腎不全になります。

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